議会答弁・議事録

Parliament

平成24年12月定例会
「一般質問」

【質問項目】

  1. 1. 知事の政治姿勢について
  2. 2. 仕事と子育ての両立支援と少子化対策について
  3. 3. 放射性物質の影響とその対策について
  4. 4. エネルギー政策と森林・林業再生について
  5. 5. 環境王国いわてにむけた取組みについて
  6. 6. 伝統工芸品と観光振興について
  7. 7. 若者の雇用創出のための産業振興と人材育成について
  8. 8. 県有施設の有効活用について
  9. 9. 学校図書館とキャリア教育について

1.知事の政治姿勢について

今定例会は総選挙の真っただ中にあるが、県政課題は山積しており、震災からの復興を筆頭に私たち県政に携わる者は、県政課題解決に向けた議論を第一にすべきと考える。
地域政党いわてとしては、これまで、知事の国政へのかかわり方などに県政を推進するトップリーダーとしてさまざまな懸念を示してきた。
今次、解散総選挙へのスタンスについても申し上げたい事項が多々あるが、選挙中ということもあり、あえて控え、次回以降の議論の場でその懸念については会派としてただす予定である。
ただし、知事には、選挙期間と県議会定例会が重なる中で、県政優先、議会対応が第一という姿勢を明らかにしていただきたいと思うが、所見を伺いたい。

答弁
私は、東日本大震災津波の被災県知事として、被災地に寄り添いながら、復興計画及びいわて県民計画を推進しているところであり、今後とも、この大震災からの復旧、復興を進める知事としての役割を果たしていかなければならないと考えている。
県議会については、執行機関としての県とともに、地方行政における車の両輪として機能することが求められており、県政課題について、議員側と県執行部側との活発な議論が交わされることが、県政運営上、極めて重要と考えている。
したがい、これまでも県議会において知事として真摯に対応してまいったし、本議会もそのように対応しているところである。
その上で、私の政治活動については法令の趣旨に沿って、適切に行動していきたいと考えている。

2.仕事と子育ての両立支援と少子化対策について

少子化の原因の一つに、未婚化、晩婚化、非婚化が挙げられる。
結婚に対する価値観が変化する中、多様化した価値観に対して、結婚を促すことが果たして課題解決につながるかは疑問である。
私は、少子化対策として、まずやれるべきことは二つあると考えている。
一つは、子供が欲しいけれども子供を授かれないカップルへの支援、いわゆる不妊治療への支援、そしてもう一つが待機児童の解消である。
少子化や人口減少が進む中、今いる子供たちをまずは社会全体で守り育てる環境整備をすることが重要であり、また、そうすることで、これから結婚し子供を持とうとする若い世代に子供を産み育てることの楽しさ、すばらしさを感じてもらい、結婚、子育てに対し不安を与えることのない社会づくりをしていく必要がある。

① 子供を安心・安全に預けられる環境整備について
現代の女性は、結婚しても、また、子供ができても仕事を続けたいという方がほとんどであるが、実態はまだ困難な状況にある。
仕事と子育てを両立するには、まずは子供を安全・安心に預けられる環境でなくてはならない。
待機児童の解消が何よりの少子化対策の一つと考えるが、認可外の施設の希望者や、最初から入園を諦めてしまっている場合はその数に含まれないため、民間の調査では潜在的な待機児童が相当数存在するとも言われており、県で把握している待機児童数についても潜在需要がカウントされていないのではという懸念がある。
預ける側の視点で保育所の体制を見直し、保育ニーズを正確に把握する必要があると考えるが、県では、待機児童の数についてどう分析し、待機児童の解消、放課後の児童の居場所の確保等、保育所等の整備でどのような成果を上げてきたのか、また、解決に至らない原因をどう認識し、今後どのように仕事と子育ての両立支援に取り組んでいこうとしているのか伺う。

答弁
保育所の待機児童数については、国が定めた待機児童に関する定義に基づき、保育の実施責任のある市町村を通じて調査を行い、その把握に努めている。
潜在的な保育需要については把握していないが、平成23年1月に、認可外保育施設や幼稚園の預かり保育等を利用している児童の保護者約4,000人を対象に、今後の認可保育所の利用希望等に関する調査を実施した結果、認可保育所の利用が可能であれば利用を希望する者の割合は、回答者約1, 700人のうち約600人、34%となっております。一定程度の潜在的な保育需要があると認識している。
県では、待機児童の解消に向けた取り組みとして、平成21年度から保育所の緊急整備に重点的に取り組んだ結果、平成23年度までの3年間で38カ所の保育所整備を行い、863名の定員増を図ったところである。
また、放課後児童クラブについては、平成24年5月現在で295クラブと、平成21年度から41クラブ増となっている。
しかしながら、県内の保育所における待機児童数は増加傾向にあり、その理由として、新規就労希望者の増加や、産後休暇後、すぐに職場に復帰する方の増加などが要因であると推察している。
このため、県においては、市町村に対し、引き続き待機児童数のほか認可外保育施設の利用状況等、地域の多様な保育ニーズを十分把握した上で、保育所や放課後児童クラブの整備計画等を策定するよう助言するなど、仕事と子育ての両立に向けた支援を行っていく。

