議会質疑・答弁

Parliament

令和3年9月定例会
「一般質問」

【質問項目】

  1. 1.新型コロナウイルス感染症対策について

    • (1)岩手緊急事態宣言について
    • (2)今後の事業者への支援について
    • (3)ワクチン接種について
    • (4)いわて県民計画(2019~2028)への影響について
  2. 2.妊娠・出産・育児への切れ目のない支援について

    • (1)ふるさと振興総合戦略の評価について
    • (2)子どもを生み育てやすい環境づくりについて
    • (3)周産期医療の適切な提供について
    • (4)妊産婦アクセス支援について
    • (5)助産師の育成と活用について
  3. 3. 男女共同参画の推進と誰一人取り残さない社会の実現について

    • (1)女性のためのつながりサポート事業について
    • (2)岩手県職員の働き方改革の推進について
  4. 4. 動物愛護について

  5. 5. 農林水産業の振興について

    • (1)地産地消の取組について
    • (2)森林公園の果たす役割と県民による活用について
    • (3)県産材の利活用促進について
  6. 6. 子どもたちの健やかな成長と生きる力を育む教育について

    • (1)子どもたちの多様な体験活動の機会の創出等について
    • (2)子どもたちの読書環境の充実について

 まさかこんな日々が来るとは誰もが想像していなかったと思います。これまで当たり前のように行き来していた国々の国境が突然封鎖され、国内の県境を越えることさえ自粛を求められるなんて。
そんな日々が始まり、一年半以上が経過しました。ソーシャル・ディスタンスや三密回避など、感染拡大防止の観点で考えるとやるべき対応も多く、工夫も必要ですが、こんな時代だからこそ、人との関わり・温もり・寄り添いなど人と人とが接することで生まれる大切なものが何かを振り返り、今出来ることに最大限取り組めるよう努力していかなければと改めて思う日々でもあります。
慣れ親しんだ平穏な生活が一日でも早く戻ってくることを待ち望みつつも、コロナ収束後には新たな価値観が生まれ、時代の潮流となって社会の有り様が変わってくると思います。
そして、今日未明の最大震度5弱の大きな揺れ。日々の災害への備えの大切さを改めて再認識させられました。
私自身、県議になり、早いもので11年。結婚・妊娠・出産という人生の大きな過渡期に、この県議会で活動させていただいていることに、県民の皆様はもとより、県議の皆様への感謝を忘れず、さらに精進し、そして次の世代に繋げる環境整備もしていかなければとの思いです。
コロナ禍を乗り越えた先にある岩手の姿を描き、その具体化への道筋をつけなければなりません。そんな思いを込めて、以下通告に従い質問いたしますので、知事はじめ執行部の皆様の明快な答弁に御期待申し上げます。

1.新型コロナウイルス感染症対策について

 8月12日から9月16日までの約1ヶ月に及んだ県独自の緊急事態宣言の発出に関して、長引くコロナ禍で子育て世代が子どもの遊び場や居場所の確保に苦労している中、施設の性質や地域の感染状況等も考慮し、県有施設は原則休館ではなく感染対策を工夫徹底して開放すべきだったと考えています。
知事は、今後について、第6波が起きても、県内の1週間10万人あたりの新規感染者数が15人以上になったら発動し、10人未満になったら解除するという数値を基準にした「岩手緊急事態宣言」のやり方で克服可能という見通しを得られたとの見解を示しています。
しかし、ワクチン接種の進展により患者像が変化し、さらに中和抗体薬等の開発により医療施設や医療人材を適切に配置することで、一定の感染規模であれば、一般医療と調和をとりながら、安定的に患者対応を行うことが可能となるとも考えられ、今後は1週間10万人あたりの新規感染者の数値だけを追うことが、必ずしも良好な判断基準ではなくなるのかもしれません。
また、盛岡市に限定して飲食店等への時短要請に踏み切りましたが、例えば、いわて飲食店安心認証店については21時まで、認証店以外については20時までとする等のインセンティブ措置はありませんでした。

(1)岩手緊急事態宣言について
知事は、今般の岩手緊急事態宣言について、盛岡市内の飲食店等への時短要請を含め、その効果をどのように総括しているか伺います。
また、今後、再度の宣言がある場合も想定し、県有施設の休館の在り方など、今回の宣言の課題とそれに対する対応について考えを伺います。

答弁
岩手緊急事態宣言についてでありますが、県では、8月12日に岩手緊急事態宣言を行い、人と人とが接触する機会を極力減らすため、県民の皆様に対して不要不急の外出自粛等を要請したほか、県施設の原則休館や利用制限等を行ったところ。
宣言後、8月20日には人口10万人当たりの新規感染者数が25.9人まで高まるなど、感染が拡大したことから、更なる感染の拡大による医療のひっ迫を避けるため、いわて飲食店安心認証店を含む盛岡市の飲食店等に対し、8月30日から9月12日までの期間、営業時間短縮を要請したところ。
これらを受けた県民の皆様の適切な行動により、全国的にかつてない感染拡大が起こっている中で、感染拡大を抑制し、入院・宿泊療養を原則とする本県において、誰も自宅療養させることなく医療提供体制が維持され、1カ月余りで岩手緊急事態宣言を解除でき、その後、人口10万人当たりの新規感染者数が1人未満となるところまで下がっているところ。
また、岩手緊急事態宣言では、県施設について、原則休館や利用制限としたところであるが、施設の性質や地域の感染状況等を考慮するよう求める意見に、柔軟に対応したところ。
今後、専門家や関係団体等からの御意見なども参考に、今回の岩手緊急事態宣言における対応や効果等について、より詳細な取りまとめを行い、国の動きも踏まえつつ、県施設の対応を含め、再度の感染拡大が生じた場合の対策に生かしていく。

答弁に対する指摘
まず、県有施設に関してですが、施設の性質や地域の感染状況も考慮し、開放されていたところもあったということですが、一番初めの段階では、原則的に全て休館状態でありました。県民の皆様の声等を踏まえて、屋外の森林公園等を開放していった経緯があると思います。
屋外はその通りでありますが、屋内に関しても、緊急事態宣言がすでに出ている首都圏等でも、人数制限をしつつ予約制にしたり、一定のサービス提供の維持確保をしている状況の中で、本来は県が率先して、感染対策をこうすれば公共施設でもこういうふうに使えるということを見せる立場だったと思います。
県有施設を閉めることで、各市町村も公共施設をほとんどが閉めるような状況になりましたので、一部でも閉めてしまうと、どこかが三密になってしまうという状況も見られておりました。
次の宣言が無いことを願いますが、仮に次の宣言がある場合には、ぜひそういったことも踏まえ、判断していただきたいと考えております。

 

(2)今後の事業者への支援について
県内事業者のこの1年半のダメージは本当に深刻です。もうすぐ3月決算の半期が終わろうとしていますが、現在の「売上昨年度比何%減」ではなくて、事業者ごとの実損など、より精密な影響を把握した上で、今後の無駄・ムラのない支援につなげる必要があると考えます。
また、雇用調整助成金では社会保険料はカバーできていない、また、協力金が十分ではない状況の中では、売り上げの期待が低くても雇用維持のためには出勤をさせなければならず、結果として人件費が経営を圧迫している状況にあります。この環境で雇用を維持していることについて、事業者に対する県独自の支援も必要と考えます。
さらには、現状では、時短要請を行った飲食店等へ酒類等を提供する卸売業者への支援の枠組みがないことも課題と考えます。
県ではこれまで、地域企業経営支援金の支給、いわて旅応援プロジェクト、バーチャル物産展等を行っていますが、県独自の緊急事態宣言や時短要請に伴う全県的な影響を鑑み、さらなる支援策を講ずる必要があると考えます。
そこで、今後はどのような点に留意し実態把握に努め制度設計していくのか、緊急事態宣言中の事業者への影響をどう分析しているかを含め、県の今後の事業者全体への支援の在り方について伺います。

