議会質疑・答弁
Parliament
平成31年2月定例会
「次期総合計画特別委員会 総括質疑」
【質問項目】
- 1. 安心して子どもを生み育てられる環境について
- 2. 仕事と生活の両立支援について
- 3. 幼児期における人づくりについて
- 4. 政策評価について
1. 安心して子どもを生み育てられる環境について
前回の委員会での質疑等を経て、「家族・子育て」分野の弱みリスクに、「核家族化、産科医・小児科医の不足などを背景に、妊産婦が出産や子育てに不安を抱く懸念」 が追記され、県もこの認識を持って頂いた。
知事は前回 『「家族・子育て」において、10年後はこの計画により「安心して子育てをすることができる岩手」を描いている』 とご答弁されたが、私自身まだ共感まで至っていないので、知事の考えを改めて確認共有させて頂きたい。
(1) 医師不足の対策について
岩手県は、人口や診療需要に対して適正な医師数を確保できていない「医師少数県」であることが明らかになった。
医師の偏在、特に産科医、小児科医の不足する岩手県で、10年後、安心して子どもを生み育てられる環境が整っているのだろうか。
医師の不足にとどまらず、盛岡とそれ以外の地域での格差も広がっている。
同じ医師少数県の長野県では、長野県での勤務に興味を持つ医師に、希望の働き方等のヒアリングや、勤務先として可能性のある病院の紹介、住宅探しなどもサポートする「長野県ドクターバンク」を県直営で実施し、これまで118名(2019年1月末現在)の医師の移住も含めた転職を支援している。
また、短時間勤務やスポット勤務などの女性医師向けドクターバンクも設置している。
課題解決の一つとして期待される奨学金養成医師の本格配置は3年目を迎え、現場に出る医師は毎年増えているが、医師偏在解消には至っておらず、さらなる取組が必要だと思うが、具体的な新たな施策の展開があるか伺う。
答弁
本県では、奨学金による医師養成に取り組んできたほか、平成18年に医療局と保健福祉部の共管による医師確保の専担組織を設置して、これまでに144名の医師を本県に招聘してきたところである。
招聘に当たっては、岩手に関心のある医師のもとに職員が直接訪問し、全国有数の県立病院ネットワーク体制などの紹介と併せて、
・定年後も変わらない条件で勤務を続けられるシニアドクター制度
・女性医師等の育児支援体制が充実しているママドクターの公募制度
など、県立病院の整った受け入れ環境などを強くアピールしながら、医師確保に取り組んでいるほか、岩手での暮らしや岩手で医師として勤務する魅力なども紹介しながら、きめ細かく対応しているところである。
「いわて県民計画」最終案において、必要に応じた医療を受けることができる体制の充実に向け、医療を担う人づくりを進めることとしており、こうした医師確保の取組に併せて、具体的な医師偏在対策などを盛り込んだ「医師確保計画」を来年度新たに策定し、医師の確保と偏在の解消に向けて取り組んでいく。
(2)助産師の活用について
周産期医療体制の改善として助産師の活用があり、県では地域で妊産婦を支える助産師の育成研修を実施し、市町村での産前産後サポート、産後ケア事業が広がりを見せていることに敬意を表する。
今後はさらに、リスクに応じた周産期医療を提供するため、産科医の負担軽減策の一つとして、妊婦健診のうち何回かは助産師が担当する「助産師外来」の設置や、分娩が正常に経過している場合は助産師が分娩を担当する「院内助産」システムの導入を広げることも大事ではないか。
また、助産師の役割拡大の体制づくりやスキルアップのための研修を引き続き実施するなど、助産師の活用について、県の考えを伺う。
答弁
「いわて県民計画」最終案においては、周産期医療提供体制の整備や妊娠期から子育て期にわたる、切れ目のない相談支援体制の構築などにより、安全・安心な出産環境を整備することとしている。
御指摘のとおり、助産師外来や院内助産の取組は、医師の負担軽減や妊産婦の多様なニーズに対応する上で有効であると考えているが、県内の施設数はいずれも横ばいで推移している状況である。