② 低所得者世帯に対する保育料の保護者負担の軽減について
非正規雇用等による低所得により生活が安定しない若者が増えている中、非正規雇用のままであっても安定した社会保障が受けられる制度改革が必要であると私は考える。
子供を預けられる環境が整ったとしても、実際には低所得等のため保育料を負担できず、子供を預けられない世帯があることから支援策が必要だと思うが、それについて県ではどのように考えているか伺いたい。

答弁
保育料は児童福祉法に基づき、国が全国一律に定めている保育所徴収金基準額を基本とし、市町村が地域の実情に応じて独自に設定しており、現在県内すべての市町村において、保護者負担の軽減を図るため、国で定めている基準額を下回って保育料を設定している。
県としては、保護者の負担が増大することのないよう、こうした市町村の取り組みを支援するため、全国一律に保育所徴収金基準額を定めている国に対して、その引き下げを毎年度要望しているところである。

3.放射性物質の影響とその対策について

東日本大震災津波発災後、今なお私たちの生活を脅かしているのが福島第一原発事故後の放射能被害である。
シイタケ生産者の方に先日お会いし、先行き不安定な状況に苦しんでおられた。
農林水産業事業者はもちろんのこと、風評被害で打撃を受けた観光業界を初めとする、今回の放射能被害で経営等に影響を及ぼされた県民に対する継続的かつさらなる支援拡充、東電への賠償請求と、今後も引き続き放射性物質被害に対する素早い対策を講じていただきたいと思う。
牧草等、放射性物質に汚染された廃棄物の焼却、処分等、まだまだ課題が山積している。
現在、原発が一つの争点にされた選挙戦が繰り広げられている。
もちろん私は、原発に頼らない再生可能エネルギー政策へ国としてシフトしていただきたいと強く願っている。
しかし、政府がやるべきことは将来に対する決断だけではなく、それと同時に、起きてしまったことに対する責任行動であると考える。
どの政党が政権を握っても、原発事故で苦しんでいる国民に対する一刻も早い措置を講ずる責任があるはずである。
そして、防災計画の見直しや原発関連施設を抱える隣県との協定等、今すぐにでも県として独自にできることも多々ある。
今日は放射性物質から県民の健康、安全・安心を守るという観点から質問を行いたい。
特に、健康への影響が一番大きいと心配される子供たちへの対策に焦点を絞り伺う。

① 子供たちの健康の確保
先ほども少子化対策について取り上げたが、少子化が進む中、私たちの社会にとってその子供たちはかけがえのない大切な財産である。
放射性物質の影響を一番受けやすいとされるのは子供たちである。
子供たちを安全・安心に守ることができれば大人にとっても大丈夫だという考えから、私たちの宝であるこの将来ある子供たちの健康をどのように守っていくおつもりなのか、知事のその意気込みについてお示し願いたい。

答弁
県では、昨年7月に原発放射線影響対策の基本方針を策定した。
その基本方針の中で、県民の安全・安心の確保、とりわけ放射線の影響を受けやすいとされる子供の健康や食の安全・安心を重視するという方針を掲げている。
その方針のもと、学校等の教育施設を初めとした県内各地の放射線量の低減や県産食材、学校給食の検査など、放射線影響対策に取り組んできたところである。
岩手の復興、岩手の未来を担うのは子供たちである。
今後とも、市町村と一層連携を図りながら、引き続き放射線量の低減措置を積極的に推進するとともに、内部被曝状況の継続的な把握、放射線に係る健康相談支援やリスクコミュニケーション等に総合的に取り組み、子供たちの安全・安心の確保に努めていく。

② 子供たちの健康への影響について 
県で県南3市町の子供たちの尿検査を今年度も継続することに対しては、大変感謝し、評価している。
しかし、放射性物質の人体への影響等については知見が乏しいことから、県においては、国の動向に左右されずに、早期発見、早期治療の予防原則にのっとって、子供たちを率先して守るためのあらゆる策を講ずるべきと考える。
また、県内では、県南以外の場所でも放射性物質の値が高いホットスポットと呼ばれる場所がある。
そこで伺うが、県が行う子供たちの健康への影響に対する対策について、尿検査のみで十分だという認識であるのか、ホットスポットに住む子供たち等、県南3市町以外の子供たちの健康状況への認識も含め、課題をどのように捉え、また、今後どのように取り組んでいくおつもりなのかお示し願う。

答弁
県ではこれまで、比較的空間線量が高い県南部を中心として、県独自で子供を対象とする放射線内部被ばく健康影響調査を実施した。
その結果については、有識者会議において放射線による健康影響は極めて小さく、対象者や地域の拡大等を含む調査の継続は必要ないと考えられるとの見解をいただいたところである。
こうした評価について、県民に対する周知に努めてきたところであるが、県南部を中心に放射線の健康影響に対する不安は必ずしも解消されていないと承知している。
今後の取り組みとして、現在前回健康調査を行った子供たちの継続調査を行っているところであり、年明けには有識者会議に諮り、結果について評価をいただくこととしている。
その評価については、リスクコミュニテーションの観点から、引き続きわかりやすく県民の方々に伝えていくように努めていく。

③ 甲状腺検査の実施について
先般、県内諸団体から要望書が提出され、甲状腺検査の実施と「岩手県放射線内部被ばく健康影響調査有識者会議」へ市民の代表を加えることについて求められているが、県としての見解をお示し願う。