答弁
事業者支援についてでありますが、県では、商工指導団体や事業者団体を通じて、それぞれの業界の実態を把握しながら、地域企業経営支援金の対象業種の拡大や、各種の需要喚起策を展開するなど、より効果的な経済対策となるよう努めているところであります。
また、7月からの全国的な感染拡大や「岩手緊急事態宣言」による県内事業者への影響については、特に飲食業の売上減少が大きく、また、宿泊業の秋以降の予約のキャンセルが増大するなど、幅広い業種に亘って、深刻なものであったと受け止めております。
県としては、地域企業経営支援金の限度額の引き上げも行ったところでありますが、幅広い業種に影響が及んでおり、また、事業規模に応じたきめ細かい支援も必要であることから、国に対し、持続化給付金や家賃支援給付金の再支給、また、地方創生臨時交付金の増額を働きかけながら、今後も必要な経済対策を迅速に進めて参ります。

再質問
雇用調整助成金は11月末までとされております。もし延長がなされなかった場合に、県独自で考えていることがあればお伺いします。

答弁
臨時雇用調整助成金は、労働局から今のところ11月末までと聞いているところ。これについては、延長と要件の拡充について働きかけを行っており、そういった動きも見据えながら対応していきたいと考えている。

再質問
事業者への支援についてですが、例えば、宿泊業では宿泊施設のキャンセル数がどの程度か把握しているわけですが、飲食店に限って言うと、キャンセル数の把握はなかなか難しく、県としても実態を掴めていない状況だと思います。
そういった意味でも、実態把握をアンケート調査だけではなく、ぜひ、特に飲食業やその関連事業者の方々に声を伺って、次の支援につなげていただきたいと強く願っております。

 

(3)ワクチン接種について
医療提供体制の強化として、今定例会には、岩手医大への重傷者用仮設病棟の整備費が補正計上されております。
11月末までに県民のワクチン接種対象者の8割5分の接種が完了する見込みと聞いています。今般、接種の遅れが見られる10~20代の若者や、久慈・二戸圏域の住民の接種の底上げを図るために、県の集団接種に優先枠が設けられ、拡大もされました。
これまで、特に盛岡市の接種について大きな遅れが指摘されていましたが、久慈・二戸圏域のような調整が出来たのではないか、県と各市町村との連携がうまくいっていなかったのではないかと感じます。
国の職域接種について、栃木県では、県に登録されているワクチン接種に従事可能な医師・看護師等に対して、企業・大学等による求人情報を提供したり、企業・大学等に対し職域接種に協力可能な病院を紹介したりすることにより、医療従事者の確保を支援していると聞いており、岩手県でも同様の支援策等が必要だったのではないかと考えます。
また、妊婦への優先接種が一部市町村にとどまっていること、医療的ケア児は優先接種の対象となるが、その家族は対象とならないなど、優先接種の在り方にも課題があります。
また、希望する方々へのワクチン接種を推進する一方で、ワクチンへの不安から接種を控える方々も同時に尊重する必要があります。
国では今後、ワクチンパスポートの発行も検討されていますが、国民を分断したり、また差別を生むことも懸念されます。ワクチンの効果は完全ではなく、ブレイクスルー感染が一定程度生じること、接種できない方々への対応など、導入に当たっては様々な課題があります。
国からは3回目接種についても発表があったところですが、ワクチン接種のこれまでの評価と課題、今後の対応について伺います。

答弁
新型コロナワクチン接種についてでありますが、高齢者の人口割合の高い本県では、高齢者に対し、全国平均を上回る接種率で着実にワクチン接種を進めてきたが、7月以降、国によるワクチン供給量が大幅に減少したため、接種体制が一時縮小となり、限られた医療資源の中で再度接種体制の構築に係る調整を進めたものの、一部の市町村では、64歳以下の住民の接種開始時期に遅れが生じたと承知している。
このため、県では、県北地域などにおける医療従事者確保の支援やワクチンの配給調整などにより、市町村の接種体制確保の支援に重点的に取り組んでいるところである。
また、本県では、国が推奨する職域接種の受け皿となる一定規模以上の企業・団体が少ないことなどから、県の集団接種において、中小規模の企業等を対象とした枠を設けたところであり、これまで50団体に活用いただいたところ。
さらに、県民の皆様からは、これまでの早期の接種機会の確保や予約方法などに関し、御要望が寄せられたところであり、県の集団接種に当たっては、コールセンターの回線数の増設やキャンセル枠の再募集の設定を行ったところである。
今後、国では、早ければ12月に3回目の接種を開始するとしており、本県においても、必要な体制を確保するため、これまでの接種で培った経験や課題などを踏まえ、市町村や県医師会、医療機関等とも協議・調整のうえ、円滑かつ迅速な接種体制を構築していく。

再質問
国の職域接種について、盛岡市内のある団体の接種会場に行かせていただきました。
本当に自分達で全て対応せざるを得ない状況であり、自分達の毎日の仕事が有りつつも接種対応に当たられているということに、大変感謝をしなければならないということと、せっかく枠組みがあるのであれば、それを各市町村で3回目の接種のときに活かしていけるのではないかなとも思いました。国でやっているところではありますが、ぜひ今後自治体で引き受けるようなことも考えていただければと思っております。
ワクチン接種の副反応の情報がなかなかない中で、副反応の報告が県内でどの程度あるのか、また、ブレイクスルー感染がどの程度あるのかをお示し願います。

答弁
副反応いわゆる有害事象の報告については、予防接種法に基づいて、各医療機関が医薬品医療機器総合機構を通じて、直接厚生労働省に報告を行い、厚生労働省、国立感染症研究所等で調査を行った後に、個人情報に配慮した上で公表しており、国では、医療機関名や都道府県名を公表していない。
もちろん、県の方では、国で公表している有害事象の頻度、例えば、2月17日から9月12日まで、全国で1億4,627万回接種されており、副反応疑いの報告がその0.02%、25,598件きているほか、本県においても、県内の接種において、副反応の症状である吐き気、頭痛、発熱、違和感など同様の症状が出た方がいると聞いている。
ブレイクスルー感染についてであるが、いわゆるワクチン接種をしたにもかかわらず、その後に感染された方についてであるが、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム、HER-SYS(注1)というものがあり、そのデータによると、県内で10月5日現在、約20人いると把握している。
注1)HER-SYS(ハーシス):陽性者本人等がスマートフォンやパソコン等で自身や家族の健康状態を入力できる健康管理機能。

答弁に対する指摘
ワクチン接種が進む中で、接種をしても100%ではないということも含め、しっかり感染予防、感染対策につなげていただきたいと思っております。

 

(4)いわて県民計画(2019~2028)への影響について 
2024年度の財源対策基金の年度末残高が平成以降で最小の101億円となる試算が示されました。2025年度以降は基金の枯渇も懸念される中、徹底した歳出の精査など財政健全化が必要です。
新型コロナウイルス感染症の収束までには、2年はかかるのではとの専門家の意見もあります。新型コロナウイルス感染症が財政に与える影響が不透明の中、事業の選択と集中を一層進める必要があります。
いわて県民計画(2019~2028)について、その方向性や事業の変更・中止など、見直しも必要と考えますが、どのような状況か伺います。