県としては、助産師外来や院内助産システムの導入促進が重要と認識しており、そのためには、何より人材の育成確保が必要となることから、昨年度から実施している「地域で支える周産期保健医療支援事業」の中で、潜在助産師の掘り起しや人材育成研修を行っているところ。
また、助産師には、分娩介助に加え、メンタルヘルス対策や子育て支援など、多くの役割を担うことが求められてきており、助産師の資質向上が重要と認識している。
県では引き続き、広く知識や技術の習得を図るための資質向上研修を実施するとともに、母子への心身のケアや育児サポートなどの課題へも対応できるよう研修内容の充実強化を図るほか、地域の開業助産師や潜在助産師等を活用し、「安心して子どもを生み育てられる環境づくり」を進めていく。
2. 仕事と生活の両立支援について
(1) 各種保育サービスの充実化について
長期ビジョンにある「子育ての負担や、仕事と育児の両立の困難さといった様々な生きにくさを生きやすさに転換」を実現するには、就労形態の多様化に対応した各種保育サービスの充実が重要と考える。
年度途中に多く見られる待機児童対策の一環として、来年度は新たに保育士確保に向けた予算措置をするなど、保育所の定員増に向けた各種取組はされているが、それを利用する家庭の多様化に対応しきれていないのではないかと考えている。
保育サービスには、延長保育、休日保育、一時預かり、病児保育、ファミリーサポートセンター事業など様々あるが、各市町村でサービスの提供状況にばらつきがある中、県は、これらサービスの充実化を図るのにあたり、将来的にどの水準にどう進めていくつもりなのか伺う。
答弁
「いわて県民計画」最終案の「家族・子育て」の分野において、保育サービスの充実などにより、子育て家庭を支援することとしており、具体的には政策推進プラン案において、「子ども・子育て支援事業支援計画」に基づき、市町村と連携し、保育所等の利用定員の拡大や保育士等の人材確保に努めるなど、子ども・子育て支援の充実を図ることとしている。
県では、保育の実施主体である市町村が、地域の多様な保育ニーズに応じ、多様な保育サービスを提供することが重要と考えており、保育サービスの運営費等を補助するとともに、市町村の保育人材確保の取組を支援している。
多様な保育サービスについては、国が「少子化社会対策大綱」により目標を掲げていることを踏まえ、市町村において、平成31年度までに、延長保育は24市町村、364か所、病児保育事業は22市町村、69か所などの事業が計画されており、県では「子ども・子育て支援事業支援計画」に基づき、その取組を支援しているところである。
また、来年度には県の「子ども・子育て支援事業支援計画」や市町村の「子ども・子育て支援事業計画」を見直すことになっていることから、県としては地域の保育ニーズを踏まえて、必要なサービスが確保される計画となるよう助言するとともに、その実現に向けて支援していく。
(2) 子育て家庭への支援について
先ほどの保育サービスの一つ、ファミリーサポートセンター事業は、現在12市町で導入されている。
事業内容として素晴らしいと感じるが、登録や利用時に少々手間がかかったり、休日や夜間に利用できない場合もあり、もっと利用しやすい事業であればと考える。
県として各市町村での利用実績等実態把握はされているだろうか。
子育てや家事を助けてもらいたい住民と、助けてあげられる住民をつなぐ「スキルシェア」という子育てシェアのネットサービスを展開する企業が、奈良県生駒市など6つの自治体と連携協定を結んでおり、また佐賀県ではこのサービスの導入に向けた実証実験を始めている。
このような子育ての「スキルシェア」の取組も必要であると考えるが、県としてどう考えるか伺う。
答弁
ファミリー・サポート・センター事業については、平成29年度は12市町で実施され、10,442件の実績となっている。
県としては、地域のニーズに応じて、各地域で事業が実施されることが重要であると考えており、実施市町村を拡大していくことが必要と考えている。
政策推進プラン案においては、「子ども・子育て支援事業支援計画」に基づき、ファミリー・サポート・センター事業など、地域子ども・子育て支援事業の実施を支援することとしている。
