議会質疑・答弁

Parliament

平成27年2月定例会
「一般質問」

【質問項目】

  1. 1. 若者・女性支援について
  2. 2. 人口減少問題への対応について
  3. 3. 広域連携について
  4. 4. 産業振興について
  5. 5. 農林水産業の振興ついて
  6. 6. スポーツを通じた地域振興について
  7. 7. 中心市街地活性化に向けたLRTの整備について

多くのかけがえのない命が奪われた東日本大震災津波から間もなく4年が経過しようとしている。
しかしながら、本県においてはいまだ多くの方々が応急仮設住宅などでの困難な生活を送っておられる。
こうした東日本大震災津波の災害は、発災直後から、県内、全国、世界各地から多くの方々、若者が自らの意思で被災地に入り、被災地の復興に向けた様々な支援活動を行っているが、大震災から4年が経とうとしている今、それまで生活していた場所などへ戻ってしまっている若者もいる。
先日、岩手の県産品が豊富に取り揃う「らら・いわて」を訪問した。
らら・いわてでは、震災後に雑貨等の復興支援ブースを設けているが、それら復興支援商品は一番多かったときの半分近く取り扱いがなくなったとのこと。
震災後の若者等の復興支援活動で、継続できていない現状があることがここでもうかがえる。
県では、平成26年度から「若者女性協働推進室」を設置し、若者と女性のさまざまな活躍促進事業に取り組まれており、大変評価している。
しかし、生活の基盤である安定した雇用と必ずしもつながっていないのが現状であり、若者と女性の活躍促進をいかに安定した雇用へつなげられるかが今後の課題だと考える。

1.若者・女性支援について

① 若者・女性支援の基本的な考え方について
本県被災地の復興がなされ、また、県内の中心市街地が以前のように活気を取り戻すには、若者・女性が地元に定着し、または新たに流入し活躍していく、若者・女性がみずから進んで住み、結婚し、子育てをする好循環をつくる必要があると考える。
県はこれまで若者、女性の活躍支援に取り組んできたが、これまでの成果と課題についてお伺いする。
また、今後、どのように復興と「希望郷いわて」の担い手となる若者、女性人材を育てるのか、県外から本県に移り住んだ方々を含む若者、女性の自立的で継続的な活動をどう支援していくのか、基本的なお考えをお伺いする。

答弁
若者、女性支援の基本的な考え方については、岩手の復興を成功させ、「希望郷いわて」を実現するためにも、若者や女性の活躍を一層支援していくことが必要である。
県では、「第2期復興実施計画」において重視する視点として参画を掲げ、若者、女性を初めとした地域住民
の幅広い参画により復興の取り組みを推進することとし、「いわて若者文化祭」、「いわて若者会議」や「いわて若者交流ポータルサイト」等により、若者の交流の輪を広げる場を提供するなど若者活躍支援を進めるとともに、経済団体、産業団体等と「いわて女性の活躍促進連携会議」を設立し、産官連携した女性活躍支援に取り組んできたところである。
今後とも、若者のネットワークの拡大や女性の活躍支援に向けての意識啓発を図るなど、若者、女性の自立的で継続的な活動を支援してまいりたい。

② 女性の活躍支援について
「女性の活躍」という言葉が全国でもうたわれるようになり、機運の醸成が整いつつあると感じている。
女性の活躍支援には2点あり、一つ目としては、現在職を持つ女性が働きやすい環境となること。
二つ目として、これまで就労を希望してもできなかった女性たちが、自らの社会活動に自信を持ってもらえるようになり、それが最終的に本格的な職を持つようになるなどの支援が必要であるということだと考える。
先日、「大槌刺し子プロジェクト」のリーダーに話を伺った。
このプロジェクトには、大槌町の17歳から87歳までの30人ほどの女性たちが参加し、刺し子という技術を使いTシャツや布巾などをつくっており、現在は県内だけでなく首都圏等でも販売展開している。
彼女たちは震災で職を失った女性たちなどであるが、今ではそれが生きがいとなり、少しではあるが自分で所得を得られることで自信を持ってきている。
この「大槌刺し子プロジェクト」のリーダーは、県外から復興支援に駆けつけた20代の女性であるが、そういう活動が継続して被災地で活動してもらえるよう、商工労働観光部門と連携するなどの支援をしつつ、そこで活動する女性たちを支援するために、県内それぞれの市町村の実情に合わせた市町村と連携しての取り組みも必要と考える。
女性の活躍支援について、女性の力を最大限発揮できる活力ある社会や暮らしやすい社会の形成のため、県は、産官連携組織である「いわて女性の活躍促進連携会議」とさまざまな取り組みを推進し、女性の活躍支援に大きな役割を果たしているが、同会議において、女性の活躍支援について具体的にどういう議論がなされ、それを受け、どう取り組んでいくのかお示し願う。
あわせて、今後、市町村とも連携し取り組みを強化していくべきと考えるが、御所見を伺いたい。

