議会質疑・答弁
Parliament
平成26年2月定例会
「予算特別委員会 総括質疑」
【質問項目】
- 1. 若者・女性関連事業について
- 2. 森林、林業事業について
1.若者・女性関連事業について
① いわて若者活躍支援事業について
2月16日に行われた「いわて若者会議」において、知事は県民を挙げて若者の活躍を支援し、全ての世代が力を合わせて復興を成功させるという、「いわて若者活躍支援宣言」をされた。
同会議の交流会会場における若者プレゼンブースでは、県立大学による漫画を用いた広報やご当地ヒーローのガンライザー検定、菜園調理師専門学校によるリンゴのポタージュの提供のほか、昨年12月、岩手のデザイナーによる岩手のさまざまなデザインに興味がある人の集いの場として初めて開催された「IWATE DESIGN DAY」の紹介等があり、改めて若者・女性の発信力等を感じた。
県では具体的な取り組みの一つとして、「いわて若者活躍支援事業」を予算案として提案しているところであり、この事業は若者が議論や交流を行う場を提供する「いわて若者会議」や、若者の豊かな発想力や実行力を地域づくりにつなげるという助成事業等によって構成されているが、事業実施による成果及び効果等を震災からの復興にどのように結びつけていくと考えているか、中長期的な視点を含めてお示し願う。
答弁
東日本大震災津波の直後や、その後の復興の中で、若者が地域づくりやまちづくりなどに大きな力を発揮している。
また、県が行った青年に対する意識調査によると、震災前に比べ、社会貢献に対する意識や住んでいる地域に対する愛着が増加しているとの状況も見られる。
2月16日の「いわて若者会議」でも、そのような若者の意欲と力を確認することができた。
このような若者の実態を踏まえ、庁内一丸となって若者の活躍する地域づくりを進めるために、107の事業から成る「若者支援プロジェクト」の取り組み方針、施策体系を取りまとめた。
この中で、「いわて若者活躍支援事業費」として、若者の視点からネットワーク基盤を構築すること、そして、既に活動している若者の交流の輪を広げるきっかけづくりを進めること、活動する意欲のある若者の支援を進めること等を実施していく。
このような取り組みにより、岩手県内の各地域で若者の新しい力をさらに高め、全ての世代が力を合わせて復興を成功させ、そして希望郷いわてを実現させる、そのような岩手を目指していきたい。
② いわて若者文化祭の開催について
いわて若者活躍支援事業の中には「若者文化支援事業」というものがあり、本県において、ゆかりのある漫画家との漫画単行本の発行や、SNSを通じた「天下統一クロニクル」というゲームとのコラボを通じ、県内の文化や資源についての情報発信を県ではこれまで行ってきた。
そのような素地がある中で「いわて若者会議」では、ファッション、漫画、アニメなどの若者文化についてトークセッションが行われ、来年度においては「いわて若者文化祭(仮称)」を開催することとなっており、若者文化による岩手の魅力を内外に発信するとお聞きしている。
ついては、その開催内容と期待される効果、そして今後の展開についてお聞かせ願う。
答弁
まちづくり活動やNPO活動、その他いろいろな分野で多くの若者が頑張っておられる。
次の時代を担う若者の活動と、岩手の持つ資源や特色といったものを結びつけた取り組みにしたいと考えており、例えば、ステージでの発表や講演会、企画展示などいろいろな手法を組み合わせたものを想定しているが、具体の内容や実施の方法については、若者を中心としたメンバーで今後具体的に検討していただくこととなっている。
また、事業実施に当たり、実行委員会を組織して県内の主要な団体等にも協力をいただきながら進めていきたいと考えている。
期待される効果としては、若者の活動の支援により、若者が自信を持ち、今後の活動への意欲を向上させること、若者同士のネットワークの拡大、岩手からの情報発信、交流人口の拡大といったようなことにつながることを期待している。
また、その後の展開については、若者の力が社会の中でできるだけ発揮され、生かせるような取り組みがしっかりと継続されていくよう、平成26年度の取り組みも踏まえ、今後検討してまいりたい。
③ いわて若者文化祭に対する知事の御所見
私以上にサブカルチャーには詳しい知事にぜひお伺いしたいが、佐賀県で最近、ゲーム開発会社スクウェア・エニックスのサガという人気ゲームがあり、そことコラボして、若者の中で「佐賀県は凄く頑張っているね」と話題になっているようである。
佐賀県は今月13日から16日の間、六本木ヒルズでイベントを開催して、ゲームだけでなく有田焼の展示や県産品とのコラボ商品の企画もされており、そういった他県の知事のトップセールスも含めて、知事の力強い発信力に私は大変期待しているが、「いわて若者文化祭」への知事の御所見を伺いたい。
答弁
漫画、アニメ、ゲーム等のいわゆるサブカルチャーを県として地域振興等に活用していくことについては、各都道府県が今、物凄い勢いで様々新しいことを始めたり、事業を展開しているところであり、岩手としても頑張っていきたいと思っている。
岩手の場合、最近県が取り組んでいる漫画やアプリケーション、コンテンツ等が、まず核になっていくと思われるが、若者の自主的な活動の中で、ロックコンサートやファッションショーなど、町なかでのさまざまなイベントや、今まで岩手の若者が積み上げてきた力、これは「新し向き」の都市型のカルチャーのみならず、地域に根差した郷土芸能のような全国に誇れるような文化もある。
そして、さかのぼれば宮澤賢治の童話世界や遠野物語のように、全国に誇る文化の層が岩手には非常に厚く蓄積しており、そういった力を今の時代に今の若者によって花開かせる、そういう文化祭ができるよう、若者の背中をどんどん押していきたいと思っている。
また、若者の背中を押して飛び込ませるだけでなく、私自身も一緒に飛び込んでいきたいと思っている。
④ 農林水産業に携わる若者・女性支援の取り組みについて
これまで質問してきた事業以外にも、教育委員会で実施する「日本の次世代リーダー養成塾」や盛岡広域振興局で実施している「盛岡広域IT産業育成事業」等もある。
2月23日には、二戸市で県北広域振興局主催の「じぇじぇじぇ!北いわて学生デザインファッションショー」が、県北地域に集積する28社の縫製工場と学生のコラボレーションで開催され、これは、二戸市の事業者だけでなく盛岡市からも北日本ヘアカレッジや盛岡カレッジオブビジネスの学生も参画しているということで、そしてまた縫製工場に携わっている方というのは年齢問わず女性が多いので、この事業こそ本当に若者と女性の活躍支援の一つの事例になっていたのではないかと私は現地に行って感じた。
県では、「あまちゃん」をきっかけとした岩手の観光振興や復興支援、先ほどの縫製業だけでなく、岩手国体に向けて、スポーツ、文化芸術、伝統工芸(これは後継者が少ないので、これに携わる若者も含めて)や、先ほどお話のあった3Dプリンター、そして特に私は、知事も若者会議で御発言されていたように、岩手だからこそ活躍できる場というのが農林水産業だと思っている。
特にそういった農林水産業に携わる若者、女性の底上げというのも、この若者、女性プロジェクトの中の位置づけに入れ、取り組んでいただきたいと思っているが、その若者支援プロジェクトの取り組みを、本県の未来にどのようにつなげていくか知事の御所見をお伺いする。
答弁
二戸市で行われたファッションショーでは、専門学校の生徒たちが大活躍し、岩手県は、過去からの文化の層の厚みに加え、やはり北東北の拠点という機能から、青森や秋田からも若い人が集まり専門学校に通うという地の利もあるので、そのパワーも大いに生かしていきたいと思う。
そして、地の利ということでいえば、農林水産業の全国有数の環境の中で、新しい農業をやりたいと思っていた若い人が、全国をあちこち見て岩手を選んだという事例もある。
⑤ 県庁内で発足の「若手ゼミ」について
県庁内で発足した「若手ゼミ」には、私も大変期待しているが、先ほど若手ゼミへの所感として「やる気を持って課題解決しようとしている力を養う」、「県民ニーズの把握を期待したい」と知事は答弁しておられた。
その若手会議に実際にパネリストとして、知事と一緒に参加された方に、その後意見を伺ったところ、「若手ゼミは大変おもしろい試みでこれからも期待しているが、県庁内だけでなく出来れば外部のオブザーバーの意見も取り入れて一緒にやったほうがいいのでは?」という声をいただいた。
アドバイスだけではアイデアの提供で終わってしまい、仕上がりや結果への責任が持てないケースが多いため、専門家派遣としても予算をいただけるとありがたいというお話をいただいたが、若手ゼミと若者支援のそれぞれの目的と役割分担とは違うと思っており、行政が全部やってあげることが本当の支援ではないので、若者の自主性と主体性を阻害しないような形でこれからも進めていっていただきたいと思っている。