ご紹介の「スキルシェア」については、民間事業者との連携や情報通信技術(ICT)の活用などにより、一時的な保育ニーズへの効率的なマッチングが期待できる興味深い取組と考えており、県としては、ファミリー・サポート・センター事業の拡充に向けて、市町村に対し、「スキルシェア」などの先進事例を紹介しながら、事業実施を働き掛けていく。
3. 幼児期における人づくりについて
人の一生において幼児期は、生活や遊びを通して、より良く生きるための基礎を獲得し、生涯にわたる人間形成の基礎が培われる重要な時期とされている。
また幼児期は、知的・感情的な面でも、人間関係の面でも、日々急速に成長する時期でもあり、この時期に経験しておかなければならないことを十分に行わせることは、将来、人間として充実した生活を送る上で不可欠である。
岩手県では昨年、「森と自然を活用した保育・幼児教育」の認知度や質の向上等を目的に設立された「森と自然の育ちと学び自治体ネットワーク」に参加され、岩手らしい人づくりに大変期待しているところである。
計画には幼児教育について触れられていないが、「森と自然の育ちと学び自治体ネットワーク」での取組状況と、今後、どのように取組のか伺う。
答弁
政策推進プラン案においては、「家族・子育て」の分野に、「豊かな体験活動の充実」を掲げ、自然体験活動などの体験活動の充実に取り組むこととしているが、計画策定中の昨年10月に「森と自然の育ちと学び自治体ネットワーク」が設立されることとなったことから、本県におけるこれまでの先導的な取組、すなわち、県立児童館「いわて子どもの森」において、豊かな自然環境を活用して、子どもの主体性や自発性を育む活動を行ってきたことなどを踏まえ、本県も参加したところである。
当ネットワークでは、これまで、記念講演や活動報告会などを実施したほか、今後、自治体や民間団体等との交流と連携の拡大、幼児期からの育ちと学びに資する調査研究や人材育成などに取り組むこととされており、豊かな自然環境という強みを持つ本県としても、ネットワーク活動に積極的に参画し、幼児期からの自然体験活動の充実に取り組んで参りたいと考えている。
4. 政策評価について
次期総合計画では様々な指標が設定されているが、これらが県民目線に合致するものか、必ずしもそうは言えないものもあるのではないかと感じている。
例えば、子育て応援の店、結婚応援の店を増やすことを目標としているが、これが本当に応援に繋がるのか、需要があるのかなどを調査分析した上で取り組むべきと考える。
次期総合計画の政策評価について、今後、県民の意向をどのようにとらえ、どのように反映していくのか伺う。
答弁
「いわて県民計画」最終案においては、10の政策分野ごとに、例えば「健康寿命」や「合計特殊出生率」、「高卒者の県内就職率」をはじめ、その分野を代表する県民に分かりやすい指標を「いわて幸福関連指標」として掲げ、一方、県民一人ひとりの幸福度を高めるために「県が取り組む具体的な推進方策」について、指標を含め、その関連性について十分に検討を行って体系化しているもの。
今後の政策評価に当たっては、10の政策分野を中心に「いわて幸福関連指標」の状況や県民意識調査で把握した県民の実感、そして社会情勢なども勘案して県の取組の評価を行い、さらに、有識者による研究会を立ち上げて専門的な見地からの分析なども行いながら、より県民の意識や実感を踏まえた取組を展開することで「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」を実現していく考えである。
平成31年2月定例会
「予算特別委員会 総括質疑」
【質問項目】
- 1. 妊産婦支援について
- 2. 不妊治療について
- 3. 県民の健康づくりについて
- 4. アパレル産業の振興について
- 5. いわての森林づくり県民税について
1.妊産婦支援について
(1) 切れ目ない妊娠出産育児の支援のための妊産婦包括支援について
県の積極的な取組により、産前産後サポート、産後ケア事業が市町村への広がりを見せていることに改めて感謝と敬意を表する。