答弁
いわて県民計画(2019~2028)への影響についてでありますが、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、県民計画に沿った事業の中には、延期や縮小、中止となったものがある一方で、学校におけるタブレット端末の整備や介護現場における介護ロボットの導入など当初の想定よりも取組が進んでいる事業もある。
また、東京一極集中の是正や地方の暮らしやすさが広く認識される契機にもなっていることから、コロナ対策をしっかりと行うことが地方創生にもつながるとの考えのもと、地方がより良くなっていく政策の流れをつくっていく必要がある。
このため、いわて県民計画の基本目標や長期ビジョンのもと、アクションプランに掲げる取組について、今後見込まれる国の経済対策なども効果的に活用しながら、新たな事業の創出や事業のブラッシュアップなどを進めていく。

 

2.妊娠・出産・育児への切れ目のない支援について

(1)ふるさと振興総合戦略の評価について 
本県の人口が、戦後初めて120万人を割り込みました。7月1日現在の人口推計で119万9,489人となり、前年同月より1万5千人近くも減少しています。
少子高齢化や県外流出が止まりません。県は第2期ふるさと振興総合計画(2020~2024年度)で、2040年に100万人程度の確保を掲げ、岩手で「働く」、「育てる」、「暮らす」、岩手と「つながる」の4本柱で施策を進めています。
知事は、これまでのふるさと振興総合戦略の取組をどのように評価し、また、今後4つの柱のどれを最重点に推進していくべきと認識しているのか伺います。
人口120万人を割り込んだことへの所感、今後の対策と併せて、お示し願います。

答弁
ふるさと振興総合戦略の評価についてでありますが、第2期岩手県ふるさと振興総合戦略は、まち・ひと・しごと創生法の規定に基づき、国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の4つの基本目標を勘案し、4本の柱を掲げ、施策を展開している。
これまで、「岩手で働く」では、自動車・半導体関連産業の集積や、高校生の県内就職率の上昇、「岩手で育てる」では、保育人材の増加や、仕事と育児の両立に向けた環境の整備、「岩手で暮らす」では、人口10万人当たりの病院勤務医師数の増加や、ものづくり産業人材の増加、「岩手とつながる」では、地域おこし協力隊の受入れの推進等による、関係人口や交流人口の拡大など、それぞれの戦略に沿った進捗が見られる。
全国的な東京一極集中は一層加速しており、本県もそのすう勢からまぬがれない状況にあるが、国の基本目標を踏まえると、引き続き、「社会減ゼロと出生率の向上」という目標を維持すべきであると考えている。
一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、東京圏への転入超過数の傾向に変化が見られるとともに、テレワークをはじめとする多様な働き方の加速化など、ふるさとづくりにおける大きな転機を迎えている。
本県では、このような状況を好機と捉え、今年度新たに、若者の就職、結婚、子育てのライフステージに応じた住宅支援、医療・看護・福祉など女性の就業ニーズの高い職種の県内企業とのマッチングなどに取り組んでいるところであり、国や市町村と連携を図りながら、引き続き人口減少対策を進めていく。

再質問
「働く」、「育てる」、「暮らす」、「つながる」の4本の柱の中で、どれを最重点に推進していくべきかということについて、改めてお伺いします。

答弁
新規の施策として、住宅支援や女性の就業ニーズの高い職種の県内企業とのマッチングを講じており、その意味では「岩手で育てる」「岩手で暮らす」が重要であると考えておりますが、一方で、自動車・半導体関連産業の集積、高校生の県内就職率の上昇は引き続き力を入れていくべき分野であり、「岩手で働く」も重点を置く必要があると言える。
また、「岩手とつながる」については、関係人口や交流人口の拡大に関して、全国的に新規軸の取組が行われており、本県においても、好事例が重なってきているところであり、4本の柱のそれぞれに重点を置く必要があると考えている。

答弁に対する指摘
私は、コロナ禍の状況下において、また、コロナ後も踏まえれば、確かにこの4本を進めていくことは重要と思うのですが、その中でも最優先として、今はここに注力して何年かがんばるぞというのがあっても良いと思っております。やはり優先順位を明確にするのが、知事のリーダーシップの発揮のしどころだと思っております。
もしかすると、そのために県民の皆様に我慢をお願いする分野もあるかもしれないですが、そういったこともしっかりと対応していかなければいけないと思っておりまして、例えば今回、「育てる」の社会減ゼロ、出生率向上ということを知事がおっしゃっていましたが、そこを認識しているのであれば、「育てる」ということに注力しますといっていただいて良いのではないかと思っております。
4本のそれぞれをやっていきますという答弁でしたが、先ほどの県民計画の中でも、延期、縮小、中止など、どこに重点を置くかということでやっているのであれば、ぜひ知事自らが、「今ここに」ということを明確にし、県民を引っ張っていただきたいと思っております。

 

(2)子どもを生み育てやすい環境づくりについて
昨年(2020年)は、国の出生数が最少(約84万人)となりました。岩手県の合計特殊出生率は1.33にとどまっています。
県は3年後に1.58人以上を目指していますが、現実は厳しいと感じます。男性の生涯未婚率も全国2番目の岩手県。出会いの機会や結婚が減り、将来や妊娠出産への不安など、コロナの感染拡大が追い打ちをかけています。
希望する人への結婚サポートから妊娠・出産・子育てまで、切れ目なく社会全体で支えることが重要ですが、子どもを持ちたいと願っても、仕事と妊活や子育てを両立しづらく、支援も不十分であるのが現状です。
知事は、昨年6月定例会の私の一般質問に対し、「他都道府県において進んでいるような30代や40代の出産を支援するような仕組みについて、さらに勉強して力を入れていかなければならないと考えている」旨を答弁され、大変有難く思っていたところです。
その後1年が経過しましたが、どのような検討状況か伺います。

答弁
子どもを生み育てやすい環境づくりについてでありますが、平成27年の国勢調査データでは、本県の20代女性の「有配偶率」は全国上位にあるものの、30歳以上の「有配偶出生率」は全国下位となっており、こうした世代をはじめ働きながら子どもを持ちたいと希望する方々が、その希望をかなえることのできる環境づくりが重要である。
本県は、年間総実労働時間が全国に比べて長い中にあって、共働き世帯の妻に家事労働が集中しないよう、男性の家事・育児への更なる参画が必要であり、本年2月、「いわて女性の活躍促進連携会議」と、「いわてで働こう推進協議会」において、「性別による固定的な役割分担意識をなくそういわて宣言」を行った。
本年度は、この宣言を踏まえ、商工団体に対する「安定的な雇用の確保等に関する要請書」に、働くことを希望する女性が、その希望に応じた働き方を実現できるような雇用環境の整備や、仕事と生活の調和の推進などを盛り込んだところ。
また、女性活躍部門と子育て支援部門が連携して開催する「いわて女性の活躍応援セミナー」では、今年度新たに経営者、管理職向けに男性社員のワーク・ライフ・バランスの取組事例発表を行うなど、男女問わず誰もが働きやすい職場環境づくりなどに取り組んでおり、今後におきましても部局横断的に検討を進め、出会い・結婚、妊娠・出産、子育てのライフステージに応じた切れ目ない取組を総合的に推進していく。

答弁に対する指摘
特に目立った支援策というものが無かったなと感じて残念に思っているのですが、先ほどの答弁のとおり、30歳以上が全国下位の状況にあるとわかっていらっしゃるのであれば、ぜひ、もう少し踏み込んで取り組んでいただきたいと思っております。
これまでも、例えば、妊娠・出産・育児の指定された選択肢の中から、利用者が選択して利用できる子育て応援バウチャー制度を提言させていただいたのですが、日々の家事、育児の負担軽減につながるような取組を都道府県レベルでも導入しているところがあります。これは、県議会の4特別委員会の人口減少対策調査特別委員会の講師で、いわて子育てネットの両川さんも御提言されておりました。
ぜひ、もっと踏み込んで、岩手県として出生率向上、子育て支援につながる施策を打ち出していっていただきたいと思っております。