答弁
現在福島県で行われている甲状腺検査においては、甲状腺の良性疾患であるのう胞や結節が4割前後で発見されているが、国においては福島県以外の3カ所以上の場所で福島県の調査と同じ基準で甲状腺超音波検査を実施し、その結果を疫学的に比較する調査を実施していると承知している。
先ごろ開催した本県の有識者会議においては、この調査結果を踏まえて対応を検討することが適切ではないかとの意見もいただいており、県としては、この国における調査なども勘案し、必要な対応を検討していきたい。
また、有識者会議への市民代表の参加については、有識者会議は放射線防護学や緊急被曝医療等の専門家により構成しており、放射線の内部被曝調査の方法や評価について、技術的、専門的な見地から助言、評価をいただくことを目的として設置したものである。
県の方針や政策的判断を決定する場ではないことを御理解いただきたい。
なお、県民の方々や各種団体からの意見等を踏まえ、これまでも内部被ばく健康影響調査の継続や健康相談等支援事業費補助制度を創設してきたところであり、県としては、今後とも県民の要望に広く耳を傾けていく。

4.エネルギー政策と森林・林業再生について

県の掲げているエネルギー政策については、岩手県の特色あるエネルギー政策として、バイオマスエネルギー、特にも、地元に雇用を生む木質バイオマスを牽引役として推進していくことが有効と認識している。
県内では、地域や民間等と連携した先進的な取り組みが見られる自治体がふえており、県としてさらに後押ししていくべきと考える。
政府は、2020年の木材自給率を50%にするという目標値を掲げている。
県が取り組む川上、川中、川下のそれぞれの課題の中でも、特に、川上については林内路網の整備、川中については合板工場の誘致、川下については県産材の利用拡大を図ることが急務だと私は考える。

① 川上の林内路網の整備について
国では「森林・林業再生プラン」において、林道、林業専用道、森林作業道の3区分に整理してそれぞれの役割を明確化するとしているが、県の計画にはそれが反映されていないのではないか。
県の目標は林道に対するものしか設定されておらず、しかもその数値は平成10年度に策定された「民有林林道網整備計画」にのっとったもので、新たな森林・林業再生プランに合っていないのではないかと考える。
県の路網密度は、現在、1ヘクタール当たり24.4メートルと、全国平均の21.5メートルは上回るものの、ドイツでは、現在、1ヘクタール当たり100メートル以上の路網密度となっており、国としても、これまでの日本の路網密度の設定自体が低過ぎたのではと指摘している。
高性能林業機械の活用等によって林業の生産性を向上させていくためにも、林内路網整備は早急に進める必要があると考えるが、県独自の路網整備目標の見直しを含めて県の所感を伺う。

答弁
国は平成22年11月に、「森林・林業再生プラン」を実現していくための検討結果を公表し、その中で、路網を林道、林業専用道及び森林作業道に区分し、傾斜や搬出方法に応じた目指すべき路網整備水準を示している。
これまで、県は「民有林林道網整備計画」を策定して以降、平成17年度に策定し、平成22年度に見直した「林道整備事業中期実施計画」に基づき林道の整備を推進してきたが、国が傾斜や搬出方法に着目した路網整備水準を示したことや、本年4月から、計画区域ごとに森林整備を進める「森林経営計画制度」が開始されたことから、県としては、国が路網区分ごとに示した整備水準も踏まえながら、計画に沿って経営される森林を重点に整備を図っていく必要があると考えており、現在、計画区域における路網整備の進め方の検討を進めている。

②川中の合板工場の誘致について
被災した大船渡市の北日本プライウッド合板工場が再開を断念した。
森林組合関係の方々は、これからますます復興に向けた住宅建築等への木材需要が見込まれる中、他県から木材が入ることになってしまうのではないかと不安を抱いている。
そこで、県ではこれまで、合板工場等の誘致を進めると答弁してきたが、実際にどのような誘致活動を行ってきたのか、また、今後の誘致見込みと県としての対応についてお示し願う。

答弁
大きく被災した大船渡地区の合板工場が事業再開を断念したことなどから、県は、行き場を失った原木等の新たな供給先への流通経費の支援等に取り組んできたが、林業、木材産業の振興のためには、木材の加工、流通が円滑に運ぶよう、合板工場などの加工施設を整備していくことが重要と認識している。
このため、県としては、県産材の供給先となる合板工場をどのように誘致していくかなどにつき、企業立地部門と林業振興部門が一体となり検討し、林業関係団体とも連携しながら取り組みを進めている。
今後とも、県産材の安定した供給先が確保できるよう、実現に向けて取り組んでいく。

③川下の県産材の利用拡大について
県産材については、材を多く利用する住宅建築への利用拡大を促進すべきと考える。
先日、東京ビッグサイトで開催された「ジャパンホーム&ビルディングショー2012」へ参加した。
ふるさと建材見本市には秋田県、岐阜県、三重県等多数の県が参加しており、中でも秋田県は10年連続参加と伺った。
参加企業の方々には「続けることが大事。東京に来て他の企業の技術や他県の取り組みを勉強でき、交流が図れるので意欲も湧く。」と伺い、このような全国展示会等への参加は県産材のPRに大変有効と考える。
また、山形県、山梨県、奈良県等では、企業等と連携または協定を結び、県産材の利用拡大に努めている。
なお、秋田県では、平成22年10月に施行された「公共建築物等木材利用促進法」に基づき、木材利用に係る市町村方針を全国で初めて県内全市町村で策定され、県が整備する公共建築物のうち、法令等で規制がない低層の公共建築物は原則木造化、木造化が困難な場合を含め、全ての公共建築物の内装等の木質化を進めており、今般、秋田空港の内装の秋田杉による木質化が決まり、公共性の高いロビー等は県費で行うとのこと。
このような取り組みを参考に、岩手県でも住宅メーカー、企業等と連携を図り、これからますます復興需要の見込まれる住宅建材等への県産材利用拡大に取り組むべきと考えるが、県ではどのように県産材の利用拡大に取り組んでいく考えか具体的に伺う。