答弁
今回県庁内で若手のプロジェクトを起こし、それが来年度の若者文化関係の事業にもつながるが、その前段として県庁の若手職員において、「クリエイティブシティー」が世界的に地域振興のやり方として期待されており、文化の力を地域振興に利用していこうということであるが、「クリエイティブシティー」だけでなく、田舎も含めてクリエイティブ岩手、岩手を丸ごとクリエイティブな空間にしていくということを県庁内の若手で検討した実績もあり、ぜひそうした蓄積も来年度のこの事業に生かしていきたいと思っている。
2. 森林、林業事業について
① 「第4期岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画」について
これまで県では、岩手県産材振興ビジョンに基づいて、県産材の需要拡大に取り組んできた。
当初予算の内容を見ると、岩手産業文化センターや、旧ポニースクールの改修、いわて花巻空港ターミナルビルなどの施設の大型改修を見込んでいるが、岩手の玄関口と言われる空港施設や集客施設に県産材を使用すると岩手の森林、林業のPRになるのではないかと考える。
ついては、今般作成した平成26年からの3カ年を予定する、第4期岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画の内容を含めた県の取り組み姿勢についてお示し願う。
答弁
県においては、森林、林業、木材産業の活性化を図る観点から、平成15年度に「岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画」を策定し、県が発注の公共施設整備や公共事業で率先して木材利用を推進しており、先月策定した第4期行動計画では、平成26年度から3カ年の木材利用目標を2万1、000立方メートルとしたところである。
この第4期行動計画を決定した際、関係部局に対しましては、この利用目標をさらに超えて仕事をする中で、これは木材が使えるというような気づきを発揮するようにと改めて指示したところである。
今後とも、地域の財産である森林資源が有効に活用され、地域経済の活性化にも寄与できるよう、率先して県産材の利用拡大に取り組んでいく。
② いわて花巻空港ターミナルビル改修における県産材の使用について
日頃から、県の林務関係の職員の皆さんには、森林、林業の活性化に頑張ってくださいとお願いしており、大変御尽力いただいているが、お願いするばかりではいけないと思い、一昨日県内の様々な森林、林業関係団体の方が集って「岩手県森林・林業政策研究会」が行われた際に、改めて県森連の中崎会長をはじめ団体の皆さんに「今年こそは岩手林業女子会の活動を始動して森林、林業業界を盛り上げます!」と宣言し「薪ストーブも今年こそは自宅に設置する!」と決めた。
その中で奈良県の知事は、これまでトップセールスとして奈良県産木材、宮崎県でも木のセールスをしているとのことである。
先日秋田空港に行った際には、ロビーやスカイラウンジに秋田杉がアクセントとして使われており、デザイン性があって格好いい、おしゃれな空港だと思った。
開港50周年に当たるこの年のいわて花巻空港ターミナル改修に当たり、様々な技法を用いて県産材を使用し、デザイン性のあるターミナルビル改修をするお考えはないか、知事の御決意を伺いたい。
答弁
これまでのいわて花巻空港ターミナルビルの整備に当たり、建物内の内装については不燃性が要求されるなど建築基準法の制限や、コスト縮減を基本として進めてきたことから、県産材の活用の機会はなかったという状況である。
今回の施設改修に当たっても基本的には同様の考え方で整備を進めることとしているが、秋田空港のような他県の事例等も参考としながら県産材の活用の可能性を研究していきたいと思う。
また、奈良県知事のように、県の木を宣伝していくというような取り組みも、私も頑張っていきたいと思う。
平成26年6月定例会
「一般質問」
【質問項目】
- 1. 東日本大震災津波からの復興と若者・女性の活躍支援について
- 2. グローバル化に対応した人材育成と英語教育について
- 3. 林業と木質バイオマスエネルギーの振興について
- 4. 地場産業の振興について
- 5. 希望郷いわて国体・希望郷いわて大会とスポーツを通じた地域振興について
- 6. 人口減少と少子高齢社会への対応について
- 7. まちづくりと合わせた交通網の整備と地域の安全・安心に向けた取組みについて
- 8. その他当面する県政課題について
1. 東日本大震災津波からの復興と若者・女性の活躍支援について
なれ親しんだふるさとの風景が瞬く間に一変し、多くのかけがえのない命が奪われた東日本大震災津波から3年3カ月余りが過ぎた。
本県においても、いまだ3万2千人を超える方々が応急仮設住宅などでの困難な生活を余儀なくされている。
こうした未曽有の大災害に当たって、発災直後から、県内はもとより全国各地から多くの方々、特に若者が、被災地の復旧のためのボランティアを初め地域の復興に向けたさまざまな取り組みを支援するため、みずからの意志で被災地に入り、そこで生活をしながら継続的に活躍していただいてきたが、大震災から3年を過ぎる中、被災地を去る方々も増えている。
被災地を離れても、首都圏初め全国各地で復興に向けた支援活動を続けるとの考えをお持ちの方も多く、大変ありがたく、心強い限りであるが、暮らし、なりわいの復興が本格化するこれからこそ、より多くの復興の若い力が求められていることもまた事実である。
① 復興に向けた若者の活躍支援について
去る2月に県が中心となって、「いわて若者活躍支援宣言」を行うとともに、今年度県として若者支援プロジェクトを総合的に展開するなど、若者の活躍を支援し復興を成功させ、「希望郷いわて」を実現させるための取り組みがスタートしており、若者の活躍を通じてふるさと岩手・三陸の復興と創造を目指す方向として期待しているところである。
そこで、東日本大震災津波からの復興等に向け、本県における若者の活躍の状況についてどのように把握し、今後、どのように復興と「希望郷いわて」の担い手となる若者人材を育て、県外から本県に移り住んだ方々を含む若者の自立的で継続的な活動を支援していくのか、基本的なお考えをお伺いする。
答弁
私自身も東日本大震災津波発災以降、多くの若者に会い、その話を伺っているが、仮設住宅でのボランティアや被災商店街の支援、被災地でのイベントの企画、参加、活動団体間の連携促進や情報集約、発信など、Iターン、Uターンされた方々を含め、高校生から大学生、専門学校生、社会人まで多くの若者が復旧、復興に力を発揮している。
岩手の復興を成功させ、「希望郷いわて」を実現させるためにも、若者の新しい力をさらに高め、そして、全ての世代が力を合わせていく必要がある。
このため県では、昨年度から若者の活躍支援を展開しており、若者の視点によるネットワーク基盤の構築や、既に活動している若者の交流の輪を広げる場の提供とともに、活動する意欲のある若者への助成などにより、若者の自立的で継続的な活動を支援している。
② 若者支援プロジェクトについて
県では、本年度、若者支援プロジェクトとして、地域、学び・暮らし、仕事に関するさまざまな事業を展開しており、それによって本県の復興支援や地域づくりなどにおいて自主的に活躍しようとしている若者の後押しとなるものと期待している。
私は、支援とは行政が全てをやってあげるのではなく、若者の自主性や主体性を高めるような事業となることが本当の支援になると考えている。
昨年行われたいわて若者会議などに参加した若者の話を聞くと、「県庁若手職員の若手ゼミは大変おもしろい試みで、さらなる期待をしたいが、県庁職員だけで施策をつくるのではなく、自分たちを実施主体として参画させてほしい。」と、アドバイスやアイデア提供者ではなく、専門家として参画するなど、一つの仕事としてかかわりたいとの声もあったところである。
そこで、若者支援プロジェクトを進めるに当たって、若者のやる気や創意工夫に基づく自主的な活動を促進するためどのような工夫をしているのかお伺いする。
答弁
プロジェクト実施に当たっては、若者の自主性や主体性を高める、また、そのきっかけとなるような内容になることが重要である。
そのため、本年度新たに「若者構想実現事業補助金」を創設し、若者の発想力豊かな構想を復興推進や地域づくりなどに役立てるため、若者グループが企画、実行する優れた提案に補助を行い、自主的な活動を促進するほか、若者交流ポータルサイトを構築する事業においても、大学生や専門学校生を中心とした検討会を開催し、システム開発やデザインの専門的な分野で御意見をいただくなど、若者のやる気や創意工夫を生かすよう努めているところである。