 

(3)周産期医療の適切な提供について
県立釜石病院の分娩機能が今月10月から休止しています。これで県内の分娩可能施設は、周産期医療圏を設定した2008年の45施設から23施設に減少し、33市町村中、分娩できるのは10市町のみとなりました。
釜石病院では、2007年夏から常勤医が不在で、県立大船渡病院から医師1人が1週間交代で派遣されていました。
県立久慈病院も常勤医がおらず、県立二戸病院の医師が派遣されています。いつかは久慈病院も釜石病院のようになるのではないかと不安視しています。
岩手県のどの地域でも安心して妊娠出産できる環境の整備は、喫緊の課題です。
県立釜石病院の分娩停止対応策として、分娩施設の事前見学の対応、モバイル型妊婦胎児遠隔モニター2台を追加配備、電話相談体制やデイサービス型産後ケアの充実を展開すると聞いています。仮にまた別の県立病院等で分娩停止となった場合、同様の対応を繰り返すだけでは、岩手県の安心安全な周産期医療は保たれません。
知事は5月14日の定例記者会見で、「地方自治体としては極力、産科医がいない地域がないようにしていくべきと考えているので、専門家の皆さんと調整しながらも、基本的には産科医師を増やしていくことを働き掛けたい」とお話しされました。
国の「医療計画の見直し等に関する検討会」では、産科関係学会から、医療圏の設定の見直しや周産期母子医療センターの集約化・重点化に関する提言が出ています。また、2024年度の医師の時間外労働の上限規制の施行にも対応していく必要があります。
質の高い安全な周産期医療を適切に提供していくための周産期医療圏の在り方など、医療提供体制の整備を早急に進めるべきと考えますが、その検討状況について知事に改めて伺います。

答弁
県ではこれまで、限られた医療資源のもとで、効率的かつ質の高い周産期医療を提供するため、国の指針を踏まえ、県内4つの周産期医療圏を設定し、周産期母子医療センター等の医療機関の機能分担と連携の下、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めてきたところ。
現行の岩手県保健医療計画(2018~2023)策定時においても、「周産期医療実態調査」を実施し、各周産期医療圏の居住者の出産が概ね圏域内で完結している状況等を勘案して、現在の4つの周産期医療圏を継続することとしたもの。
県では、次期保健医療計画策定に向け、改めて受療動向を確認するとともに、関係学会から出されている提言や医師の働き方改革への対応にも十分配慮しながら、人口動態、医療資源の動向などを踏まえ、中長期的視点から質の高い安全な周産期医療を適切に提供していくための周産期医療圏の在り方など、医療提供体制の検討を行っていく。

答弁に対する指摘
現在、コロナの関係もあり、県周産期医療協議会がなかなか開催されない状況がありまして、現場の医師の皆様の声を議論する機会が減っている状況がありますが、一方で、周産期医療の体制整備は早急に考えていかなければならないと考えておりますし、今回の県立釜石病院のように、急に分娩停止ですと言われても、県民としては受け入れられないのが現状です。
地域で住み慣れたところで分娩したいのはその通りです。ただ、県として、いずれは何らかの対策をしていかなければならない中で、事前にある程度一定期間を置いて、県民に御協力なりいただくこともある場合に、やはり情報発信を常に強化していただきたいと思っておりますので、ぜひ、しっかりとどこの地域でも安心して分娩できる体制整備を早急に整えていただきたいと思っております。

 

(4)妊産婦アクセス支援について
現在の県の妊産婦アクセス支援は、妊娠22~32週未満の早産、40歳以上の初産など、リスクのある妊婦に対する交通費や宿泊費の補助で、一人5万円が上限となっています。
利用できる市町村が増えたことは大変評価しますが、経産婦やハイリスク以外の妊産婦への支援、産後検診など、対象の拡充についてこれまでも提言してきたところです。
これまでの実績や、各市町村独自の支援状況も踏まえた、県の今後の妊産婦アクセス支援について伺います。

答弁
妊産婦アクセス支援についてでありますが、ハイリスク妊産婦については、主に周産期母子医療センターで対応することとなるため、正常分娩の妊婦と比較して、通院に長距離移動を余儀なくされる場合が多いことから、身体的・経済的な負担の軽減を図ることを目的として、県では、令和2年度からハイリスク妊産婦アクセス支援事業を実施しているところ。
令和2年度は6市町村30人の活用実績であったが、令和3年度は13市町村110人程の活用を見込んでいるところであり、着実に利用の拡大が図られてきているが、引き続き、未実施の市町村に対して、事業を周知し活用を促していきたいと考えている。
また、ハイリスク以外の独自支援につきましては17市町村で実施されており、こうした市町村のニーズや課題等を踏まえ、本年6月に国に対してハイリスク以外の妊産婦も含めたアクセス支援に対する財政支援制度を創設するよう要望したところであり、今後の国の動向を注視しながら、県としての支援のあり方について検討して参りたいと考えている。

再質問
IGRいわて銀河鉄道では、12月から県北地域の妊産婦が盛岡市内の産科に通院する際、県交通と連携して交通費を支援することとしております。このような民間の取組は大変有難く、強化すべきところと思いますし、民間との連携というのも必要になってくるかと思います。
先ほど、ハイリスク以外への支援についても様々提言させていただきましたが、NICUに新生児が入院した場合には、通院が継続するわけです。例えば、そういったところにも継続して支援できるようにしていただきたい。
妊産婦アクセス支援と言いながら、産後、産婦の部分が全く入っていない状況ですが、産後検診も含めて取り組んでいただきたいと思っておりますが、改めて御所見を伺います。

答弁
議員から御提言いただきました妊娠、出産の後の産後の部分、まさにこの部分の子ども、産婦への支援もあるが、メンタルケアの部分であるとか、産後ケアという部分で支援が必要な部分であるというふうに認識している。
市町村においても、独自にこの部分を支援している市町村もあるので、そうした市町村の事業実態、またニーズを踏まえ、また議員からの御提言の趣旨も踏まえ、そのあり方について検討を進めていきたいと考えている。

答弁に対する指摘
産後一ヶ月検診というものが必ずあります。各市町村で産後ケアの部分の支援はありますが、産後検診へのアクセス支援が、私の認識する限りではないと思いますので、そういった部分にしっかりと対応していただきたいと思います。
「妊産婦」アクセス支援ですから、現状では「妊婦」アクセス支援になっておりますので、しっかり産後の部分に対応していただきたいと強く思います。

 

(5)助産師の育成と活用について
誰もが安心して子どもを生み育てられる環境を推進するためには、医師との協働のもと、助産師の確保と資質向上及び活躍促進を図る必要があります。
また、妊産婦の多様なニーズに応え、地域における安全、安心、快適なお産の場を確保するとともに、助産師がその職能を活かして活躍することができる場を確保するため、これまで助産師外来と院内助産の設置を推進してきたと認識しています。
分娩介助等、特にも県立釜石病院での院内助産は、まさに助産師が不足する医師を支えてきたと評価すべきですが、岩手県の助産師の確保や育成活用状況、助産師外来と院内助産の取組の評価について伺います。