答弁
経済団体や産業団体等で構成する「いわて女性の活躍促進連携会議」では、各団体の女性活躍支援の取り組みや現状についての情報共有、意見交換を行ったところである。
こうした連携会議での議論や、県内の事業所を対象に行った「いわて女性の活躍促進に関するアンケート」の結果では、「女性の管理職や役員がいない事業所が多い実態」とともに、「女性に対する意識啓発や男性、事業主に対する意識啓発が必要」ということが課題として挙げられたことから、来年度は、女性がキャリアアップするための事業や、男性、事業主など周囲の理解と協力を促すための事業を実施し、女性活躍に向けてさらなる取り組みを進めていく。
また、市町村との連携は重要であると考えており、これまでも会議や研修等を通じ情報提供や人材育成などに連携して取り組んできたところである。
また、現在、国会に提案されている「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」においては、県はもとより、市町村の役割も盛り込まれていることから、今後も地域における女性の活躍を推進していく。

③ 若者文化に対する支援について
県では現在、本県における文化芸術振興の総合的、長期的な目標や施策の方向を定めた「岩手県文化芸術振興指針」の変更案が今議会で審議されているが、その中で、若者等が多く参加、鑑賞する文化芸術分野、ポップカルチャー等の振興、文化芸術関係者のアートマネジメント能力の向上を新たな施策の方向性として打ち出したところである。
昨年11月15日、16日に、盛岡市をメーン会場として開催された「いわて若者文化祭」は、私も見に行ったが、まさにこの方策に合致する先導的な取り組みといえ、参加した若者たちからも「このような場を設けてもらい大変有意義だった」との声が多く聞かれた。
そこで伺うが、来年度、「文化芸術振興指針」の改訂を受けて行われる若者文化に対する支援の具体的な取り組み内容をお示し願う。

答弁
岩手県では、復旧、復興をはじめ、多くの分野で若者が大きな力を発揮しており、文化芸術面においても若者の活躍が多く見られている。
県としては、若者が文化芸術を発表する機会や他の団体と交流する機会が必要であるとの認識のもと、現在、改訂を進めている「岩手県文化芸術振興指針」において、若者文化や新しい文化芸術分野への支援を見直しの視点の一つとしている。
昨年11月に開催した「いわて若者文化祭」は、伝統芸能と若者の多くが親しんでいる文化芸術との競演が行われるなど、文化芸術の持つ創造性と若者の活力を融合させる取り組みとなったものと考えている。
来年度もこうした取り組みを引き続き行うとともに、指針改訂の趣旨も踏まえ、文化芸術コーディネーターによる若者の文化芸術活動へのアドバイスや支援、「いわてマンガプロジェクト」による若手漫画家の発掘、支援を行うなど、今後とも若者による文化活動がさらに活発となるよう積極的に支援していく。