さらに「いわて若者文化祭」において、各種事業の企画立案に当たり、若者を中心とした企画部会を設置し、若者の御意見を反映させるなど工夫しているところでもある。
③ 農林水産業におきます若者等の担い手育成、支援について
復興の先にある「希望郷いわて」の実現に向け、岩手の基幹産業である農林水産業における若者等の担い手育成・支援について、特に積極的に取り組んでいくことが重要と考えている。
例えば、最近では、映画「WOOD JOB!」も公開され、若者の林業への関心が高まっており、林業男子、林業女子の集まりなど、岩手でもさまざまな動きが見られている。
これは林業に限らず、新しい農林水産業の取り組みをしている若者が出てきており、岩手らしい若者文化支援にもつながっていくものと考えている。
そこで、本県の農林水産業における新規就業者の推移と、その中で就業を続けている方はどれぐらいなのかお伺いする。
また、こうした担い手の就業継続を図る上での課題と支援策についてお考えを伺う。
答弁
新規就業者数の推移と新規就業継続者の割合を平成20年度以降で見ると、農業は他産業からのUターン者が多く、毎年200人を上回る方々が就業し、その継続割合は約9割。
林業は年度によりばらつきが大きく、平成22年度は140人であったが、平成24年度は82人となっており、その継続割合は約7割。
漁業は、50人前後で推移していたが、震災後は30人程度まで減り、平成22年度以降の就業者の継続割合は約7割となっている。
就業を継続していくためには、生産技術の習得や安定的な所得の確保などが課題であることから、生産技術や経営能力の向上に向けたベテラン生産者等による継続的な技術指導や普及員による重点指導、技術習得に向けた研修の実施、さらに、経営規模の拡大に必要な機械、施設の整備のため、補助事業の活用や制度資金の融通の支援、青年就農給付金の給付や事業体への奨励金の交付などに加え、地域の関係者との信頼関係も大切であるから、青年組織への加入や地域活動への参加なども働きかけている。
今後も、意欲を持って就業した方が地域の担い手として着実に定着できるよう、また、若者のアイデア、能力を十分発揮していただけるよう、他産業など幅広い人材とのネットワークづくりも含め、市町村、関係団体等と連携し、きめ細かな支援を実施していく。
2. グローバル化に対応した人材育成と英語教育について
① 本県のグローバル化への展望について
県では、本年3月に「いわてグローバル人材育成ビジョン」を策定し、急速に進展するグローバル化社会に対応し、また、開かれた復興の力となる人材の育成を図ることとしている。
大震災津波からの復興が本格化する中、アメリカやヨーロッパ諸国、アジア各国など海外との交流が広がり、さらには平泉文化の世界遺産登録や北上山地のILCの国内候補地への選定などを契機に、グローバルなつながりがこれまで以上に重要となっており、こうした岩手と世界をつなぎ、グローバルな環境の中で活躍する人材の育成が必要となっている。
そこで、岩手は世界とどのような関係を構築していくのか、どのような姿を発信していくのかなど、グローバル人材育成ビジョン策定の背景にある本県のグローバル化への今後の展望について、知事の御所見をお伺いしたい。
答弁
東日本大震災津波の発災以降、多くの外国人が本県を訪れて県民と交流を深め、また、本県から多数の若者が海外に招かれるなど、これまでにない規模で県民が直接世界とつながる、まさに岩手の開国とも言える大きな変化が生じている。
また、ILC―国際リニアコライダーの実現によって、多くの外国人が本県に居住することが期待されている。
このような状況を踏まえ、人と人、人と地域、地域と世界など、さまざまな形で、信頼に基づき自立と共生を実現できるつながりを育んでいくことが重要であり、また、グローバル社会に貢献することは、究極的には、平等や平和といった人類の普遍的価値を高めることにもつながっていくものと考える。
こうしたグローバル化に対応し、世界とのつながりを岩手の復興の力とするため、今後とも、岩手と世界をつなぐ人材の育成を進めていく。
② いわてグローバルネットワーク人材育成事業について
県では、グローバルな視点を持った人材の育成を図るため、「いわてグローバルネットワーク人材育成事業」を実施している。
これは団体派遣を基本とし、昨年度に続き今年度もアメリカへ高校生を派遣する予定と伺っており、グローバルな視点を持った岩手の若者を育てる上でとてもよい取り組みと考えている。
一方で、今年1月の商工文教委員会調査で愛知県へ伺ったが、他県における類似の取り組み内容を見ると、アジア、欧州、アメリカから地域を選べるほか、文化、芸術、スポーツ、語学、研究など、分野も生徒が自由に選択でき、グローバルイコール英語やアメリカではなく、個人の自主性も尊重できるような事業内容となっており、本県の事業においても参考にするところが多いものと考える。
そこで、本年度の「いわてグローバルネットワーク人材育成事業」は何を目的とし、グローバルな環境の中で生徒の主体性と多様性を高めていくためどのような取り組みの工夫をされるお考えかお伺いする。
答弁
本事業は、本県と世界との関係が深まっていく状況において、岩手と世界をつなぐ人材の育成を目的とし、次代を担う本県高校生をアメリカに派遣するものである。
本年度の事業においては、派遣される高校生が主体的に人的ネットワークを形成することができるよう、現地で活躍される本県の出身者との交流や現地の高校生との交流など、多様な人的交流の機会を設けることとしている。
③ いわて花巻空港のホームページの国際化について
「グローバル人材育成ビジョン」では、本県のグローバル化の現状を、教育、産業、生活の三つの分野ごとに捉えていますが、産業分野においていわて花巻空港の国際化を挙げている。
先日、台湾に調査に参る際、空港のホームページを見てみたところ、中国語のみならず英語についても対応していないことに気がついた。
グローバルな岩手を目指すためには、グローバル人材を育てることはもとより、グローバルな人材が本県を訪れやすくなるように、まずは岩手の空の玄関口であるいわて花巻空港のホームページの外国語対応が必要と考えるが、御所見をお伺いする。
答弁
いわて花巻空港のホームページは、岩手県空港ターミナルビル株式会社により運営されているものであるが、御指摘のとおり、今のところ日本語表記のみとなっている。
岩手県空港ターミナルビル株式会社では、台湾からの国際定期便就航などの動向を踏まえつつ、外国語表記の導入を含めホームページの改善について検討していると聞いており、県としてもグローバル化に向けた対応として望ましいことと考えている。
④ 小学校の英語教育について
将来的なグローバル人材の育成に向けた基礎的な取り組みとして、小学校における英語教育もまた重要であると考えている。
学習指導要領においては、小学校英語教育について、外国語を通じて言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現になれ親しみながらコミュニケーション能力の素地を養うとされている。
また、2020年度からは、小学校で英語を教え始める時期を現在の小学校5年生から小学校3年生に早め、5年生からは正式な教科にし、中学の英語の授業は原則英語で行い、高校では生徒が英語で発表や討論をできるようにするというような内容で学習指導要領改訂を文部科学省は検討しているとの報道もある。
今年5月に商工文教委員会で黒沢尻北小学校の英語の授業を視察した。
小学校の教員の多くは大学の教員養成課程で英語の指導法そのものを専門的に学んでおらず、もともと英語教師の免許を持っていない中での教科担当となっていた。
小学校の教員は、担当クラスやクラブ活動だけでも忙しいのに、さらに英語の授業が加わることにより負担も大きくなっているのではないだろうか。
地域の方が、図書や読み聞かせボランティアとして参画している小学校が多くあるが、これと同様に英語教師についても外部講師など地域人材の活用等も有効ではないかと考える。
そこで、本県における小学校英語教育の取り組みの状況と課題はどうか。
また、教員の英語力、指導力等の向上のため、現在の研修制度はどのようになっているかお伺いする。
答弁
まず、本県の取り組み状況については、県内全ての公立小学校において学習指導要領に従い、小学校5・6年で週1時間、体験を通して外国語の音声や表現になれ親しみながら、コミュニケーションへの積極性を養う外国語活動を実施している。
各学校においては、文部科学省が作成した外国語活動教材「Hi、friends!」や学校が独自に開発した教材を用いながら、学校での協力体制のもとに学級担任が授業に取り組んでいる。
一部には、外国語指導助手が定期的に学校を回り、学級担任と一緒に外国語活動の指導に当たっているところもある。