答弁
助産師の育成と活用についてでありますが、県では、これまで、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づき、修学資金の貸付、就職進学セミナーの実施、資質向上を目的とした研修の実施など、助産師を含む看護職員の確保や育成などの事業を総合的に進めてきたことによって、県内の就業助産師数は、平成30年は401人と、その2年前の平成28年から12人増加しており、徐々にではあるが、増加が図られているところ。
助産師外来や院内助産の取組については、医師の負担軽減や妊産婦の多様なニーズに対応する上で有効であると考えており、今回の県立釜石病院の分娩取扱の休止に対応した妊産婦への支援策の実施や医師の働き方改革などにも対応するため、助産師外来等を担う人材の育成・確保が重要と認識している。
助産師には分娩介助に加えて、メンタルヘルス対策や子育て支援など、多くの重要な役割を担うことが期待されていることから、県としては、周産期医療協議会等において意見を伺いながら、更なる人材の育成・確保に取り組むとともに、助産師がその持てる力をこれまで以上に発揮できる方策等について検討を進めていく。

再質問
県として、院内助産、助産師外来を推進していくべきと考えているのか、改めてお伺いします。

答弁
現在、助産師外来については多くの医療機関で取り組まれているが、院内助産については、助産師が主体で分娩を行うことについては、これはなかなか現場の方、助産師の負担、また医師との連携の部分があるので、医療機関によって様々あろうかと思うが、いずれにしろ、助産師の力を最大限活用する、周産期を担う医師の不足が背景としてあるので、いわゆるタスクシフトという観点からも、また、職種間の連携という観点からも、助産師の能力を最大限現場で生かしていただくことが必要であると考える。
分娩の介助だけにとどまらず、先程答弁したとおり、メンタルの部分であるとか、子育て支援の部分であるとか、様々な面での活躍を期待されていると考えているので、様々な場面での活用策等を検討していきたいと考える。

再質問
先程の「周産期医療の適切な提供について」で体制整備を進めていただきたいと言いましたが、分娩可能施設が減っていく一方で、助産師が正常分娩を取り扱えるところは維持してことが必要と考えます。医師がなかなか確保できない状況の中、県では、助産師の活躍促進、各種事業をたくさん実施していただており、様々な実績もいただきました。助産師の方々の中には、分娩に積極的に介入していきたいという方々が本当にたくさんいらっしゃいます。
一方で、県は分娩施設が減少する中で、助産師が介入する院内助産について、推進していくことはその通りなのですが、具体的にどうしていくかというところが見えていないのが現状だと思います。院内助産はこれまで、県立釜石病院を含めて3箇所あって、釜石病院はなくなったので、県立宮古病院、県立大船渡病院の2箇所で院内助産があることになります。
院内助産の数は、県立宮古病院では年々増加傾向にあります。県立大船渡病院も、令和元年度に設置されたわけですが、増えている状況です。これはまさに、助産師が正常分娩を積極的に受けている、がんばっていただいている状況だと思いますが、分娩施設が減っていって、産科医が確保できない中で、助産師さんになんとか正常分娩にがんばっていただく環境づくりを、県がしっかりと取り組んでいくべきだと思います。
県では、産科診療所開設への支援事業を行っておりまして、分娩取扱の継続・再開に係る設備整備に補助をしておりますが、なかなか新設をしていくところがないのが現状です。他県では、院内助産、助産師外来をあえて設置していこうという取組で、助産師の人件費を補助している取組があります。医師を確保して施設整備するのではなく、助産師が正常分娩を取り扱えるような取組をしているということです。
ぜひ、そういった事例を踏まえて、助産師外来、院内助産の在り方をもっと議論していただきたいと思いますが、改めて見解を伺います。

答弁
院内助産、例えば開業助産院、昔はかなり多かった。現行、連携医療機関が必要である。やはり出産は正常分娩でもゼロリスクではないので、何かあった場合には医療機関が連携しなくてはならない。
そういった連携体制、地域で連携できる医師がいるかどうか、あとは担う助産師が、分娩する、出産する年齢がかなり高くなっていて、正常と思われていても、実際はハイリスクであると、リスクが高い方が増えている中にあって、やはり安全な分娩ということが大前提になると考える。
助産師のそういった部分に対する進み方の御意見、連携する側の産科の先生方の御意見、安全性、そうした中で、方向性は議員が御指摘いただいたとおり、助産師の力を最大限活用したいという思いは我々も十分持っている。
ただ一方で、本当にどういう連携の形がいいのか、今このように各病院がなっているのは、今これまでの背景を踏まえて、院内助産、今院内助産をしていない医療機関でも多くが、助産師がかなり多くの部分を担っているという状況でこういう形になっている。
あまりこういった形にとらわれずに、どういった形がいいのかというのを、助産師、産科医等に幅広く御意見を伺いながら、どういう形がいいのか検討していきたい。

3.男女共同参画の推進と誰一人取り残さない社会の実現について

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、とりわけ女性への影響が深刻です。経済的な影響を見ると、女性の就業が多いサービス業等が強く影響を受けたことから、「女性不況」とも呼ばれています。
非正規雇用労働者を中心に雇用情勢が急速に悪化、同時に、DV、ひとり親世帯、女性の貧困等がコロナ下で可視化され、改めて男女共同参画の進展状況について疑問の声が上がるようになっています。
こうした我が国の構造的な問題への関心の高まりや、ジェンダー不平等に対する問題意識の高まりは、男女共同参画を強力に推進し、誰一人取り残さない社会を実現する機会と捉えるべきと考えます。

(1)女性のためのつながりサポート事業について
家計が厳しい状況にある世帯は、ひとり親世帯に限りません。2020年に実施された国の調査(男女共同参画白書)によると、女性の収入が1割以上減った家庭では、5世帯に1世帯で食費の切詰めを行っており、1割弱が公共料金等の滞納をしているとの結果も出ています。
我が国の家族形態が変容し、ひとり親世帯や単身女性が増加していることに加え、共働き世帯における女性の収入が家計に占める割合も高まっており、女性の収入の減少が直に家計に大きな影響を与えるなど、社会構造が変化しています。それにも関わらず、依然として固定的な性別役割分担意識等に基づく構造的な問題が存在し、それが様々な困難の根底にあることが指摘されています。
また、コロナ下では、経済的な理由で生理用品を購入できない女性や女の子がいるという「生理の貧困」が注目されています。生理の貧困は、女性の健康の観点に加えて、女性の「女性としての尊厳」の観点からも重要です。
このように、ひとり親世帯や若年女性、単身女性など、様々な困難を抱える女性に寄り添う多様な相談・支援体制の充実が喫緊の課題となっています。
そこで、コロナ禍前とコロナ禍後における、県の男女共同参画の取組に対する所感を伺います。
また、県では、「女性のためのつながりサポート事業」を7月から開始し、事業開始から2ヶ月ほど経過しましたが、その相談事業の実績、女性用品の配布状況について伺います。来年度も継続すべきと考えますが如何でしょうか。

答弁
女性のためのつながりサポート事業についてでありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大は、社会的に弱い立場にある人に、より深刻な影響をもたらすことから、男女共同参画社会の推進にあたっては、困難を抱えた女性への支援に一層取り組むことが重要であり、本年7月、国の交付金を活用した「女性のためのつながりサポート事業」、「いわて女性のスペース・ミモザ」を開設し、コロナ禍で不安を抱える女性への相談対応や女性用品の提供などを行っている。
8月現在、失業による生活不安や外出自粛による子育て不安など、28件の相談が寄せられており、また、女性用品については、相談窓口のミモザや、希望する市町村へ720人分の提供を行っているところ。
新型コロナウイルス感染症の長期化が懸念されることから、来年度の事業継続については、国の概算要求の内容を踏まえ、効果的な支援のあり方について検討していく。