2.人口減少問題への対応について

本県では、平成9年以降、人口減少が続いている。
日本創成会議は、人口減少問題は、出生率や少子化の問題、東京一極集中による人口流出が大きな要因と捉えている。
今回の提言は、出産を中心的に担う20歳から39歳の女性人口に着目して将来人口の見通しを明らかにし、そこから、若者・女性がみずからの希望に基づくライフステージを送ることができる社会をつくることが、人口減少の流れをストップさせる基本方策としたことに大きな意味があると考えている。
若者、特に女性の進学、就職に伴う首都圏等への人口流出が近年顕著になっており、女性が地元岩手に定着し生活していくには、進学、就職、結婚、妊娠、出産、子育てを含めたトータルな人生設計、ライフプランニングについてアドバイスをしていくことが重要である。
女性は男性と違い、仕事を持ったとき、結婚したとき、妊娠したとき、子供を持ったときで交友関係ががらりと変わることが多く、相談する友人が減るまたは変わるなど、孤立してしまうケースも少なくないように思う。
また、年々不妊治療を受けるカップルがふえ、岩手県でも増加傾向にある。
不妊治療については、時間的、身体的、精神的負担が大きいものであり、仕事をやめざるを得ない方も出ており、不妊治療を受けている方の勤務する企業の短時間勤務の扱いを認めることへの理解促進、支援など、現在県が行っている特定不妊治療への助成に加え、県としてもさらなる支援強化を図っていくべきと考える。
また、2013年11月には、未婚女性であっても卵子の凍結保存が日本でも認められるようになった。
さらに千葉県浦安市では、来年度から、少子化対策の一環として、大学と連携し、卵子凍結をしたい未婚女性への助成を開始、また、アップルやフェイスブックなどの会社が、福利厚生の一環として未婚女性社員に対する卵子凍結の助成を開始するなど、世の中の流れが大きく変化している。
しかし、本来は適齢期に結婚し、出産できる環境を整えることが第一であって、医療の技術発展に伴いさらなる晩婚、未婚化が進まないためにも、妊娠、出産などに対する正しい情報を提供し、学生など若いうちから、キャリアプランと結婚、そして出産を含めたライフプランを考える機会を設けるべきと考える。

① 若者が結婚し、子供を産み育てやすい環境づくりについて
日本創成会議人口減少問題検討分科会では、地方を元気にしていくための「基本方針」の一つとして、若者が結婚し、子供を産み育てやすい環境づくりのため全ての政策を集中することを掲げている。
こういった取り組みを進める中で、20歳代から30歳代前半に結婚、出産、子育てしやすい環境づくりなどが特に重要であり、もっと県は取り組んでいくべきと考えるが、この点について知事のお考えをお伺いする。

答弁
少子化に立ち向かうためには、子供を産みたいと願っている人、子育て中の家庭、さらには結婚を希望している人一人一人に寄り添いながら社会全体で支え、子供を産みやすい、育てやすい社会を築いていくことが重要である。
このため、来年度は「人口問題に関する報告(案)」を踏まえ、結婚支援センターの設置、男性不妊治療への助成、「子ども・子育て支援新制度」による保育の量の拡充及び質の向上や、子供医療費助成の対象拡大、現物給付化などに新たに取り組むとともに、今後策定する地方版人口ビジョンや総合戦略においても、20歳代から30歳代前半に結婚、出産、子育てしやすい環境づくりの強化について検討していく。

② ライフプランニング支援について
来年度から新たに取り組む結婚支援について大変期待しており、こうした人口減少問題への対策において、さきに述べたように、まずは女性への支援の一つとしてライフプランニング支援を重点的に取り組んでいく必要があると考える。
ライフプランニング支援は、さまざまな悩みの解決、身体的、精神的負担の軽減にもつながり、早期に実施されることが望まれる。
また、基礎知識として理解することは、将来の進路選択においても役に立つものと考える。
高校、大学、専門学校の各段階における十分な知識を持ち、進路選択に当たることが重要である。
女性が地元岩手に定着し生活していくには、結婚、妊娠、出産、子育てをする過程をキャリアプランに加えて、学生などの若いうちに考える機会があるのとないのでは、将来の人生設計に大きく違いがあると考えており、ぜひ必要である。
県立大学でも、キャリア教育に加えたライフプランニング支援について、今後、もっと取り組んでほしいと思っている。
現在、教育委員会では、県内の高校と県内5大学との高大連携の取り組みを行っており、これは、学力向上の取り組みが主であると聞いている。
ぜひ、この高大連携の場などを活用し、県内の大学へ、学生へのライフプランニング支援について働きかけをお願いしてほしい。
そこで、県立高校において、生徒指導、進路指導の際、特に女性へのライフプランニング支援についてどのように取り組んでおられるのか、相談等にどう応じているのか伺う。
また、高大連携における進路選択にかかわる取り組みについて伺う。