また、文部科学省の「教育課程特例校制度」を活用し、学習指導要領によらずに小学校4年生以下でも実施している小学校が、北上市及び金ケ崎町に計7校ある。
課題としては、小学校外国語活動を通してなれ親しんだ英語を、中学校においていかに定着を図り運用できるよう指導していくかという中学校との連携や、接続に関する課題などがあると認識している。
教員の研修制度については、小学校外国語活動が導入される準備段階の平成20年度から平成22年度にかけ、県内6教育事務所単位で全小学校から参加した中核教員研修を実施し、その出席した教員が、各小学校の中心となり校内研修を推進する形で教員研修の充実を図ったところである。
現在は、県指定研究会における授業公開や教育センターの希望研修講座を開設するなど、教員の指導力向上に取り組んでいるが、今後は英語の教科化をも視野に入れ、一層の指導力の向上に努めてまいる。
3. 林業と木質バイオマスエネルギーの振興について
① 県産材の利用拡大策
岩手県は北海道に次ぐ森林県であり、県土の77%を占める森林は、山崩れを防いで雨水をため、温暖化ガスを吸収するなどの多面的機能を有しており、広大な森林は私たちにとって大切な資源である。
本県の民有林では、33万ヘクタールの人工林のうち14万ヘクタールが10齢級以上で伐採時期を迎えているが、これらの成熟した樹木を伐採し、跡地に再び造林して森林の若返りを図ることが重要である。
それなくしては森林資源が十分に活用されないばかりか、荒廃が危惧される森林も多く、林業振興としての県産材の利用拡大を図ることが急務である。
県では、平成26年2月に「岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画」の第4期行動計画を策定し、平成26年度から平成28年度の3カ年の木材利用目標を2万1、000立方メートルとしている。
この目標値については、さきの予算特別委員会において、過去の行動計画の実施に照らしてもかなり消極的であると指摘をしたところであるが、県として先進県等の事例も参考にしながら、県産材の利用拡大に取り組んでいくことが必要と考えている。
例えば、1998年の長野オリンピックで世界最大級の木造構造として建築されたエムウェーブなどの先進事例があるほか、本県でも一関市立花泉図書館、また、近日完成予定の住田町や紫波町の庁舎など、単に木材を多く活用するだけでなく、地域材の特徴を生かした伝統的工法や斬新なデザインを取り入れた建築物が建設されている。
こうした動きがさらに広がるように県として積極的な働きかけを行い、公共施設はもとより、銀行や郵便局、駅などの民間建築物、岩手国体等のスポーツ施設などへの木材利用を促進していくことが必要であると考えているが、県では県産材の利用拡大に向けてどのように具体的に取り組んでいくお考えかお伺いする。
答弁
公共施設の木造化は、木のよさを県民の皆様へ普及することに有効であることから、県では「岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画」に基づいて公共施設等への木材利用を推進してきており、また、市町村においては木材利用方針を策定し、地域材を活用した災害公営住宅や役場庁舎の建設など、それぞれの地域の特性を生かした木材利用の取り組みが進められている。
民間における木材利用については、県産材を使用した住宅の建設等に対する助成や地域型復興住宅の建築を推進する工務店、林業、木材産業関係者で構成するグループへの情報提供などに取り組んできたところである。
こうした中で昨年12月、民間企業や研究者等で構成する「林業復活・林業再生を推進する国民会議」が設立され、国産材の利用拡大を国民運動として持続的に進めていくこととされたことなどを受け、県ではさらに県内の企業を中心に広く県産材利用を呼びかけることとし、民間企業の事務所等の木造化に係る優良事例集の作成や、すぐれた木造建築物に対する表彰制度の創設等を検討しているところである。
県としては、今後も岩手国体の開会・閉会式会場の関連施設などを初め、公共施設に県産材を可能な限り活用して、木のよさをPRしていくとともに、民間企業への普及の取り組みを進めながら県産材の利用拡大に努めていく。
② いわて花巻空港ターミナルビルへの県産材の活用について
去る2月の予算特別委員会において、いわて花巻空港ターミナルビルの改修にもぜひ県産材利用拡大を図ってほしいとお願いしたところ、県産材の活用の可能性を研究していく旨の積極的な答弁を知事からいただいたと認識しているが、その後の状況はどのようになっているかお伺いしたい。
答弁
空港ビルの増築に当たり、県産木材の使用の可能性を探るため、今年度に入り秋田空港ターミナルビルの事例を調査したところである。
秋田空港ターミナルビルは建設後33年を経過しており、そのリニューアルに際して相当の時間による検討を経た後、構造材というよりはもっぱら装飾として、総工費6億円ほどの経費をかけ、秋田空港ターミナルビル株式会社が実施したものであった。
今回県が行う空港ビルの増築工事は、国内線2便と国際線1便の発着がふくそうする場合の対応を求められている中、チェックインカウンターの増設や入国審査場の拡張、搭乗橋の増設など、必要な機能を早急に確保しようとするものではあるが、本県唯一の空の玄関口として県産木材や木製品に関心を持っていただけるような工夫について検討を始めたところであり、今後関係部局などと調整を図りながら進めていく。
③ 林業における馬搬について
林業における馬搬は、山林を傷めない運搬方法と馬の持つ癒し効果で、まさに自然との共存を図った環境保全型林業の一つの形とも言える。
日本各地から馬搬が消えてしまった今、岩手には伝統を受け継ぐだけでなく、新しい取り組みをしている若者がいる。
その若者は、全英馬搬大会でチャンピオンに輝いた経験の持ち主でもある。
岩手らしい環境保全型林業の振興や本県の馬事文化の継承の観点からも、そうした人材も支援しながら、本県の林業における馬搬を守り伝えていく取り組みを行うべきと考えるが、県の御所見をお伺いする。
答弁
馬搬は、林地を傷めることが少なく、環境に優しい木材の搬出方法であるが、1回当たりの搬出量では機械運搬に劣ることや、稼働時期も主に冬季に限られることなどから、木材の搬出のみで生業を維持することは難しいものと考えている。
一方馬搬は、地域文化や馬事文化、観光資源としての側面も有していることから、現在県と遠野馬搬振興会が連携しまして、馬搬を広く知っていただくための情報発信や馬搬技術の伝承研修、馬搬木材を使った商品化などに取り組んでいるところである。
今後とも関係者と連携を図り、さまざまな支援制度なども活用しながら、貴重な地域文化である馬搬の継承を支援していきたいと考えている。
④ 木質バイオマスエネルギーの推進について
本県のエネルギー政策においては、特に地域に雇用を生む木質バイオマスエネルギーを牽引役として推進していくことが有効と考える。
県内では木質バイオマスエネルギーの活用に向けて、地域や民間等と連携した先進的な取り組みを進める自治体が増えているが、未開拓の分野も残されており、そうした分野への導入を後押しすべきである。
福祉、保育施設などへの導入は徐々に広まりつつあるが、例えば先日、二戸市や久慈市のアパレルの繊維製造業の工場を見学させていただいたところ、重油を使用する大きな機械を使用しており、これを木質バイオマスエネルギーで代替することができれば、地域の未利用材の活用の面からも大きな効果があるものと考えている。
山と里と人に優しいいわてのふるさと産業育成支援事業では、ビニールハウスや暖房器具など農業分野におけるバイオマス利用促進の取り組みはあるものの、製造業などほかの分野への理解促進や普及啓発をさらに行うことで、木質バイオマスエネルギー活用の底上げにつながると考えるが、他業種での導入や取り組み状況とあわせて県の御所見をお伺いする。
答弁
県では、豊富な森林資源の有効活用を促進する観点から、公共施設や産業分野への木質バイオマスボイラーの導入を進めており、県内でこれまでに導入された63施設のうち17施設が、製麺所や食肉加工工場など農林水産業分野以外の民間施設となっている。
平成26年度においても、宿泊施設や病院など6施設のほか、住宅団地や役場庁舎等へ熱供給を行うエネルギーステーションの計7施設へのボイラー導入が計画されている。
こうした取り組みをさらに促進するため、国の補助事業を活用した機器等の導入支援や木質バイオマスコーディネーターによる技術的助言、普及啓発のためのセミナーの開催などに取り組み、今後とも様々な分野にわたって木質バイオマスエネルギーの利用拡大を図っていく。
4 .地場産業の振興について
地域経済の活性化を図る上で、岩手に根差した、岩手にしかないものである本県のすぐれた伝統工芸品を生かしていくことが重要と考える。