答弁
本県では、平成15年12月に「岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画」を策定し、県が率先して県産材利用に取り組むとともに、市町村に対しても「公共建築物等木材利用促進法」に基づく市町村方針の策定と県産材利用を働きかけてきた。
また、大震災津波被害を踏まえ、本年4月に第3期行動計画の県産材利用量を上方修正し、木造住宅の建設や内装材への活用など、災害復興住宅も含めて利用拡大に取り組んでいる。
このほか、県産材を使用した民間の復興住宅等の建設等に対する助成や、地域型復興住宅の建築を推進する工務店、林業、木材産業関係者で構成するグループへの情報提供や助言などに取り組み、県産材の利用拡大を図っている。

5.『環境王国いわて』 に向けた取組みについて

「環境王国いわて」の実現のためには、かけがえのない地球環境を守り、限りある資源を有効に活用していこうとする循環型社会の形成が重要である。
県でも、物を大切にする、ごみは出さない、資源を大切に使うというごみの減量、リサイクルを通じた3R─リデュース、リユース、リサイクルの行動が「環境王国いわて」のライフスタイルの基本としている。
一方、本県の災害廃棄物、いわゆる瓦礫の推計量は525万トンで、平成26年3月の処理完了を目指しているが、本年10月末現在の処理進捗率は19.7%となっている。
しかし、県内のごみ処理施設では、被災地からの災害廃棄物を受け入れることにより、その処理量が増加している。
災害廃棄物の処理が早く終わることにこしたことはなく、私たち県民の日ごろのごみの軽減により、少しでも県内のごみ処理施設の負担や最終処分場での埋め立て量を減らすことが求められている。
県民一人一人の日常的な取り組みを通じて災害廃棄物の処理を一日も早く終わらせることは、震災からの復興はもちろんのこと、真の「環境王国いわて」の実現に向けた県民意識の醸成、高揚にもつながるものと考え、順次質問したい。

① リサイクルの向上と普及について
平成22年度の岩手県のリサイクル率は18.7%で全国平均の20.8%を下回っており、ここ数年を見ても、ほぼ横ばいで常に全国平均を下回っている。
県内市町村別のリサイクル率を見ると、滝沢村、住田町、紫波町等が常に上位を占めている。
県として、そのリサイクル率の高い要因を把握、分析し、リサイクルの優良モデルとして他市町村への普及に取り組んでいるのか、今後リサイクル率を向上させるためどのように取り組むのか伺う。

答弁
県内でリサイクル率が最も高い岩泉町では、平成14年度にリサイクル推進員を設置し、ごみの分別に係る個別訪問による指導を地道に取り組み、古紙などの集団回収を積極的に実施している。
また、紫波町では住民団体などが主体となって3R推進のイベント、事例発表や地区ごとの座談会の開催を行うなど、循環型の地域づくりに積極的に取り組んでいる。
県では、こうした先進事例を市町村担当職員からなる家庭ごみ有料化・減量化研究会の場などを活用しながら情報共有するとともに、技術的な助言や普及啓発活動などを通じてリサイクル率の向上に努めており、今後とも、リサイクル率の低い市町村の底上げを図るなど、市町村の取り組みを積極的に支援していく。

② 古着のリサイクルについて
リサイクルは、ガラス瓶、紙、プラスチック等の容器包装のリサイクル、家電のリサイクル、携帯電話や電池やパソコン等のリサイクル、古着のリサイクルに大別される。
これらの中で、身近で可能性が十分にあるのに取り組みが不十分であるのが古着のリサイクルだと考える。
古着のリサイクルをもっと推進すれば岩手県のリサイクル率の向上に寄与できるものと考えるが、県の所感を伺う。

答弁
主に工業用雑巾などの原材料としてリサイクルされてきたが、近年では再生事業者の引き取り数量が減少した影響などから資源化量は減少傾向にあり、現在、分別回収を実施しているのは6市町村にとどまっている。
こうした中、新たに県内の古着販売事業者と市町村が連携し、リユースに比重を置いた集団回収が始まってきており、今年度は6市町村において、自治会、子供会などと連携して、8月から10月までに約60トンが収集され、再利用に回されているところである。
古着の再利用は、工業用雑巾などへの再生利用が減少する中にあって、リサイクル率向上のための有効な方法の一つであることから、こうした取り組みをもったいない・いわて3R推進会議や家庭ごみ有料化・減量化研究会において情報共有するなど、今後古着の資源化を一層進めていく。

6.伝統工芸品と観光振興について

日本経済の低迷が続く中、地域経済の活性化のためには、グローバルな視点で先々を見越した戦略が必要である。
今後、世界で生き残れる産業を育成していくためのキーワードは『岩手にしかないもの・岩手だからこそ』であり、これらに合致するものの一つが本県の地場産業である伝統工芸品と考える。
南部鉄器や浄法寺漆だけでなく、東山和紙、織物、染物、木工品、竹、わら細工等、岩手が世界へ誇れる職人技、職人芸である。