答弁
ライフプランニングについては、学校の教育活動全体を通して、生徒一人一人が自己のあり方、生き方を考え主体的に進路を選択し、社会人、職業人として自立するための能力を育むことが大切であり、小学校から高校まで児童生徒全員が履修する家庭科の授業などにおいて、男女が協力して主体的に生活を創造する能力と実践的な態度を育んできている。
特に、女性へのライフプランニング支援については、厚生労働省が発行するパンフレットなどを活用し、仕事選びを初め、妊娠から産休、育児休業、復職後の流れなどについて意識啓発を行っているところであり、また、生徒個々の相談についても、担任を中心とした面談等で具体的に対応してきているところである。
また、進路選択に係る取り組みについては、県教育委員会では、「いわて高等教育コンソーシアム」と共同で開催する「高大連携ウィンターセッション」や定期的な意見交換を実施して高大連携に取り組むとともに、学校での生徒の個別指導などを通じて、生徒たちが大学進学後にミスマッチというような感じを抱くことのないようなライフプランニングの支援を行っているところである。

③ 県外進学者等の県内就職の支援について
若者、特に女性の進学、就職に伴う首都圏等への人口流出への対応として、県外進学者の県内への就職支援の取り組みについて伺いたい。
平成26年3月に本県高校生1万1、892人が卒業している。
そのうち5、037人、女性の46%、男性の39%が大学等に進学しているが、その多くは首都圏、仙台等の大学、短大、専門学校等に進学している。
先日、県外進学者に県内への就職について話を聞いたところ、地元企業の求人状況は金融機関、マスコミ、公務員等の情報しか入手できない。
就職説明会等も行っているそうだが、情報が少ないため地元岩手の就職情報を入手する苦労があるとのこと。
先日の久保議員への政策地域部長の答弁でも「大学卒業時の女子学生の県内就職先が少ないのが課題」とのことでもあった。
県は岩手へのUターン、Iターンなど県内就職支援に取り組んでいるが、県外進学者等の県内就職支援について、課題及び来年度の取り組みについてお伺いする。

答弁
県ではこれまで、東京事務所などにUターンセンターを設置し、県内就職の相談対応や首都圏大学等への訪問による県内就職の情報提供を行っているほか、U・Iターンシステムを通じて希望者に県内企業の求人情報などを配信しているところ。
また、東京でのU・Iターンフェアや県内での就職面接会を関係機関と連携して開催し、県内企業とのマッチングの機会を設けている。
また、本年度、U・Iターンポータルサイトの設置やパンフレットの作成により県内就職の情報発信を強化しているところである。
平成26年12月、県が、本県へU・Iターンをした135名を対象にアンケート調査を実施したところ、U・Iターンに関する情報が十分に届いておらず、様々な方法でさらに情報提供をする必要があると認識している。
平成27年度当初予算案に県内中小企業が大手就職情報サイトを活用する経費に対する補助やジョブカフェいわてにU・Iターン就職情報の発信機能や相談窓口を設ける経費を盛り込み、県外進学者等に対する県内就職への支援を強化していくこととしている。

④ 山村留学について
葛巻町では、大自然に囲まれたフィールドを活用し、葛巻町らしさ、葛巻町だからできる、葛巻町でしかできない体験を高校生活で体験できるよう、全国から県立葛巻高校への入学生の募集、受け入れを支援する「くずまき山村留学制度」を平成27年度から立ち上げる。
これは全国的にも先進的な取り組みであり、人口減少対策として、まずは全国の高校生に地域のすばらしさを情報発信し、山村のすばらしさを知っていただく、さらには将来の定住につなげていく優良な取り組みの具体策の一つであると考える。
これについての県教育委員会の基本的考えと対応について伺う。