岩手が世界に誇る南部鉄器や浄法寺塗はもちろん、木工品や織物など岩手の伝統工芸品を全国そして世界に本県を売り込む戦略品目と位置づけて振興に取り組み、また、後継者育成にもさらに力を注いでいくことが必要である。
① 伝統工芸産業の振興
県では、こうした県内の伝統工芸産業に後継となる世代を含め、どのぐらいの方が従事していると把握しているか伺う。
「伝統的工芸品等次世代継承事業」について大変評価しているところであるが、今年度で最終年度と伺っており、事業終了後の人材の従事先についてどのように把握されているかお伺いしたい。
答弁
木工品や織物などのいわゆる伝統工芸品全般にわたる従事者数は、統計上の制約があり把握が困難であるが、法律の指定を受けた南部鉄器、岩谷堂箪笥、秀衡塗及び浄法寺塗の伝統的工芸品に係る従業員4人以上の事業所における従事者数は、平成24年工業統計調査によると736人となっている。
また、国の「緊急雇用創出事業臨時特例交付金」を活用した「伝統的工芸品等次世代継承事業」により雇用されている方の今年度末での事業終了後の従事先については、現時点において、事業終了後も雇用を継続する予定である旨、事業者から伺っている。
② 伝統工芸産業における来年度以降の人材育成の進め方について
南部鉄器や漆器に加え、竹細工、ホームスパン、木工品、和紙等幅広い分野の人材育成を行っていくことが重要と考えるが、来年度以降どのように伝統工芸産業の人材育成を進めていくお考えか、あわせてお伺いする。
答弁
首都圏での展示販売会の開催や百貨店等との連携、物産展及び全国展への出展に対する支援など、伝統工芸品の国内外への魅力発信や販売促進を行い、業界の振興を図りつつ後継者の参入を促していく。
また、人材育成に係る研修等に対する国の事業やいわて希望ファンド等の活用もあわせ、伝統工芸産業の人材育成を図っていく考えである。
③ アパレル関連産業の振興について
二戸市内では、継続的に「北東北3県域アパレル企業ビジネスマッチングフォーラム」を開催しており、首都圏から商社や大手アパレルなど多くの企業が参加している。
また、同じ2月、二戸市内において、「北いわて学生デザインファッションショー」が初めて開催され、県北地域だけでなく盛岡市などからもデザインや理容美容関係の学生も多く参加し、新聞にも大きく報じられるほどすばらしいものだったと認識している。
県内のアパレル関連産業を含む繊維製造業は、県北広域圏における製造業の中で特徴的な産業として位置づけることができ、また、県央、県南広域圏においても特徴的なアパレル繊維製造業関係が少なくなく、実際、大手の国内外の有名ブランド服を実は岩手の職人が手がけていた事例があるほどである。
アパレル関連産業は人件費の安いアジア等に流出する傾向はあるものの、デザインも含め裾野の広い産業であり、若者に関心が高く、また、幅広い年齢層の女性の雇用の場でもある。
今後そうした人材を育てながら、産業として付加価値を高めることにより、本県の特徴的な産業として育てていく可能性も高いと考えている。
そこで、本県におけるアパレル関連産業の現状と課題についてどのように把握し、また、今後の振興策についてどのようにお考えかお伺いする。
答弁
本県のアパレル関連を含む繊維工業の現状は、平成24年工業統計調査によると、事業所は197、従業者数は5、358人となっている。
県内の主な事業所は昭和40年代以降に操業を開始し、県北地域の製造業において一定の割合を占めるなど、地域に根差し、若者や女性の雇用の場として地域経済の発展に貢献している産業であると認識している。
県内事業者については、リーマンショックや景気の低迷に加え、安価な輸入品の流入による受注減や製品単価の減少の影響により、事業所数や製造品出荷額などが減少傾向にあり、厳しい経営環境に置かれていると認識している。
また、県北地域の事業者からは、販路の拡大、アパレル産業の認知度の向上や人材の育成などが課題であると伺っており、県北地域においては首都圏のメーカーとのマッチング商談会やファッションショーの開催、縫製技術研修会の開催支援などの取り組みを継続していく。
今後のアパレル産業の振興策として、いわて産業振興センターなどの支援機関や商工団体等と連携しながら、国のものづくり補助金による設備投資や、いわて希望ファンドによる商品開発など、個々の事業者のニーズや状況に応じた支援を行っていく。
5 .希望郷いわて国体・希望郷いわて大会とスポーツを通じた地域振興について
① 「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」の開催に向けた県民運動の展開について
平成28年の「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」の開催は、復興のシンボルとして、県民との協働を基本に、県民の総力を結集して開催することとされており、そのためには、県民の創意工夫を生かしながらオール岩手で開催の準備を進め、大会を盛り上げていくことが重要と考える。
前回昭和45年に開催された「岩手国体」は、みんなの国体、のびゆく岩手をテーマとし、県全域での花いっぱい運動をはじめ、盛岡でのさんさ踊りなど、まさに県民の総力を結集して開催された国体として県民一人一人の記憶に深く刻まれている。
今大会についても、先日国立競技場の座席を北上総合運動公園北上陸上競技場に移設するための作業が県内外のボランティアによって行われたが、これは経費削減のみならず、県民や全国の方々の力を合わせて大会を開催する上で効果的な企画と高く評価するものである。
一方、県民運動の広がりを見ると、県民の認知度がまだ低いとの声も聞かれるところであり、この大会をオール岩手の取り組みにするため、前回の「岩手国体」に負けない活発な県民運動の展開が求められている。
そこで、「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」を県民の総力を結集した開催とするため、より幅広く活発な県民運動の展開に向け、今後どのような取り組みを進めていくお考えかお伺いする。
答弁
両大会は、東日本大震災津波からの本格復興を進める中で、県民との協働を基本とする開かれた大会として開催するものであり、子供たちからお年寄りまで、あらゆる世代の県民の皆さんが、各地域で、さまざまな分野の中で、それぞれの役割を果たしていただくことが、大会を成功に導く重要な鍵となるものである。
また、そのような県民運動は今後、県民一人一人が日常的に多彩な地域活動に参加するきっかけとなり、それが地域の一体感や持続的な地域づくりの原動力にもなると認識している
。
こうした考えのもと、県実行委員会では、今年度を県民運動の本格展開年と位置づけて、運動の中心的役割が期待される福祉、商工、観光、女性、若者などの各団体に、総会などの機会を捉えて、積極的な参画の要請活動を続けているところである。
また、多くの県民が参加しやすく、できるだけ目に見えるような取り組みとして、花いっぱい運動や料理コンテスト、大会公式ポスターの公募のほか、各地のお祭りやイベントでのPR、臼澤みさきさんが歌うイメージソングやわんこきょうだい国体、大会ダンスの普及、さらには、来年度から本格化するボランティア募集の準備などに取り組んでいるところである。
今後、さらに実行委員会の活動が本格化してきた市町村との連携を強めながら、県民やさまざまな企業、団体とともに、県民運動を全県的に展開することによって、復興のシンボルとしての両大会の成功に結びつけ、そして、それが復興に向かう力となり、ひいては将来にわたる「希望郷いわて」の実現に向けた大きな潮流となるように、全力を傾注して取り組んでいく。
② スポーツを通じた地域振興について
大会の開催準備とともにその後も見据え、大会開催を契機にしたスポーツを通じた地域振興、いわゆる「スポーツツーリズム」の推進も重要と考える。
例えば、盛岡広域8市町では、国体以降のスポーツ推進施策の検討を進める方向と伺っている。
また、本県は「平泉の文化遺産」や「三陸ジオパーク」、「温泉」、「農山漁村の景観」や「食」など、豊かな地域資源に恵まれているが、先日私も参加した八幡平市の七時雨マウンテントレイルフェスなどは、地元の多くのボランティアが参加し、スポーツと農村と食などが融合した新しい「スポーツツーリズム」であるとも感じた。
そこで、岩手国体後も「ラグビーワールドカップ2019」や「2020年東京オリンピック」の開催が予定されている中、大会開催後の施設の有効活用について、大学や社会人のスポーツチームの合宿誘致を初め、国体開催に終わらないスポーツと岩手の地域資源を生かした地域振興の推進を図るべきと考えるが、御所見を伺う。
答弁
「スポーツツーリズム」は、スポーツを通じて交流人口の拡大を目指す重要な地域振興策の一つと考えており、昨年11月には、市町村などを対象としたスポーツによる地域活性化施策の研修会を開催したところである。