① 伝統工芸品の海外戦略品目への位置づけと後継者育成について
県工業技術センターの取り組みも評価しつつ、この伝統工芸品を世界に本県を売り込む戦略品目と位置づけて振興に取り組み、また、後継者育成にもさらに力を注いでいただきたいと思うが、県の所感を伺いたい。

答弁
和紙、織物、染物、木工品や竹、わら細工などの伝統工芸品については、地域の歴史、文化、自然を生かし、すぐれた職人の技により継承されてきた魅力あふれる県産品であり、本県の特色ある財産の一つと考えている。
これらの伝統工芸品を海外戦略の品目として位置づけることについては、本県の魅力発信に活用できる可能性があるものの、輸出の面では、現地ニーズの把握や安定した供給体制の確保などの課題もあり、慎重な検討が必要と考えている。
また、後継者育成については、伝統工芸産業においては、従事者の高齢化等による後継者の確保が重要な課題となっている。
このため、県では今年度から3年間の予定で「緊急雇用創出事業」を活用し、南部鉄器、秀衡塗、岩谷堂箪笥の後継者8名の育成に取り組んでいるところである。
今後とも、伝統工芸品については、ホームページ等によるPRやいわて特産品コンクールを初め、工芸展、物産展への出展による販売促進や魅力発信により、その技能を継承する後継者の参入を促すとともに、伝統工芸産業を担う各産地組合や事業者に対しては、伝統工芸に係る国などの事業を導入することにより、後継者の育成を支援しながら伝統工芸産業の振興を図っていく考えである。

② 県の観光ホームページについて
県の関与する観光ホームページは、確認できるだけで23個と承知しているが、アクセス数の分析結果に基づき、各ホームページの充実を図ってきたのか伺いたい。

答弁
アクセス数の分析については、本県の代表的な『観光ポータルサイトいわての旅』では、平成16年度から平成19年度のアクセス件数が約30万件であったが、平成19年度に大規模なリニューアルを行い、その結果、平成20年度のアクセス件数が約94万件、それ以降は150万件から160万件程度に急増したところであり、他のサイトにつきましても、アクセス数を把握しながらその充実に努めているものと承知している。

③ 観光ホームページの情報集約による利便性の向上について
県が関与する観光ホームページは、一つ一つがそれぞれとても魅力的で、情報が満載。
情報が豊富であることは重要な要素であるものの、ホームページ訪問者に対する利便性を考慮する必要もあるのではと考える。
利用者の望む情報が、県の観光ホームページ23個のうちどれか一つのホームページで入手できるよう改修し、ホームページのワンストップ化、利便性の向上を図る必要があると考えるが、御所見を伺う。

答弁
県が関係しているウェブサイトは、それぞれに開設目的や主たるターゲットがあるものの、本県を訪問する観光客にとってはいずれも有用な情報が盛り込まれていることから、県の観光ポータルサイトいわての旅への情報の取り込みや相互リンクの一層の充実などにより、一元的な情報提供に努めていく。

④ 観光ホームページの魅力度の向上について
利用者に対し、岩手を訪問したい、旅したいと強く感じるような魅力度の向上も必要と考える。
このため、現在のホームページで行っている訪問場所のみを順番に掲載する方法に加え、食事や宿泊情報を1コースセットで掲載するのはいかがか。
現在の観光モデルコースに、農業体験や先ほどの伝統工芸品等と観光コースをセットで提案したり、日帰り、1泊、2泊やカップルの旅、女性の旅、夫婦の旅など、目的や用途に合った具体的な選択肢やモデルコース等、岩手の魅力を生かした新たなコースの提案、発信により県の観光ホームページを充実させ、観光振興を図るべきと考えるが、所感を伺いたい。

答弁
いわてDCの実施にあわせて、旅行商品等の予約サイトへの直接リンクの設定やオリジナル旅行コース作成機能の追加など、内容の充実を図ったところである。
食事、宿泊、伝統工芸品の情報をセットで掲載、提案することなどにつきましては、各種民間サイトとの機能分担や公平性など、県が観光ポータルサイトを運営する上での制約やホームページの改修が必要となるなどの課題もあることから、引き続き調査研究していく。

7.若者の雇用創出のための産業振興と人材育成について

岩手は、震災前から過疎化の問題が顕著で、震災後は特に被災地から若者が減っているのが現状である。
その大きな原因は、雇用が確保されないための将来不安。
また、岩手の地域経済を活性化するためには、その一つの方策として、県内に本県の将来を担う若者の雇用の場を確保し、U・Iターン者をふやすことが有効と考える。

① 若者の雇用を創出する産業振興について
特にも、エネルギー、環境分野はもちろんのこと、ゲームを含めた携帯用アプリ開発等のICT関連など、若者に関心が高く、魅力ある新たな産業の創出が重要と考える。
特に、ICTについては、技術さえあれば仕事の場所を選ばないため、将来性の高い分野だと考える。
県内では、岩手ゲームファクトリーやいわてデジタルコンテンツ産業育成プロジェクト等の発足、東北最大規模の電子書籍の制作センターがつくられるなどの動きもある。
知事は、どの分野に特に力を入れ、岩手の産業振興を今後どのように展開していくお考えか伺いたい。