再質問
ぜひ継続していただきたいと思います。女性用品の提供については、県の方から各市町村に調査を行っていて、提供していただきたいとう回答は、33市町村中9市町村のみであり、それ以外の市町村からはありませんでした。
私は、県がもう少し、市町村に対し、なぜ生理用品が必要となっているかについてお話しすべきではなかったかなと思っております。配架の場所の提案などがないままに、ただ生理用品どうですかと聞いたのかなと思っておりますけれども、それ以外の市町村はなぜ不要と答えているのか把握できているでしょうか。

答弁
女性用品の提供状況については、不要であるという市町村から具体的に理由については聞いていないが、議員御指摘のとおり、どこに配付しているのか、どこに行ったら提供してもらえるのかなど、周知の方法が不十分であったとも考えており、今後、市町村や社会福祉団体等と連携しながら、周知を図っていきたいと考えている。

答弁に対する指摘
この事業は、まだ2ヶ月と始まったばかりということで、なかなか相談事業があるということも県民に伝わっていないというのもその通りですし、市町村は男女共同参画担当課がそれのみを担当している方が少なかったりする中で、女性用品の提供について、どこに置いたらわからないという状況があると思いますので、もう少し丁寧に対応をお願いします。
そして、生理の貧困については、大学生が声を上げたことによる全国的な流れになったということで、県内6大学に調査して、岩手大学、県立大学のみは連携するということはあったそうですが、それ以外の大学も同じような状況であったのではないかと思います。市町村でもどうしたら良いかわからないのと一緒で、大学の事務局でわからなくて、要らないと言ってしまっている状況なのではないかと思っております。
ぜひ若い世代、特に県立高校もしっかり配架の一つに入れていただきたいですし、大学との連携をしっかりしていただきたいと思っております。

 

(2)岩手県職員の働き方改革の推進について
緊急事態宣言に伴う外出自粛を契機に、テレワークが普及しつつありますが、ポストコロナ時代を見据えると、その役割はますます重要であり、定着させていくことが重要です。男性の育休取得促進や多様な働き方改革などにより、男性が家事育児に参画しやすい環境づくりを行う企業に対する県の後押しも求められます。
まずは、県庁内から働き方改革の実践を進める必要があります。
今年度中には、テレワークのためのノートパソコン約5千台が整備されると聞いており、また、昨年3月には、「女性職員のワークスタイルモデル集」を配布するなど、大変御尽力されていることには敬意を表します。
今定例会には、フレックスタイム制度に関連する条例案が提案され、これに関連した勤務時間管理システム改修費が補正予算に計上されていますが、制度導入によってどのような効果を見込んでいるのか伺います。

答弁
フレックスタイム制度についてでありますが、職員のワーク・ライフ・バランスの実現のため、育児や介護等の事情を有する職員を対象に、働きやすい勤務環境を整備することで、職員の柔軟な働き方や仕事と生活の両立を支援しようとするものである。
具体的には、フレックスタイム制により、職員の申告を考慮し、最大4週間の期間内で、1週間あたりの勤務時間が38時間45分となるように、週休日の追加や1日の勤務時間帯、勤務時間数を変更できるようにするものである。
フレックスタイム制の効果については、昨年実施した職員アンケートでは、約7割の職員が同制度の利用を希望しており、その中でも、若年層の職員や育児中の職員の割合が高いことから、こうした職員の柔軟な働き方に資するものと考えている。
また、フレックスタイム制は、休暇制度と異なり取得回数に制限がないことや、育児休業や介護休暇等と異なり収入が減ることがないことから、年間を通じて、育児や介護を行いながら働けることも、大きなメリットとして挙げられる。
加えて、官民問わずワーク・ライフ・バランスの実現が求められる中で、県がフレックスタイム制を運用し、県における制度活用の好事例を発信することにより、民間事業者の働き方改革の後押しをもしたいと考えている。

答弁に対する指摘
令和2年度企業事業所行動調査によると、フレックスタイム制度のある事業所は、県内でたったの16.3%となっておりますので、ぜひ民間への後押しにつなげていただきたいですし、同調査では、不妊治療時の休暇制度を設けている事業所は、県内の民間ではたったの5%となっておりまして、ぜひ、県職員の不妊治療の休暇制度についても、今後検討していただき、民間企業の取組につながるようにしていただきたいと思います。

4.動物愛護について

 「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律」が令和元年6月に公布され、動物の所有者等が遵守すべき責務規定が明確化されるとともに、第一種動物取扱業による適正飼養等の促進、動物の適正飼養のための規制の強化、都道府県の措置等の拡充、マイクロチップの装着など、段階的に施行されています。
動物愛護団体等と連携した返還譲渡の取組により、犬猫の譲渡数が増加傾向にあるなど、動物愛護に関する県民の関心が高まっています。
また、盛岡市と共同で動物愛護センター基本構想を策定し、動物愛護の普及啓発拠点の検討が進んでいるものの、現状では譲渡やふれあいの推進、継続的な愛護思想の普及啓発を行う拠点がない状況にあります。
近年、多頭飼育、高齢者や生活困窮者等の動物飼養等の課題が指摘されているのも現状です。
殺処分ゼロに向けては、県として様々取組を進めておりますが、現在保健所が新型コロナウイルス感染症の対応に追われているのではないかとも感じています。
今般の法改正に伴い、事業者だけではなく、県民への周知や啓発も重要と考えますが、どのような取組をしているのか、本県の殺処分の現状、コロナ禍での動物愛護業務の現状と課題も含め伺います。

答弁
動物愛護の取組についてでありますが、令和2年度の本県の犬猫の殺処分数は285頭と、ここ数年横ばいであり、そのほとんどが、病気等で譲渡できない動物となっており、このうち、盛岡市の殺処分数は26頭となっている。
今般の法改正では、動物虐待に対する罰則の強化や、マイクロチップの装着など、県民に関わる内容も盛り込まれていることから、これを広く周知することが必要であると考えている。
新型コロナウイルス感染症の影響により、大規模イベントの機会を活用した、普及啓発や譲渡活動等は難しい状況ではあるが、各振興局での保護動物の新たな飼い主を対象とした講習会の開催や、開業獣医師や動物愛護ボランティアを動物愛護推進員に委嘱しての周知活動などを通じて、普及啓発を行っているところ。
今後においても、各振興局においてホームページ上での情報発信やボランティアのネットワークの協力を得ながら円滑な譲渡につながるよう、継続的に取組を進めていくところ。

再質問
県では、2008年に岩手県動物愛護管理推進計画を策定し、その後の国の基本方針の改訂を受けて2014年に改訂されております。
今回、2019年の動物愛護法の改正、2020年の国の基本方針の改正を受けて、他県では今年になってから改訂しているところが多い一方で、岩手県はまだ改訂がなされていないのが現状ですが、どのようになっておりますでしょうか。

答弁
動物愛護に関する計画についてでありますが、現在、庁内で管理計画について策定の作業を進めているところであり、内容としては、今回の法改正により、動物虐待に対する罰則の強化、マイクロチップの装着など、所有者が責任を持って動物を最後まで世話することを盛り込むもので、内容がまとまり次第、皆様に説明をしていきたいと考えている。

 