さらに本年2月には、県、市町村、市町村観光協会などを構成員とする「岩手県スポーツツーリズム推進連絡会議」を設置し、各市町村等における取り組み状況や課題について意見交換などを行い、今後も連携してスポーツツーリズムを推進していくこととしたところである。
また、この5月には「岩手県2020東京オリンピック・パラリンピック推進本部」を設置したところである。
国内代表選考会や事前合宿の誘致に向け、現在、市町村や競技団体の意向調査を実施しているところである。
本県は、豊かな自然や食文化など全国に誇る地域資源を有するとともに、今後復興道路の整備などにより交通利便性の大幅な向上が見込まれることから、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿などの誘致をも視野に入れながら、各種大会、合宿の誘致やスポーツ観光の推進により交流人口の拡大を図っていきたいと考えている。
6 .人口減少と少子高齢社会への対応について
5月に日本創成会議の「人口減少問題検討分科会」から公表された試算結果を見ると、2010年と比較して若年女性人口が半分以下に減る消滅可能性都市は本県では27の市町村が該当し、うち15の町村は人口が1万人を割り込み、消滅する可能性が高いとされている。
この試算結果は、出産を中心的に担う20歳から39歳の女性人口に着目して将来人口見通しを明らかにし、そこから、若者がみずからの希望に基づき結婚し、子供を産み育てることができるような社会をつくること、それが人口減少の流れをストップさせる基本方策であるとの提言を行ったことに大きな意味があるものと考えている。
日本創成会議があわせて公表した「ストップ少子化・地方元気戦略」では、人口減少対策の一つである妊娠、出産の支援策としての不妊治療に関して、妊娠を希望する人を支援する観点からの不妊治療等生殖補助医療に対する支援を掲げている。
不妊治療については、時間的、身体的、精神的負担が大きいため仕事をやめざるを得ない女性も出てきており、不妊治療を受けている方の勤務する企業への、短時間勤務の扱いを認めることへの理解促進や支援体制の強化など、不妊治療と仕事の両立をサポートする体制の強化も必要と考える。
また、現在県が行っている特定不妊治療に対する助成に加えて、矢巾町では保険が適用されない人工授精等の一般不妊治療を受ける夫婦に対する支援などを新たに開始したとのことであり、県としてもさらなる支援強化を図っていくべきと考える。
① 不妊治療に対する支援状況について
本県の不妊治療に対する支援状況と現在の不妊治療支援についての課題等をどのように認識し、一層の支援策の充実についてどのようにするお考えかお伺いする。
答弁
県では、不妊に悩む方への特定治療に要する経費の一部を助成し、経済的負担の軽減を図るとともに、保健所に相談窓口を設けるほか、岩手医科大学に不妊専門相談センターを委託設置し、相談の対応をしている。
不妊治療については、希望する妊娠、出産を実現するために、治療効果が得られやすい若年からの治療開始の意識醸成や、職場において治療を受けやすくする環境づくり、さらに、治療を受ける方が抱く不安の軽減が必要と考えている。
県では今後も、リーフレット配布などによる県民への周知徹底や不妊治療に対する意識醸成、相談対応などにより対象者の不安解消に努めていく。
なお、国では従業員が働きながら不妊治療を受けられるよう事業主に理解を求めているところであり、今後関係機関との会議などを通じて、相互に連携しながら取り組みを進めていく。
また、不妊治療の支援に当たっては、子ども子育て支援施策と密接な関係があることから、市町村や関係機関と連携しながら総合的に検討していく。
② 特別養護老人ホームの入所待機者の増加への対応について
県内の特別養護老人ホーム入所待機者数は平成25年3月末現在で6、542人にも及び、そのうち在宅待機者数の推移を見ますと、平成21年3月末の待機者数が1、858人だったものが、平成25年3月末には2、300人と年々増加傾向にあり、本県の高齢人口が増加する中、サービスを求める高齢者がなかなか入所できない状況が生じている。
待機児童解消だけでなく、待機高齢者解消も課題となっている。
一方で、本県の人口減少が進む中、将来的には高齢人口も減少していくことが見込まれており、現在の行政ニーズだけでなく将来的な人口減少をも見込んだ施策展開が求められていると考える。
例えば、大都市圏では今後高齢者が激増し、いわゆる介護難民があふれるとも言われており、特別養護老人ホームの設置について、大都市と地方の自治体間での連携の動きも出てきており、そうした取り組みを国として応援しようという考えもあると伺っている。
また、地域包括ケアシステムの構築によって、住みなれた地域の中で高齢者がさまざまなサービスを受けられる仕組みづくりを進めていくことも重要と考える。
そこで県では、特別養護老人ホーム入所待機者の増加についてどう捉え、今後、どのような対策を講ずるお考えか伺う。
答弁
在宅の待機者のうち、早期入所が必要な方は平成25年3月末現在で1、233人であり、その解消に向け、平成25年度から平成26年度までの2年間で、特養852床のほか、グループホーム279床の計1、131床の整備により対応しているところ。
また、入所待機者の増加要因としては、高齢人口の増加などとともに、様々な事情により家庭での介護が困難になってきていることが、待機者の増加の背景と考えられる。
県としては、これらの背景や医療、介護ニーズが高い75歳以上の高齢者の推移などを踏まえ、中長期的な視点に立った施策の展開が重要であると認識しており、施設整備とともに、地域包括ケアを推進することにより、施設と在宅のバランスのとれた介護サービス提供体制が構築されるよう取り組んでいく。
7 .まちづくりと合わせた交通網の整備と地域の安全・安心に向けた取組みについて
① 盛岡市盛南地区及び都南地区の犯罪及び交通事故の発生状況について
盛岡市盛南地区のように大規模な都市整備事業が行われ、各種商業施設や住宅の建設により、地域の人口、世帯数の増加のほか利用客等遠隔地からの人の出入りもある。
人や建物がふえれば、当然に犯罪も増加するものと思われ、地域住民にとっては治安の悪化が危惧されるところである。
私も、地域住民の方々と話をする中で、まちづくりが進み、新しい道路も開通し便利になったが、車や人の流れ、地域の様子が大きく変化しており、子供たちや高齢者の安全や暮らしの安全面で不安だといった声を多く聞いているところである。
まちづくりが進む中で、地域住民の方々が安全に安心して毎日を送ることのできる環境を維持していくことが大切であると考える。
そこでお尋ねするが、盛岡市都南地区と盛南地区の交通事故と犯罪の発生状況は、どうなっているか。
答弁
盛南地区、都南地区は、それぞれ盛岡東警察署のおおみや交番、紫波警察署の見前幹部交番がそのほとんどを管轄している。
両交番管内の平成25年中の犯罪や交通事故の発生状況として刑法犯認知件数は、おおみや交番管内が203件、見前幹部交番管内が269件と、ここ数年大幅な増減はないが、いずれの管内においても万引きと自転車盗が刑法犯全体の半数、これらを含む窃盗犯が全体の約8割となっている。
また、人身交通事故は、おおみや交番管内が94件、見前幹部交番管内が111件の発生で、いずれの地区も減少傾向にあり、死亡事故の発生はなかった。
② まちづくりが進んでいる地域の安全・安心に向けた警察としての取り組みについて
このようなまちづくりが進んでいる地域の安全・安心に向けた取り組みとして警察はどのような活動をされているのか、お伺いする。
答弁
これらの地域では今後も商業施設の出店や住宅地等の開発が進行し、周辺の環境も含めて変化が予想され、それに伴う犯罪や交通事故の増加も懸念されることから、自治体、町内会等と連携した各種広報、啓発活動、ボランティア等と連携したパトロールや交通指導取り締まり等の街頭活動の強化、大型商業施設等の管理者に対する自主警戒の協力要請などの犯罪抑止及び交通事故防止対策を推進している。
今後も、交番・駐在所連絡協議会等を通じて、地域住民の声を反映させながら、地域と一体となってこれらの取り組みを一層強化するとともに、交通流量の変化に応じた交通環境整備にも配意してまいる所存。
※再質問
①林業とバイオマスエネルギーの推進について
先ほどの御答弁では「今後も他分野における振興を進めていく」ということであった。
もう一方で、農林水産業に従事している若者の活躍支援の中でも、技術指導や補助事業をどんどん使ってもらえるような指導をこれからもしていきたいと、部長から御答弁いただいた。