答弁
本県経済の活性化や人口の社会減等に対応するためには、若者が魅力を感じて働ける雇用の場や、Uターン、Iターンの受け皿となる産業の創出が不可欠である。
このため、裾野が広く雇用吸収力も高い自動車、半導体、医療機器関連産業を中核産業と位置づけるとともに、今後成長が期待される次世代自動車や環境・エネルギー、ロボットなどの産業分野の振興にも取り組んでいる。
これらを支える重要な基盤技術であるICT関連技術は若者の関心が高い分野であり、この産業の振興を行うことで、ICT関係学部の卒業者の県内就職の促進や、ICT関連の職種を希望するUターン、Iターン求職者の受け入れにより、若者の雇用創出に努めている。
また、新たな産業分野といたしまして、若者の関心が特に高く、技術や市場の進化が見込まれるデジタルコンテンツ産業の育成に向けて、県内の産学官関係者でプロジェクトを立ち上げ、ゲーム開発塾や講演会を開催するなど、その取り組みを支援している。
県としては、今後ともこれらの取り組みにより、若者にとって魅力ある新たな産業を創出していく。

② 岩手県立大学のICT対応と人材育成について
県内では、ICTに精通し、利活用を進めることのできる人材が不足していることから、岩手県立大学等の果たす役割が重要と考える。
岩手県立大学にはソフトウェア学部があるが、ICTの進展は目覚ましく、今後もますます技術革新が進むと思われる中、時代の流れに合った講師陣または授業内容等になっているのか。
また、大学の質の低下について危ぶまれる近年、県立大学では現在、具体的にどのような魅力ある特色づくりに取り組んでいるのか。

答弁
岩手県立大学のソフトウェア情報学部では多様な専門領域の教員を配置するほか、企業から学外講師を招聘し、コンピューターサイエンスを基礎に加え、最新の技術や幅広い社会ニーズに対応する四つの専門コースを設けるとともに、1年次から所属する専門分野ごとの講座制による4年間の専門教育と人間教育に一体的に取り組み、高度なICT人材の育成を図っているところ。
また、実学重視の観点から演習重視のカリキュラムを取り入れるとともに、震災復興等の地域課題に対する実学実践の教育研究活動、小学生から高校生を対象としたIT体験教室や育成講座の開設など、特色ある取り組みを幅広く展開しているところである。

③ 学外教育について
震災後は、学生ボランティアセンターや復興ガールズなど、学生たちの活動ぶりに将来への希望を感じる。
学生たちが地域社会に貢献できる人材育成にさらに力を入れていただきたいと思う。
他県では、学外教育の充実を図り、教育力に力を入れている大学もある。
インターンシップ、ボランティア、海外の認定校への留学などに参加できるプログラムを用意するなど、社会人としての基礎となる社会性の養成にも力を入れていくべきと考えるが、ICT産業の人材育成も含め、御所見を伺う。

答弁
中国や台湾、オーストリアの大学と国際交流協定を締結しているほか、アメリカの東ワシントン大学への短期留学の派遣プログラムなどを行っているが、学生や企業等のニーズも踏まえ、今後も充実を図っていきたいと考えている。
なお、今後の学部教育の充実に向けて、新入生の基礎学力の不足を補うリメディカル教育や社会性を涵養するためのキャリア教育の充実を図ることを念頭に、来年度からのカリキュラム改定を予定しているところである。

8.県有施設の有効活用について

① 県有未利用資産等活用・処分方針について
県の所有する財産について、公共施設の設置の見直し、行政組織及び県立学校の再編等に伴い、現在、未利用あるいは今後用途廃止が見込まれる土地、建物が増加傾向にあるなどの考え方のもと県有未利用資産等活用・処分方針が策定されたが、この方針が策定されたのは平成23年2月で、3月11日の東日本大震災津波発災前のことである。
震災後県では、「復興基本計画」を策定され、その実現に向けて取り組んでいる今、県の目指す「希望郷いわて」の実現のためにも、県有財産に対する基本姿勢、特にも、県による有効活用─再利用に対する考えをまずは改め直すべきと考えるが、県の考えを伺いたい。

答弁
まず第1に、県が公用または公共用として利用することが適当と認められる資産については、全庁的に情報を共有しながら有効活用を図ることを掲げており、次いで、県が利用する予定のない資産については、地元市町村による活用や民間等への売却等の処分を推進することとしており、県による有効活用を前面に打ち出しているところである。
また、東日本大震災津波発生後は、被災地を支援するため、県が所有する土地や建物を仮設住宅等に積極的に利用することとし、市町村など関係機関と連携のもと、瓦礫等の仮置き場や応急仮設住宅やその敷地、ボランティア拠点等といった形で活用しているが、この中には活用・処分計画におきまして売却対象としている未利用資産も含まれている。
このように県による有効活用を基本として、震災後の状況変化をも踏まえた運用を図っており、未利用資産等に係る方針そのものを見直す必要はないものと考えている。

② 旧盛岡短期大学跡地について
また、旧盛岡短期大学跡地についても、地域住民からは公共的施設としての利用を図ってほしいとの要望も出ている。
廃校となった中学校跡地をワーキングスペースとして活用し、若手起業家の支援にもつながっている「世田谷ものづくり学校」等も参考に、復興拠点施設や文化芸術振興施設等として利用するなど、売却ではなく、県が利用する方針で再検討する必要もあると思うが、県の考えを伺う。