5.農林水産業の振興について

(1)地産地消の取組について
県では、地産地消推進運動や食育のため、給食事業における県産農林水産物等の利用促進を図っています。
その取組の成果は、農林水産物マーケティングデータブック2020によると、給食事業における県産農林水産物の利用割合が61.4%とまだまだ伸び代があると感じます。施設区分ごとの利用割合でみると、一番高いのが学校給食で69.5%となっています。一方で、保育所は48.6%、県立病院は33.8%、公立病院は16.3%、社会福祉施設は33.5%にとどまっており、これらの区分における地産地消の取組をさらに進めることが重要と考えます。
JAいわて中央では昨年度から、盛岡友愛病院と岩手医大への病院食用米と青果の供給事業を開始しており、先日は盛岡友愛病院用の銀河のしずくの稲刈りを視察させて頂きました。
地産地消を安定的に進めるとともに、若い世代を中心に幅広い世代で地元食材に関心を持てるよう、県産農林水産物を学校給食や病院食等へ提供し、地産地消を可能な限り100%に近づけるための対策を講ずるべきではないでしょうか。
昨年度はコロナ緊急対策として、滞留する県産食材の学校給食への提供事業(県産農林水産物学校給食提供緊急対策事業)を行いました。県産食材の流通と子どもたちへの食育という観点からもとても良い事業だったと思います。ぜひこのような事業は今後も継続して頂きたいです。
また、岩手版リバースメンター制度(注2)が今年度から創設され、農業分野においても、県産農林水産物のブランド化等をテーマに、本県ゆかりの若者から県幹部職員へ助言が行われました。
そこで、食育や県産食材の利用拡大の観点からも、これまでの県の地産地消の取組についてどう評価しているのか、また、岩手版リバースメンター制度も踏まえ、今後どのような取組を行っていくのかを伺います。

注2)リバースメンター制度:上司や先輩社員がメンター(指導者、助言者)になって若手をサポートする通常のメンタリングに対し、若手が上司に助言する逆方向(リバース)の人材支援活動の仕組みのこと。「岩手版リバースメンター制度」についてはリンクを参照ください。
https://www.pref.iwate.jp/kensei/seisaku/suishin/1042053.html

 

答弁
地産地消の取組についてでありますが、県ではこれまで、
・ 家庭での県産食材の利用機運を図る「いわて食財の日」等の設定
・ 栄養教諭等への学校給食での県産食材の利用の働きかけ
・ 県産食材を積極的に利用する「いわて地産地消給食実施事業所」の認定
など、市町村、関係団体等と連携しながら、地産地消の取組を進めてきたところ。
こうした取組により、県内給食施設における県産食材の利用割合は、着実に増加しており、地産地消の機運醸成につながっているものと評価している。
一方、地産地消を更に推進するためには、通年確保が難しい県産野菜や、利用が少ない県産水産物の利用拡大が必要であると認識しているところ。
このため、リバースメンターから頂いた助言等を踏まえ、県産食材が県民にとってより利用しやすいものとなるよう、最新の冷凍技術の活用等により県産の野菜や水産物を時期を問わず安定的に供給できる仕組みを検討するなど、地産地消に向けた意識の醸成と県産食材の一層の利用拡大に、市町村、関係団体等と一体となって取り組んでいく。

答弁に対する指摘
県では、「いわての食財サポーター」登録制度、いわての美味しいお米サポーター制度など、様々なファン制度を実施しております。例えば、「食財サポーター」登録制度は、県外の方もいらっしゃると思いますが、7,194人とかなりの登録数があります。お米サポーター制度も、今は終了していますが、1,861人となっております。
そういったファン獲得のための事業をやっておりますが、サポーターに対する直接的な事業が見えないなということを正直感じております。盛岡市では、盛岡食の王国(美食王国もりおか?)という取組があり、これは、同じようにファン制度となっておりますが、生産者とサポーターをつなぐ取組として、料理教室や収穫体験をやっているのですが、県もサポーター制度をやっているのであれば、ただ情報提供するだけではなくて、しっかり直接つながる仕組みをすることで、さらにファンになっていく仕組みにしていただきたいと思います。
盛岡市の事業では、私もファンの一人になっていて、色々な事業に参加するのですが、生産者が見えるとさらにつながりが持てますし、食材をまた買おうとか、食べたいというようになると思っておりました。
せっかく県ではサポーターが何千人といらっしゃいますので、直接的な地産地消の取組をぜひ検討していただきたいと強く願います。

 

(2)森林公園の果たす役割と県民による活用について
県には5つの森林公園がありますが、自然に親しめる場としてより多くの県民に利用されるとともに、森林の多面的機能の維持など、自然環境の保全に努めながら、その魅力向上を図ってほしいと感じています。
コロナ禍で、外出自粛や様々な活動が制限される中、健康増進の観点からも、外遊びや自然散策等自然に親しむ機会の提供が重要と考えます。野外レクリエーションの場として四季を通じて利用者の増加が図れるようなポテンシャルの高い要素が多い森林公園ですが、利用者がその資源の中で楽しめるような整備がされていない等、さらに広く活用できる余地が多数あると感じます。
森林公園の指定管理者の話を聞くと、「少ない管理費の中で様々工夫し事業を展開しているが、施設設備や備品の老朽化により年々修繕個所が増加し、指定管理料を圧迫して大変だ。」との声が多くありました。
「また、園外保育利用や遠足利用についての問い合わせが多く、森林学習機会の提供として、子どもたち等の来園者へのサービス向上を図りたい。」との声もあります。
第73回全国植樹祭が令和5年度春に開催されますが、これを契機として、森林公園全体の森林整備及び施設整備を計画的に実施することが重要と考えますが、県の考えを伺います。

答弁
県が設置する森林公園の整備についてでありますが、昭和44年に設置された県民の森をはじめとする森林公園は、これまで多くの県民等に利用されてきたが、公園施設の一部には、整備から相当期間経過したものもあり、利用者ニーズ等の変化に合わせ、対応していくことが必要となっているところ。
このため、県では、令和元年度に外部有識者等を構成員とした「森林公園リニューアル検討会」を設置し、今後の森林公園のあり方や整備の考え方を検討いただいたところ。この検討会からの提言を踏まえ、今年度から、
・ 車いすやベビーカーの利用者等に配慮した遊歩道のバリアフリー化
・ 親子で楽しめる木育スペースの設置
・ 来場者の利便性に配慮した案内板の整備
・ 景観等に配慮した支障木の除去
などの整備を進めているところ。
県としては、森林公園が、自然に親しめる場としてより多くの県民に利用されるよう、引き続き、利用者や指定管理者の声を聞きながら、必要な整備を計画的に進め、森林公園の魅力向上を図っていく。

答弁に対する指摘
私も5つの森林公園を休みのときに使わせていただいております。本当にそれぞれの場所の良さがあり、全く違うなと感じている中で、やはり、管理費が少ない中でがんばられているんだなということも感じておりますので、ぜひ整備計画の中でもう少し管理費の増額を図っていただきたいと考えております。

 

(3)県産材の利活用促進について
いわて木づかい住宅普及促進事業について
県産木材の利活用促進には、公共施設や民間での県産木材の活用はもとより、県民の住宅への活用も重要です。今年度開始した「いわて木づかい住宅普及促進事業」は、県産木材の利活用促進に大変有効で、子育て世帯への加算もあり、大変評価しています。
5月の募集開始から半年も経過しない間に予算額に達し終了したと聞いています。
いわて木づかい住宅普及促進事業の申請状況と所感について、また、今後も同様の事業を継続して欲しいと考えますが、今後の取組について伺います。