しかしながら、宿泊型やデイサービス型の産後ケア事業は限られた市町村でしか実施されていないものの、産婦の利用満足度はとても高く、所在市民に限らず広域的に利用できるよう、団体に対して県の助成などを検討すべきではないかと考える。
また、現在、産科診療所開設等支援事業を行っているが、産後ケアを開設しようとする産科医療機関等への人材確保や研修等への補助の拡充も検討すべきではないかと考える。
国では、2020年度末までに子育て世代包括支援センターの全市町村への設置を求めている。
センター設置の目的は保健師、助産師などの専門職が全ての妊産婦と子どもの状況を継続的に把握し、必要な支援を行うワンストップ拠点となることにある。
来年度新規の「いわての妊産婦包括支援促進事業」は大変有効と考えるところであり、加えて、産後ケア事業の広域的な展開や産科医療機関等の人材確保・育成への支援、市町村が設置する子育て世代包括支援センターにおける体制整備などに取り組む必要もあると考えるが、その方向性について知事にお伺いする。
答弁
妊産婦に対しては市町村が実施主体となり、保健師等が継続して支援を行う「子育て世代包括支援センター」や、産前・産後サポート、産後ケアなどの施策が総合的に実施されており、県では、安心して妊娠、出産、子育てができる環境の構築に向け、市町村に対して各種会議等を通じてセンターの設置や産後ケア事業等の実施を働きかけるとともに、支援を担う潜在助産師等の掘り起こしによる専門人材の確保や、研修会による母子保健指導者等の資質向上を支援してきた。
妊産婦に対する支援について、県内市町村に実施したアンケート結果によると、専門職員の人材確保が難しいことや対応スキルの不足、地域で妊産婦等を支援する機関が少ないなどの課題があげられている。
県としては、専門人材の確保や人材育成研修の取組を継続するとともに、来年度においては、当初予算案にセンターの職員が妊婦訪問時に配付する啓発物品等の経費の一部を補助する「いわての妊産婦包括支援促進事業」を盛り込んだところである。
これらの事業を通じて、市町村における「子育て世代包括支援センター」の体制整備を支援するとともに、市町村や関係機関等と意見交換しながら、広域の取組も含めて、地域の実情に応じた事業展開ができるよう助言を行い、引き続き妊産婦の包括的な支援に向けて取り組んでいく。
(2) 乳児用液体ミルクの災害時における導入について
昨年8月に省令改正がなされ、液体ミルクの国内での製造・販売が解禁された。
沸かしたお湯で溶かさなければならない粉ミルクと違い、液体ミルクは停電時やガス・水道が止まっていても使用可能で、常温で約6ヶ月保存可能である。
平成26年3月に策定された岩手県災害備蓄指針では、乳幼児及び妊産婦等の要配慮者のための育児用品、女性用品等の物資については、災害時に必要量を調達できるよう、民間団体等との協定の締結などを進めていくこととしているが、液体ミルクを災害時の調達品目の一つとすることについて、液体ミルクの安全性に関する情報提供など市町村への普及啓発も含め、県の見解を伺う。
答弁
乳児用液体ミルクについては、昨年8月に国内での製造・販売に必要な安全基準等が整備され、関係省庁における手続きを経て、間もなく販売されるとの報道がなされているところ。
乳児用液体ミルクは、粉ミルクで使うお湯を必要とせず、持ち運びできるなど利点があり、災害備蓄として活用も考えられる。
内閣府は、平成25年に策定した「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」について、平成31年度中に改定を予定している。
液体ミルクの販売後の流通状況や使用者の声を把握しながら、また内閣府の取組指針改定の検討状況なども踏まえながら前向きに検討していきたい。
2.不妊治療について
近年の結婚年齢の上昇に伴い、不妊治療を受ける者は年々増加している。
夫婦の5.5組に1組が不妊検査や治療経験があるとの統計がある一方、治療は長期にわたり平日の通院も繰り返し必要になることから、不妊治療と仕事の両立は大きな課題になっている。
国などの統計によると、不妊治療経験者の約9割が仕事との両立が困難と回答し、勤務先に対しては不妊治療のための休暇制度創設などを求める声が多くなっている。