答弁
当該施設については、県有未利用資産等活用・処分方針に基づき、県として公共的な利用が見込まれないことから売却対象資産に整理し、民間事業者への売却を視野に検討を進めてきたところである。
こうした経緯も踏まえつつ、引き続き、県による公共的な利用の可能性が生じていないかどうか全庁的に情報共有しながら、跡地の公共的な利用や民間事業者の売却について検討を進めていきたいと考えている。

9.学校図書館とキャリア教育について

① 学校図書館担当職員の配置状況と学校図書館の位置づけについて
県の高等学校の学校図書館担当職員、いわゆる学校司書配置状況は、平成22年度9.2%と、1位が100%の中、全国ワースト2位となっている。
しかも、県立高校では、平成22年度の配置数5校が平成24年度には3校へ減っている。
県として学校図書館の機能充実を怠ってきた結果ではないだろうか。
確かに図書館を利用する高校生の数は減ってきているかもしれない。
しかし、だからといってないがしろにしてよいはずはない。
学校とは、誰にとっても最低限の教育の機会を確保すべき場所であり、図書に触れる子供たちが減ってきている中、学校において図書に接する機会を提供することが本来の役目と考える。
そこで伺うが、現在の県立高等学校の学校図書館担当職員の配置状況が3校となっている理由と、今後、学校図書館をどのように位置づけ、取り組んでいくお考えかお示し願う。
また、県内の学校図書館については、図書の貸出数の推移や活用状況を把握する必要があると考えるが、所感を伺いたい。

答弁
県立高等学校の学校図書館担当職員につきましては、平成22年度は施設の集約等により、図書整理の業務が増大した学校に対し、時限的に非常勤職員を配置したものであったが、それが一段落したことから現在の3校の配置にとどまっている状況である。
来年度から実施される新学習指導要領では、言語活動の充実が求められており、生徒の言語に関する能力を育成するため、各教科等の指導を通じて学校図書館の活用を進めていくことが求められている。
このため、限られた人員、予算の中でどういったことができるのか、検討を進めてまいりたいと考えている。
また、図書貸出数の推移については各学校において把握しており、県といたしましても、抽出により利用状況を把握しているほか、学校図書館の活用状況については、文部科学省調査において、必読書コーナーや推薦図書コーナーの設置等の項目で調査を行っている。
いずれにしても、高校生が読書に親しむ環境づくりが重要と考えており、それぞれの学校でも、学級文庫として利用したり授業の調べ学習に活用するなど、いろいろ工夫している。
県としても、学校図書館の活用のほかに、例えば岩手の中高生のための図書100選の活用などを通じ、高校生の読書意欲を高めていきたいと考えている。

② キャリア教育の推進について
若者を取り巻く就労や雇用の環境が大きく変化し、若者の失業率や非正規雇用者が増加傾向にある。
一方、高校や大学を卒業した若者の早期離職傾向や職業観の未熟さ、社会人、職業人としての資質や能力の不足等が社会的に大きな課題となっている。
特にも震災後の今、未来の岩手を担う子供たちには将来に夢と希望を抱いてもらわなくてはいけない。
公務員や弁護士、医者だけが将来有望な仕事ではない。
多様な将来プランを形成できる子供、挫折や失敗を経験しても立ち直れる、ナンバーワンではなくオンリーワンであることの大切さ、そんな子供たちを育むためには、学校でのキャリア教育が重要であると考える。
県でのキャリア教育のこれまでの取り組みは評価する。
しかし、全ての学校において、社会人、職業人としての自立を図るためのキャリア教育、総合生活力、人生設計力を育むキャリア教育が実施されるよう強く要望したい。
小中学生はもちろん、特にも社会への出口が近い高校生たちに多様性と価値観を育む必要があり、また、震災後故郷に貢献したいという子供たちもたくさんいることから、震災からの復興に向け広い視野を持って、多様性に富んだ人材を育成するためにも、特にも普通高校でのキャリア教育の推進が重要と考えるが、教育長の所感を伺う。
今回は、子供たちに重点を置き質問させていただいた。
子供たちは、選挙権もなければ経済的な自立もない。
3月11日の震災は確かに大きな悲劇であった。
しかし、だからといって、それが子供たちの未来に不利となってはならない。
この国を立て直さないと、一番影響を受けるのは子供たちである。
そして、その責任は私たち大人にある。
力のない子供たちの心の声にも寄り添う県政運営に期待を込め、また、復興を担う子供たちに夢と希望を与えられる岩手県であるよう強く願い、終わりたい。

答弁
キャリア教育の推進について、生徒が自己のあり方・生き方を考え、主体的に進路を選択し、社会人・職業人として自立するためにキャリア教育が重要である。
このため、平成22年3月に「いわてキャリア教育指針」を策定し、平成23年度からは、その指針に基づくキャリア教育全体計画を、普通高校を含む全ての県立高校において作成し、日常の教育活動を含む学校教育全体で、キャリア教育の系統的かつ組織的な推進に取り組んでいるところ。
さらに大震災津波後においては、県内の全ての公立学校で取り組んでいるいわての復興教育の中で、キャリア教育をその大きな柱の一つとして位置づけている。
今後とも、高校生のキャリア教育の充実に取り組んでまいりたい。