最近、森林整備加速化・林業再生基金を利用して、何とかして燃料用チップの製造機を販売していきたいということで県のほうにお願いしている方が、県からはチップ製造機の需要先が少ないことを理由に、これをずっと認めてもらえないと聞いた。
その方は住田町の若者であるが、実際にバイオマスボイラーが普及していない時点で、需要先の確保をまずしろという無理難題を県に求められているということであるが、バイオマスを推進していくに当たり、特に、そういった若者が補助事業も使いたいというところを、無理ではなく、何とかしてそれを使えるような取り組みや方法を県が指導してあげるのが本来だと私は思う。
こういったことで、彼らは、1年半以上県に相談とお願いをしているということであった。
先ほど、若者の農林水産業における活躍支援もしていきたいという御答弁があり、逆行までは行かないが、もっと踏み込んで何とかしていっていただきたいと思っている。
沢内病院ではバイオマスボイラーを使うことになっており、今後彼らは住田町でそのチップ製造機でバイオマス普及を進めたいとしているが、特に、これから高田病院も建設されるに当たって、化石燃料というのは絶対にあり得ないのではないかと思う。
岩手県だからそこ、やはりバイオマスボイラーを導入するような高田病院にしていかなければならないということも言っている。
特にそういった若者には、バイオマスエネルギーを推進する為の様々な取り組みをしている人たちが本当にたくさんいる。
そこで、補助事業を何とかして使えるような支援を進めていっていただきたいと思っているが、その御所見をお伺いする。
答弁
木質バイオマスの振興につきましては、先ほどの答弁と基本的な考え方に変わりはない。
先ほど御指摘のあった住田町の事例に関し、申しわけないが私は承知していない。
いずれ、丁寧な説明が相手方に対し不足しておったということは事実かと思うので、御質問の趣旨をしっかり受けとめ、部としてこれは推進する立場であるので、補助事業の要件を満たすよう丁寧な説明を行うとともに、今後とも関係者なり関係部局と調整を進めてまいりたい。
② 不妊治療について
矢巾町の今年度からの取り組みで、特定ではなく一般的な不妊治療に対しても補助していくという取り組みの裏には、結局、人口減少が進んでいく中でいかに若い人たちを自分たちのところに引き込むために不妊治療の一歩進んだことをやっていく ということだと思うが、県内では不妊治療を受けている方々が急増している。
県全体として本当に人口を維持していきたいと思っているのであれば、もっと踏み込んだものにしていくべきだと私は考えているが、それについても矢巾町の取り組みを参考にしながらも含めて、御所見を伺う。
答弁
県では今年度、「人口問題対策本部」を設置し、人口減少問題に取り組んでいくということにしているが、特に自然減対策は非常に大きい問題だと思っている。
そこで、部局横断的にさまざまな視点から、今の施策の点検や拡充を検討していくわけであるが、それぞれ結婚、妊娠、出産、育児といったライフステージごとに、今の施策がどうなのかということ、それから、今やっている中で、足りないものあるいは必要なものは何かといったような視点からいろいろ検討していきたいと思っている。
さらに国のほうで、骨太の方針の中で少子化対策を充実するということも出たので、財源的にもそれを期待したいと考えており、いずれにしてもそういった全体の検討の中でいろいろ考えていきたい。
③ まちづくりが進む中での地域の安全・安心に向けて
盛岡市の都南地区というのは同じ盛岡市であっても紫波警察署管内であり、紫波町と矢巾町と都南地区が紫波署管内となる。
また、盛南地区には新しい住所の表記が生まれている地域であるが、自分の住む地域がどこの管轄署になっているのかがわからない住民も増えている。
また、死亡事故等はそんなに増えていないということではあるが、ちょうど境目である都南地区の事故・事件の発生率は、紫波署管内で6割近くになっており、人員配置の部分も含め今後も取り組んでいただきたいと思う。
答弁
人口増加や商店の出店等。様々な変化にはきちっと対応できるように検討していきたいと考えている。
住民の方々が、自分の住む地域の管轄署がわからないということがないよう、町内会、町内会がまだまだ未熟ということであれば、住民の方々と直接接するような活動も含めて進めていきたいと考えている。
④ グローバル化に対応した県のビジョンについて
グローバル化に対応した岩手県のこれからのビジョンとして、そしてまた、若者、女性の活躍支援というのを今年度から積極的にされているということで、大変期待をしているところである。
先日、知事がみずから投稿してPRをされたアメリカのgeekという雑誌をいただいた。
アメリカの友人にこれを見たかと尋ねたところ、これを見た岩手県出身の方がアメリカ人の方に「これが岩手だよ」とPRをされたそうである。
私は、これは岩手県の事業以外に知事自らが投稿なさったと聞いているが、知事のトップセールスというのは大変重要であり発信力が強いと思っており評価をしている中で、ぜひ先ほど農林水産業をはじめ復興を担う若者、女性の活動も含めて、こういったことをもっともっと知事みずから発信していっていただきたいと思っている。
震災後、台湾やクウェートなどさまざまな海外との交流ができて、平泉やILC等々、グローバル、世界とのつながりを見据えたまちづくりや人づくり、ものづくりというものを常に考えて、これからやっていっていただきたいと思うが、最後に知事の御所見を伺いたい。
答弁
御紹介いただいたアメリカの雑誌はgeekギークと読むものであるが、科学技術やSF、アニメや日本の漫画等を取り上げる雑誌で、毎月1ページ、大きい写真入りで取り上げてくれる読者自己紹介コーナーがあるので、そこに投稿して載せてもらった。
ちょうどその雑誌には、琥珀の記事やCERNの大型加速器の記事、岩手県も関係しているようなことが取り上げられており、復興のことや「いわてマンガプロジェクト」等を紹介する文章を、写真と一緒に載せたところである。
アメリカについては、MITのサミュエルズ教授が書かれた「3.11」という、アメリカや英語圏では東日本大震災について書かれた一番権威ある本だと思うが、そこでも私の名前もしょっちゅう出てきており、岩手県の発災当初、そこから復興に向けた取り組みがかなり詳しく紹介されていて、アメリカは東日本大震災直後の支援、また、今行われている「TOMODACHIイニシアチブ」などの復興支援等、非常に大きな支援をしていただいているところであり、岩手にとってこれからも大変重要な国際的なパートナーだと思っている。
台湾またクウェート等についても、復興に直面する岩手として、必要に迫られて関係を発展させているというところがあるわけだが、この関係の発展というのは、復興をなし遂げた岩手にとってはかけがえのない財産になり、岩手の未来にとって本当に貴重な財産になるものだと思っており、いわてグローバル人材育成ということについても、必要に迫られてやることではあるが、それが進んでいくことで岩手の未来がより輝かしいものになるということを期待している。
平成26年2月定例会
「決算特別委員会 総括質疑」
【質問項目】
- 1. 女性の活躍支援について
- 2. スポーツを通じた教育振興と地域振興について
- 3. 「いわての森林づくり県民税」について
1. 女性の活躍支援について
① 女性の活躍支援について
県ではこれまで、平成14年の「岩手県男女共同参画推進条例」制定をはじめとして、平成23年には「新しいいわて男女共同参画プラン」を策定し、男女共同参画を推進している。
平成25年度においては、「いわて男女共同参画プラン推進事業」などで県民への意識啓発や機運の醸成、人材育成等を行ってきたものと認識している。
また、この度県が公表した人口問題に関する中間報告の中では、女性の働きやすい職場やワーク・ライフ・バランスの実現を目指すこととしている。
女性が活躍することは、人口問題だけでなく経済活性化のために必要なことであり、東日本大震災からの復興の加速化にもつながることから、女性の活躍支援について具体的にどのように実施していくのか知事の考えをお伺いする。
答弁
女性が活躍できる社会は、女性も男性も働きやすい社会につながり、経済や地域の活性化に寄与するものと考えている。
県では「第2期復興実施計画」において、重視する視点として参画を掲げ、若者、女性をはじめとした地域住民の幅広い参画により復興の取り組みを推進していくとともに、本年5月には、県内の産業団体、経済団体等17団体と連携して「いわて女性の活躍促進連携会議」を立ち上げ、官民連携した取り組みを進めている。
これまで、県内事業所における女性の活躍に関する実態調査や活躍している女性からの講演などを実施してきており、今後は活躍している女性をロールモデルとして学生に示す事業や、女性の活躍に関する経営者向けのセミナーなどを行い、関係団体と連携して女性の活躍支援に向けて取り組んでいく。