答弁
葛巻町で進める「山村留学制度」は、地域の活性化に寄与する有効な取り組みであり、また、葛巻高等学校にとっても、特色ある学校づくりを推進していくに当たり、貴重な機会と捉えている。
県教育委員会としても、葛巻町のこうした取り組みは積極的かつ主体的な取り組みであると受けとめており、平成27年度入試から、山村留学を希望する生徒に対して、入学条件としている一家転住の要件を弾力化し、支援することとしている。

3.広域連携について

規模の小さい市町村においては、予算、スタッフの面から単独では取り組めない事業、事務もあり、県の専門的、技術的支援が必要な課題も年々ふえてきていると感じている。
このように課題を抱える市町村への広域振興局の支援は重要であり、地域の広域連携を推進し、住民のための地域経営を推進するため県からの厚い支援が必要であると考えるが、基本的な考えを伺いたい。

答弁
広域振興局においては、市町村からの要請に基づいて、商工観光分野等における交流人事や国政選挙の執行に係る被災市町村への応援職員の派遣などを行ってきたほか、税務行政における市町村担当職員を対象とした滞納整理、家屋評価事務等の研修会の開催や、こうした事務の共同実施による直接支援など、専門的、技術的な支援も行ってきているところである。
このような人的な支援のほか、市町村の事業に対しては地域経営推進費による支援も行っている。
県南広域振興局における政策課題研究会を設置しての人口減少、観光などの圏域の共通課題についての検討や、盛岡広域振興局における市町村の広域連携の推進に向けた取り組み支援など、市町村との連携、協働による取り組みも行われているところである。
今後においても、市町村の実情や要請に応じながらこうした取り組みを進めていく。

4.産業振興について

① 県北広域振興局のファッションショー等について
去る2月19日に「北東北アパレル企業マッチング」が、21日に県北広域振興局主催の「第2回北いわて学生デザインファッションショーin二戸」が開催された。
学生、生徒から募集したファッションデザイン入賞作品を北岩手の縫製事業者が制作し、プロのモデルや地元小学生の子供のモデルによるファッションショーであり、県北地域に集積する縫製工場と学生のコラボレーションによる開催であった。
ファッションは特に若者に関心が高く、縫製工場に携わる方も年齢問わず女性が多く、この事業は、若者と女性の活躍支援、また交流人口拡大の一つの事例であると、私は現地に行ってみて深く感じた。
こうした広域振興局の取り組みは若者、女性に焦点を当てており、今回のアパレル関係のほか農林水産分野などでも部局横断的な取り組みが必要だと思っている。
県北広域振興局のファッションショー及びアパレル企業マッチングについて、今年の成果と来年度以降の取り組みについて伺う。

答弁
県北地域の主要産業である縫製業のイメージアップと取引拡大、次代の縫製業を担う人材育成を図るため、平成25年度から「北いわて学生デザインファッションショー」を、平成22年度から「北東北3県域アパレル企業ビジネスマッチングフォーラム」を開催している。
先に開催したファッションショーでは、若手美容師や専門学校生がスタッフとして参加し、すぐれた技術力を有する県北の縫製事業者の製品紹介やシニアを含む3世代によるファッションショーなどが行われ、県内外から800人を超える来場者を集め、県北地域のアパレル産業の認知度向上が図られたものと認識している。
マッチングフォーラムでは、県内の縫製事業者など20社、首都圏から23社の企業が参加し、商談等が実施され、取引機会の拡大が図られたものである。
来年度においては、アパレル業界とのネットワークを広め、縫製技術の高さをより一層PRしていくほか、引き続きファッションショー等を開催し、県北地域のアパレル事業者の取り組みを支援していく。