一方で、不妊治療のための休暇などの支援制度がある企業は全国で9%にとどまるほか、制度化していないものの個別の支援を行っている企業も約21%。残りの約70%は支援が全くないのが現状。
また、岩手県不妊専門相談センターでは、電話相談と面談を行っているが、平日に限られている状況である。
さらには現在、岩手県で特定不妊治療を受けられるのは2施設に限られており、県外の医療機関を受診する方も多いと聞いている。
移動などの負担もあることから、県内で受診できることが望ましい。
企業への理解促進と支援策に関して今後の取組と、相談体制の実態及び不妊治療の県内医療機関における受診状況について伺う。
答弁
県では企業に対して、平成29年度に国が作成した「仕事と不妊治療を両立しやすい職場環境づくりを進めるためのリーフレット」を、各保健所が行う企業訪問などの際に配布しているほか、「いわて働き方改革アワード」の審査項目として、不妊治療を含む休暇制度の規定の有無を盛り込み、不妊治療の理解促進に努めるとともに、各保健所において、支援制度を検討している企業からの相談に対応し、その取組を支援しているところ。
県が岩手医科大学に委託している不妊専門相談センターでは、平日の一定時間相談に対応し、昨年度は電話相談が55件、面接相談が32件で、合わせて87件の相談実績となっており、一昨年度の62件と比べ、25件増加している。
また、不妊治療の県内医療機関での受診状況について、盛岡市を含めた特定不妊治療の給付決定件数は、平成28年度は877件、平成29年度は863件と概ね横ばいの状況であるが、昨年度863件のうち58.2%に当たる502件が県内医療機関での受診となっており、これまでは県外医療機関での受診件数が上回る状況が続いていたが、昨年度は県内医療機関での受診件数が上回ったところ。
今後も県においては、不妊に悩む方への相談支援に努め、特定不妊治療費助成を継続実施するとともに、岩手医科大学付属病院などの専門医師等で構成する不妊治療協議会における意見等を踏まえ、県内の不妊治療体制の充実について検討していく。
3.県民の健康づくりについて
働き盛り世代の健康づくりに向けて、今年度から実施している「県民主体の健康度アップ支援事業」は、取組企業22社中、平均内臓脂肪面積が減少した事業所数が男性で16社、女性で19社という結果であり、有効と感じている。
企業だけでなく個人も参加できる仕組みや、歩数などの健康ポイント制度はさらに有効と考える。
来年度実施するビッグデータを活用した新規事業とともに、医療費削減、介護予防にも繋がると期待する事業の一つと考えるが、来年度、両事業をどのように展開していくお考えか伺う。
答弁
県民主体の健康度アップ支援事業は、65歳未満の年齢調整死亡率が全国平均より高い状況を踏まえ、働き盛り世代の健康づくりを推進するため、企業の健康経営の取組の促進とともに、本年度強化した取組である。
この事業により、歩行数増加や食生活改善を促すことで、内臓脂肪の減少という具体的な成果が得られたことは、今後の施策展開に大きな弾みとなったものと考えている。
平成31年度当初予算案においては、引き続き本事業を実施するための経費を盛り込み、企業が行う健康づくりの支援を強化するとともに、ご提案の健康ポイント制度などのような、県内外の優良事例を県内市町村に横展開する取組や、県民から募集する実践企画を施策に生かす取組などを行うこととしている。
また、医療等ビッグデータ利活用推進費は、全国有数の県立病院ネットワークなど、本県の優位性を生かし、電子カルテデータの利用を含めた、健康課題の解決に資する健康・医療・介護データの分析や活用を図るための基盤整備に取り組むものであり、来年度は、有識者の意見を伺いながら、既に標準化されている県内の特定健診データと医療・介護データとを集積・連結し、データ分析できる環境の整備や、病院ごとに異なる様式で保管されている電子カルテデータを連結し、分析する手法等について調査研究を行うこととしている。
今後も、市町村等関係機関と連携し、他県などの優良事例にも学びながら、県民の健康づくりを促進するとともに、医療等のビッグデータを分析・活用し、介護予防や医療費等の適正化に向けた取組を進めていく。