答弁
いわて木づかい住宅普及促進事業についてでありますが、今年度は9月22日をもって受付を終了したが、申請件数は、新築118件、リフォーム10件、計128件となっている。
この事業の実施に当たっては、林業関係団体や工務店など建築関係者と連携し、広く県民に利用されるよう周知を図ってきたところであり、本事業により、住宅建築での県産木材の利用が一層促進されるとともに、子育て世代においては、将来を担う子どもたちにも、県産木材のぬくもりや香り、心地よさなどを感じてもらえるものと期待している。
今後の取組については、本事業を活用した施主の感想や、完成した住宅での木材利用状況をホームページで情報発信し、県産木材を使用した住宅需要の更なる喚起を図るとともに、施主に対するアンケート調査結果等を踏まえ、来年度以降の対応を検討していく。

再質問
申請全体のうちで、いわて森の棟梁の協力店は全部で55店舗ありますけれども、その工務店を利用している割合は25%であり、森の棟梁以外の工務店や住宅メーカーが使われている状況で、このことももったいないなと感じました。
せっかくいわて森の棟梁として登録して、これまで様々な取組をしている中で、本事業では森の棟梁として登録していなくても、意欲があれば結局県産材を使えるという状況で、本来はこの方々の底上げになるような事業につなげていくべきではないかと感じておりますが、所感を伺いたいと思います。

答弁
いわて森の棟梁制度についてですが、今回、登録していないところも結構あるということで、その理由も伺ったところであるが、そもそも今年度は受注の関係で、県産木材を使用して建築する案件が少なかったとか、あるいは、公共工事等の他の事業を請け負ったことから、住宅の受注が少ないという事情があったというように伺っているところ。
県産木材の利用ということで、広く工務店等に、制度周知を図りながら事業を進めてきたので、今後ともこういった事業が有効だということを広く関係者等に広報して、いわて森の棟梁の利活用を図っていきたいと考えている。

答弁に対する指摘
今までは県土整備部で住宅補助があったが、今回、農水として制度ができたということで、特にも子育て世代への加算ということで、良い事業だと思っておりましたが、森の棟梁という方々をもっと活用するためにも、ぜひ来年度以降も継続していただきたいと考えております。

 

6.子どもたちの健やかな成長と生きる力を育む教育について

 文部科学省は9月8日、多様な体験の積み重ねが子どもの健やかな成長を促すとする研究結果を公表しました。子どもの頃にキャンプなどの自然体験やボランティア、多様な遊びや読書といった体験の回数が多いほど、自分には能力や価値があると感じる「自尊感情」や外向性などが高い傾向だったといいます。
分析では、小学生の頃に学校活動以外に、自然体験(キャンプ、山登り、川遊びなど)や、社会体験(農業、ボランティアなど)、文化的体験(博物館・美術館の見学やスポーツ観戦など)や読書、お手伝いを多くしていた子どもは、その後、高校生の時に自尊感情や外向性、精神的な回復力といった項目の得点が高くなる傾向が見られました。
さらに、家庭の収入水準が相対的に低い家庭にある子どもであっても、例えば、自然体験の機会に恵まれていると、家庭の経済状況などに左右されることなく、その後の成長に良い影響が見られることが分かりました。

(1)子どもたちの多様な体験活動の機会の創出等について
全ての子どもたちが、その置かれている家庭環境等によらず、十分な体験活動を経験できるよう、子どもたちの生活環境の中に多様な体験の機会を創出・提供していくということが、子どもたちの成長において重要と考えられますが、現在は、新型コロナウイルス感染症の影響により青少年の自然体験活動等が減少しています。
今後は、学校教育はもとより、地域との連携により多様な体験活動の機会の創出や提供、子どもたちへの体験活動の推進にもっと力を入れて取り組んでいただきたいと考えますが、県の所感と今後の方針について伺います。

答弁
子どもにとって多様な体験は、健やかな成長や生きる力の育成において大変重要であると認識しているが、現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、残念ながら体験活動の機会が減っている状況である。この状況下であっても、県内各地においては、体験活動の意義を再確認し、様々な対策を講じたうえで、子どもたちに充実した体験活動の機会を提供する取組が行われているところ。
本県独自の教育振興運動においては、県内500箇所の学校や地域で、また、放課後子ども教室においては県内105箇所で、自然体験や郷土芸能、世代間交流等の取組が行われているほか、県立青少年の家や野外活動センターにおいては、子どもや親子対象の自然体験活動を、県立図書館、博物館、美術館においては、親子で参加できる体験活動を企画している。
今後も、市町村等との連携により、多様な体験活動の機会の創出と情報提供に努めるとともに、体験活動等に関する研修の実施により、指導者等の養成や資質向上を図りながら、子どもたちの体験活動の充実をより一層推進していく。

 

(2)子どもたちの多様な体験活動の機会の創出等について
県内の公立学校で、読書活動が盛んとなっています。小中高生が1ヶ月に読む本の量は、いずれも増え続け、特に小学生はここ10年間で1.8倍になったといいます。
県は、2004年、子どもたちが本に親しむ環境づくりを目指した「いわて子ども読書プラン」を策定しました。
総務省が行った2017年の家計調査で、盛岡市は1世帯当たりの本の購入金額が全国1位となり、1世帯当たりの書籍購入額は1万3,730円でした。まさに「本の街・もりおか」という状況です。
また、近年、郷土ゆかりの作家が二期連続で芥川賞を受賞したこともあり、「文学の国いわて」も体現しています。これは今に始まったことではなく、宮沢賢治や石川啄木ら、かつての先人が耕した土壌があったことが大きな要因と考えます。文化都市宣言・本のまち宣言などをする必要がないほど、県民にその感覚が根付いています。
「文学の国いわて」という土壌を次世代に繋いでいくため、子どもたちの読書環境をさらに充実させてほしいと考えます。また、県内高校では文学活動が盛んと聞きますが、将来の作家の育成にも力を入れてほしいと考えます。
そこで、本を活用した県の取組と今後の方針について伺います。

答弁
読書活動は人生をより深く生きる力を身に付けていくうえで欠くことのできないものであると認識している。
令和2年度「岩手県子どもの読書状況調査」によれば、1か月の平均読書冊数は小学生が18冊、中学生が5.1冊、高校生が2.5冊であり、全ての校種において全国平均を上回っている状況である。
現在、「第4次岩手県子どもの読書活動推進計画」に基づき、重点として「子どもの発達段階に応じた取組の推進」と「子どもの読書への関心を高める取組の推進」の2つを掲げて取組を進めているところ。
特に、子どもたちの読書活動推進に関わる人材の育成と資質向上を目的とした、各種研修会の開催、加えて小学生及び中・高校生のためのおすすめ図書100選の配布や活用促進などの取組を進めているところ。
また近年、本県ゆかりの作家や高校生の文芸活動の活躍により、読書活動推進の機運が高まっていることから、子どもたちの読書環境のさらなる充実に取り組んでいく考え。

答弁に対する指摘
自然体験活動と読書のことを取り上げましたが、今、予測不可能な時代の中で、生きる力を子どもたちに付けていただきたいと考えております。
来年、八幡平市に開校するハロウインターナショナルスクール安比校、なぜ安比にということですが、最大の特徴は、恵まれた立地で、単に教科書で勉強するだけではなく、実際に大自然と触れ合い自分の肌で体感しながら学ぶことで、学びの豊かさを経験していくということを重要視しているということです。課外活動として、冬はスキー・スノボ、夏はゴルフやマウンテンバイクなど、大自然の中で季節ごとに異なるプログラムを生徒が自由に経験するそうです。大自然は学術的な知識だけではなく、将来国際的に活躍する人材となるために必要な見識や心身を育てることができると、学校のディレクターがお話しされています。岩手はどこにでも自然環境の土壌があるわけです。
ぜひ、体験活動や読書活動の充実にこれまで以上に取り組んでいただきたいですし、子どもたちに生きる力を育んでいただきたいということで取り上げさせていただきました。

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