※再質問
放射性物質からの子供たちの健康への影響への対策について

①ホールボディーカウンターの導入について
先日行われた有識者会議の中では、甲状腺検査に関しては今後検討すべきが適当ではないかということで、ぜひこれから検討していっていただきたいが、加えて、放射性物質の内部被曝の有無や程度を検査するホールボディーカウンターの導入について質問させていただく。
先日、12月3日に記者会見があり、栗原市では市独自でこれを購入するという報道を読んだ。
岩手県の中でも、特に一関市や平泉町からも強い要望が出ていると伺っているが、そのホールボディーカウンターの導入について、県でどのように考えておられるのか、見込み、課題等をお示し願う。

答弁
本県で実施している尿検査では、わずかでも放射性物質が検出される可能性があれば、きちんと調査してほしいという要望が非常に強くあった。
このことを把握するためには、いわゆるホールボディーカウンター検査よりも、尿検査のほうが微量レベルで検出可能な調査として採用したものであった。
ホールボディーカウンターを利用した検査については、宮城県南部や栃木県北部、さらには福島県の南相馬市などにおいても実施されているところではあるが、現在その結果を見ると、全員の子供たちが検出限界未満と公表されている。
本県の尿検査ではそれよりも非常に小さいレベルについても検出しており、正確な状況の把握という観点からは尿検査を実施しているところである。
それらも踏まえ、現段階でこのホールボディーカウンターの検査を導入するということについては慎重な判断が必要と考えている。

② 学校施設等で野放射性物質の影響と対策について
ホールボディーカウンターの件で、今回県に出された要望書は、本当にたくさんの団体の方々の声がそこに集約されているということは県でも受けとめていただけていると思っている。
本当に保護者の方は心配されているし、事態が起きてからでは遅いので、未然に防ぐということが本当に大事なことであるので、甲状腺検査、そしてまたホールボディーカウンターについては、ぜひ今後国を待たず、岩手県独自で対応できることとして検討していただきたいと思っている。
その中で、現在学校施設等での放射性物質の影響と対策について様々な御意見等をいただいているが、例えば奥州市だと、前沢区以外の学校グラウンドが除染の対象から外れているが、その中には0.23マイクロシーベルト以上を計測する箇所も有り、測定の仕方によって高い数値が出てしまうところもあるので、適時適切に対応していかなければならないのではないかと思っている。

答弁
教育委員会においては、児童生徒が安全・安心な学校生活を送れるようにと、その環境整備を図るため各般の施策に取り組んできたところである。
具体的には、県内全ての県立学校において、定期的に校地内の空間線量率を測定し、局所的に高い値を測定した10の県立学校の除染を昨年度実施したほか、汚染状況重点調査地域内の四つの県立学校のグラウンド等の除染を現在実施しているところである。
これは、先ほども申し上げたとおり定期的に計測を続けており、その状況に応じて適切に対応してまいりたいと思っている。

③ 学校給食について
また、学校給食についても、食材の検査の方法については、やはりいろいろ議論されている中で、県民の皆さんの声をまずは優先して受けとめ、検討していただきたいと思う。

答弁
県立学校及び市町村の放射性物質濃度測定の体制整備を図っており、学校給食の一層の安全・安心の確保に向けた取り組みを進めているところである。
これまでの測定において、国が定める食品中の放射性物質の基準値を超過した事例はないということを確認している。

④ 学校での教育について
もう一つ、学校教育の中での生徒や教師への放射性物質の指導状況について、これは全部というわけではないかもしれないが、今回の福島原発の事故について、学校での教育が不十分ではないかという保護者の声が多く寄せられている。
例えば、スライドで1度やったのみで、実際には安全だから大丈夫だよ という内容で終わってしまい、現実に起きたことを事実として学校教育の中で教えていないということも伺っております。
それらを含めて、学校における放射性物質対策について課題をどのように捉え、今後どのように県として取り組んでいくのかお伺いする。

答弁
児童生徒に放射線等について正しい知識を身につけていただくため、教員に対する研修会等も開催いたしているところ。
ただ、一方ではお話のとおり、放射性物質への不安は依然として解消されていないと思われ、このような取り組みを継続し、必要な対策を講じながら一層の安心の確保に取り組んでまいりたいと考えている。

ごみ処理の広域化について

一昨日の新聞で拝見したが、県では、ごみ焼却施設を2017年度をめどに、県内6ブロック各1施設、県全体では6施設に集約するということになっており、先ほど私の質問の中でも述べたが、災害廃棄物を内陸部でも受け入れている状況の中で、こういった集約化というものを同時にやっていく場合に、処理施設としての受け入れが今後困難にならないかという点も含めて、お伺いしたい。

答弁
ごみ処理の広域化については、長期的な観点、そして、ごみ処理の効率化を図るという観点から進めているものであり、現在のところ具体的な構想が策定されていない盛岡、県南の2カ所がこれから計画を策定していくということになっている。
これはあくまでも中長期的というか、そういう観点からの推進である。
一方、瓦礫の処理については、来年度を目途に処理を進めるということになっており、広域化処理と瓦礫処理については、その処理能力という観点からは直接影響を及ぼし合うというものではないと認識している。
ただ、議員から御指摘のあったリサイクル率の向上、ひいては1人当たりのごみ排出量の減少ということについては、現在の処理施設の余力を生み出すという意味で、瓦礫処理の推進、さらには、今大変問題になっている農林業系副産物の焼却処理などについても、よい結果をもたらすということなので、県としては今後とも、古着のリサイクルも含め、リサイクル率の向上、そしてごみの減量化を積極的に進めてまいりたいと考えている。

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