② 女性県職員の職場環境について
女性県職員の皆さんの環境として、昨日の「子育てや介護をしながら働きやすい環境か」という質問に、知事は「県職員は恵まれているほうだと思うが、災害対応の苛酷さから厳しい項もある」という答弁であった。
改めてお伺いしたいが、県庁だけでなく県の出先機関、また外郭団体を含めて、知事は女性が本当に働きやすい職場であると認識されているのか伺う。
最近では「女性の活躍」という言葉自体聞かない日がないほどであり、女性としては大変ありがたいことではあるが、実際に実現するための具体的な施策が、先ほどの答弁からは正直なところ見えない。
これは私の家族の話であるが、盛岡市役所で働いている私の妹が育児休暇を終え10月から仕事に復帰した。
しかし、保育所が見つからず、私の両親が子供の面倒を見ている。
妹は市役所勤務にもかかわらず、そういった現状であり、恐らく県庁の女性職員にも同じような例があるのではと私は思っている。
もっと現状を把握していただくために、例えば時短をとりづらい、子供はすぐ熱が出たりするので急病のためとりたいが結局とれないなど、両親が近くに住んでいる人はいいかもしれないが、そうではない人もいらっしゃり、県庁から取り組みを始めることが私は大切だと思っており、ぜひもっと具体的な施策も掲げて女性の活躍支援をこれからも行っていただきたいと思う。
答弁
全体として女性が活躍している数や、女性社長はじめ役員の数、そうしたところなどから岩手全体を見ていると、やはりバランスがとれていないとの実態があると思われる。
そこはやはり、働きにくさ、それは就職のところから始まり、働きながら結婚する、家庭を持つ、子育てをすることの難しさ、そしてまた、会社等の中で枢要な位置についていくことの難しさというものが背景としてあるのだと思われる。
女性の活躍支援とは、男女を問わず、人間として本来あるべき働き方や、そういったことが実現すれば、おのずと結果として様々な役職につく男女比等がバランスのとれた数字になっていくはずだと考えており、やはりまだまだ努力しなければならないところがあると思っている。
2. スポーツを通じた教育振興と地域振興について
① スポーツを通じた教育振興ついて
平成25年度主要施策の成果に関する説明書によると、「健やかな体を育む教育の推進」は、推進方策指標の3指標のうちの児童生徒の「体力・運動能力調査」の全国平均値以上の項目割合で、平成22年度73.6%に対して平成25年度は41%でD、もう一つ、児童の「定期健康診断」の肥満度が正常の範囲内と判定される児童の割合もDということで、三つのうち二つの達成度がDとなっていることからも、より一層の取り組みが求められていると考える。
平成28年の「希望郷いわて国体、希望郷いわて大会」を機に、スポーツを通じた教育振興を図っていくべきであると考える。
先日、グルージャ盛岡の鳴尾監督などと意見交換をさせていただいたが、鳴尾監督も、規律、自律、挨拶、マナー、フェアの精神、スポーツは人間教育から始まるということを仰っていた。
全国に比べ、本県の子供たちの体力や運動能力の低下が見られていることから、スポーツを通じた教育振興について力を入れていくべきだと考えるが、知事の考えをお伺いする。
答弁
本県の学校教育においては、知、徳、体を備え調和のとれた人間形成を目指し、「いわて県民計画」をもとに取り組みを推進しているところであるが、学校体育においては生涯にわたって健康を保持増進し、豊かな心や健やかな体の育成を図っていくことが大事である。
本年度の政策評価における、「健やかな体を育む教育の推進」の結果については、被災地において運動環境がいまだ制約されていること、通学環境の変化などにより、児童生徒の体力や運動能力、肥満度などがD評価となっている。
教育委員会においては、このような現状を踏まえ、限られた環境でも実施できる運動プログラムの提供や、各校の運動機会の拡大に向けた教職員研修、食生活の改善指導などに取り組んでいると承知している。
スポーツには、県民に夢や希望を与えるとともに、次代を担う子供たちの人間形成を図る上で大きな力がある。
2年後の「希望郷いわて国体、希望郷いわて大会」の開催は、県民のスポーツへの関心を一層高める絶好の機会であり、この機会を十分に活用して児童生徒の体力向上などにも一層取り組んでいく。
② 事前合宿の誘致やスポーツ観光推進への取り組みについて
「希望郷いわて大会」は障がい者のスポーツ大会であることから、今大会を機に、社会全体でバリアフリー化を図る機会にもなると思っている。
車椅子利用者に必要な整備をすれば、高齢者、そしてベビーカー利用者の子育てにも優しい社会となると考える。
さきの一般質問に対する答弁では、「東京オリンピック、パラリンピックの事前合宿等の誘致も視野に入れながら、各種大会合宿の誘致やスポーツ観光の推進による交流人口の拡大を図っていきたい」と伺った。
合宿の誘致やスポーツ観光の推進を図るに当たっては、本県の豊かな自然や食文化など岩手らしさを生かした取り組みも必要であると思うが、そういった取り組みをどのように展開していくつもりなのかお伺いする。
答弁
2年後の「希望郷いわて国体、希望郷いわて大会」の開催を初め、「2020東京オリンピック・パラリンピック」などは、多くの方々に本県を訪れてもらう絶好の機会として捉えている。
このため県としても、本年2月に県、市町村、観光協会、スポーツ関係団体が情報共有を図るとともに、合宿などの本県への誘致を目指す「スポーツツーリズム推進連絡会議」を設置した。
現在、本県の各市町村においては、各地域の資源などを生かした取り組みが行われており、例えば、花巻市における温泉宿泊施設を生かしたスポーツ合宿誘致や八幡平市の冷涼な気候を生かしたラグビーなどの夏季合宿誘致など、スポーツを核とした地域振興に取り組んでいるところである。
また、盛岡地区の8市町においては、今年度、共同して、スポーツ観光客や合宿の誘致に向け、施設、食材、交通アクセスなどを紹介するパンフレットの作成が進められている。
県としても、これら各市町村で行われている取り組みを一層促進するとともに、本県が全国に誇る豊かな自然や伝統文化、食材などをアピールしながら、事前合宿の誘致やスポーツ観光の推進による交流人口の拡大を図っていく。
3. いわての森林づくり県民税について
① 「いわての森林づくり県民税」の成果について
岩手県は北海道に次ぐ森林県であり、多面的機能を有している。
一方、木材価格の長期低迷や林業従事者の減少、高齢化などといった問題があり、管理が行き届かない森林が増えている。
県では、平成18年4月に「いわての森林づくり県民税」を創設し、平成18年度から平成25年度までの8年間で約56億円の税収をもとに事業を行っているが、その事業の成果はどうなっているかお伺いする。
答弁
「いわての森林づくり県民税」は、平成18年4月に課税期間を5年として創設し、その後、内容を一部見直し、平成23年度から平成27年度までの第2期がスタートし、現在に至っている。
この間、公益上重要であり、かつ管理が行き届いていない混み合った森林を高い割合で間伐し、針葉樹と広葉樹が入り混じり、水源の涵養などの公益機能の高い針広混交林への誘導を行うためのいわて環境の森整備事業については、平成25年度までの整備目標面積約1万2、300ヘクタールに対し、ほぼ計画どおりの約1万1、900ヘクタールの面積を整備したところである。
また、県民が行う森林を守り育てる活動や、児童生徒の森林学習などを支援する県民参加の森林づくり促進事業などのソフト事業については、これまでに延べ3万6、000人余りの県民の方々の参加をいただいた。
このような取り組みを進めたことにより、森林環境の改善が図られるとともに、森林環境保全に対する県民の参画と理解の醸成が進んでいるものと認識している。
② 今後のあり方について
「いわての森林づくり県民税」は、平成27年度までの期間となっているが、未整備の森林もあり、こういったことを考えると引き続き森林整備に取り組む必要があると考えるが、今後のあり方についてどのように考えているかお伺いする。
答弁
制度創設時点、管理が行き届かず緊急に整備が必要な森林は県内全域で約2万6、000ヘクタールと見込んでおり、第2期が終了する平成27年度末までの目標面積約1万5、500ヘクタールが整備された場合でも、残りの約1万ヘクタールの整備に向けた取り組みが必要と考えている。
今後、「いわての森林づくり県民税事業評価委員会」などにおいて、これまでの取り組みの評価を行い、管理が行き届かず緊急に整備が必要な森林も含めた森林づくりのあり方や、森林環境保全の重要性に対する県民理解の醸成のあり方などについて、御議論をいただくとともに、県民の皆様方の御意見も頂戴しながら、第3期への事業継続の必要性も含めて幅広く検討してまいりたいと考えている。