再質問
今回のビッグデータ活用に当たり、周産期医療ネットワーク「いーはとーぶ」と一緒になったりするものか、現時点の状況を確認したい。
答弁
現在、どのようなビッグデータでネットワークを構築するかということの手法などの議論が先行しており、出来るだけ多くのネットワークの情報を連携することが望ましいと考えているが、まずはマクロな取組からスタートしていくものと保健福祉部から聞いている。
4.アパレル産業の振興について
今年で6回目となる北いわて学生デザインファッションショーが先日開催された。
文化ファッション大学院大学との連携や北いわて仕立て屋女子会の取組など県内外への広がりも感じるが、県民がさらにその技術やファッションを身近に感じられるよう、販売会等を設けるなどの工夫も必要と考える。
事業者の生産額増加や若者女性等の雇用創出等にも繋がっているのか伺う。
また、アパレル産業の振興に向けて、来年度はどのような取組を実施していくお考えか伺う。
答弁
国の工業統計調査における本県の繊維工業の製造品出荷額は、平成23年に207億円、平成27年に269億円、平成28年には314億円と確実に増加してきている。
これは、県がこれまで進めてきた、学校法人文化学園との連携による縫製技術指導をはじめ、北いわて学生デザインファッションショー、盛岡でのいわてアパレルコレクションの開催による産業としての盛り上げの取組や、首都圏での商談会を通じた取引支援等の振興策が寄与しているものと認識している。
こうした取組により、県北地域においては文化学園の女子学生が縫製企業に就職した事例や、首都圏の美容院経営者が転身して、I ターンで起業した事例が出てきているほか、高い技術力を習得した盛岡の縫製企業の女性従業員が、技能五輪全国大会において上位入賞を果たすなど、アパレル産業は、県北地域のみならず岩手県全体としても大きな産業として位置付けられるのではないかと考えている。
来年度は、これまで取り組んできたものをしっかり行っていくが、新たに、文化学園とつながりのあるデザイナーを招へいし、縫製事業者を訪問しての商品企画の指導や、文化学園の大学生が、県内事業所においてインターンシップを行い、短期の体験をするなどの取組のほか、本県オリジナル防災服の製作に取り組むことも考えている。
5.いわての森林づくり県民税について
県民税を活用した間伐等の森林整備活動は山間部で実施されており、県民に取組が見えないという声が聞かれる。
YouTubeでの配信や小学生向けリーフレットの作成などにも取り組んでいるが、県民税の認知度向上も図り、県民への解りやすい報告がさらに必要と感じている。
県は昨年、「森と自然の育ちと学び自治体ネットワーク」に参加表明された。
市町村が行う新生児や保育所等への木製品贈呈に対する助成など、県民税を活用した子育て支援について、これまでも提言させて頂いているが、来年度から国が森林環境譲与税を導入しようとする中、前述の県民へ取組が見えないという声に応えるためにも、県民税の特色を出す事も重要なのではと考える。
滋賀県は、「森のようちえん」などの自然保育や幼児教育への県民税による支援も検討している。
12月議会では、県立盛岡一高の生徒達から「地域材を活用したアスレチックの建設」の陳情もあったが、年間約20万人が訪れる県立森林公園の施設整備や、市町村が行う新生児への木製品の贈呈など、県民に身近となるような県民税の使途拡大も検討すべきと考えるが如何か、知事にお伺いする。
答弁
いわての森林づくり県民税は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状態で引き継いでいくことを目的に、森林環境保全に関する施策に要する費用に充てるものとし、公益的機能の高い森林へ誘導する間伐や、地域住民等が取り組む森林づくり活動の支援、森林環境保全の理解醸成などに取り組んでいるところ。
県民税は現在、2020年度を終期とする第3期の取組を推進しているところであり、第3期終了後の県民税のあり方については、その使途を含め、今後県民の皆様をはじめ、事業評価委員会や県議会、市町村の御意見なども広くお伺いしながら、検討を進めていく。