② アパレル産業の振興について
県内のアパレル産業を含む繊維製造業の状況について、最新の平成25年工業統計調査によると、県内事業者は186事業所あり、雇用人数は5、248人に及んでいる。
広域振興圏別では、県央広域圏39事業所、県南広域圏100事業所あるなど、全県的に点在。
県北広域圏における製造業の中での特徴的な産業ではあるが、登山やアウトドア愛好者が好む国産メーカーのインナー等を製造している白鳩の工場は盛岡市にあるなど、県央、県南広域圏においても特徴的なアパレル繊維製造業関係が少なくない状況である。
また、岩手では、デザインに携わる若者等が今年で2回目となる「いわてデザインデー」を開催し、全国からの来訪者もあり、大変盛り上がりを見せている。
大手国内外の有名ブランド服を岩手の職人が手がけている事例も多々ある。
アパレル産業は、縫製やデザインなども含めれば裾野の広い産業であり、若者に関心が高く、また、幅広い年齢層の女性の雇用の場でもある。
今後、そうした人材を育てながら産業として付加価値を高め、本県の主要な産業として育てるため、販路拡大、認知度向上、人材育成について取り組んでいく必要があると考える。
先日の二戸市で開催された北東北アパレルマッチングに参加した首都圏からの発注企業の参加は、このような催しを公的に開催する地域が全国にもほとんどないため、増加傾向にあると聞いている。
そこで、本県におけるアパレル関連産業の振興について、平成26年度の取り組み実績と、今後の取り組みをどのように進めるかお伺いする。

答弁
本県のアパレル産業は、製造品出荷額については震災直後の落ち込みから回復傾向にあるものの、事業所数や従業員数は年々減少傾向にあることから、引き続き、販路拡大や人材の確保、育成に向けた取り組みが必要であると認識している。
こうした認識のもと、これまで、「いわて産業振興センター」が中心となり、国のものづくり補助金や設備貸与事業を活用した設備投資への支援、「いわて希望ファンド」による販路拡大や商品開発支援、さらには、新分野への進出のための工程改善に対する指導など、企業の課題に応じきめ細かく対応してきたところである。
今後においては、「いわて産業振興センター」等の支援機関による重層的な経営支援に加え、県北地域においては、大学との連携による企業の技能人材の育成などに新たに取り組むなど、地域の特性を生かした産業振興を進めていく。

5.農林水産業の振興について

① 「いわての森林づくり県民税」の活用について
岩手県は北海道に次ぐ森林県であり、県土の約77%を占める森林は、治山治水、温暖化ガスの吸収などの多面的機能を有しており、広大な森林は私たちにとって大切な宝である。
現在、大切な岩手の森林資源を維持、保全していくためさまざまな取り組みが行われているが、その活動を支える財源となっているのは「いわての森林づくり県民税」であり、「いわての森林づくり県民税」の果たす役割、必要性について県民の皆様に広く理解、認識していただく必要がある。
平成18年度に導入され、年間約7億円、昨年度までには約56億円の税収があり、来年度は導入から10年を迎えるが、「いわての森林づくり県民税」は県民への認知度が低いのが課題であるため、多くの県民の目に触れるよう森林税の使い方の工夫が必要だと考える。
例えば県庁にシンボルとなる木を植樹し、その管理を森林税で行う。
また、林業先進国のドイツでは、街路樹の一部をくり抜き、自由に図書の貸し出しができるパブリック本棚を設置するなどのユニークな取り組みも見られる。
これは、子供たちからお年寄りまで、森林を通じて世代間交流も生まれるという二次的効果もあったと聞く。
また、県民参加の部分では、今以上に幅広い人材育成に使えるようにしたらどうかと考えるが、これまでの「いわての森林づくり県民税」を活用した取り組みについて知事はどのように評価し、県民に対してどのように説明していくのか、また、今後の林業振興の主要な取り組みの方向についてもあわせてお伺いする。

答弁
これまで、「いわての森林づくり県民税」を活用し、公益上重要で管理が行き届かない森林について、針葉樹と広葉樹が入りまじった公益的機能の高い森林へ誘導するための間伐を行うとともに、児童生徒の森林学習や、地域の団体、NPOなどが行う森林を守り育てる活動を支援しているところである。
このような取り組みにより、緊急に整備が必要な森林の整備が着実に進んでいるほか、森林環境保全に対する県民理解の醸成が図られてきていると認識している。
これら県民税を活用した取り組みについては、いわての森林づくりフォーラムの開催や、テレビ、ラジオ、新聞等の媒体によるPRなどを行い広く周知を図ってきたところであり、今後は、地域説明会の開催などを通じて、さらに県民の皆さんに御理解いただけるよう取り組むこととしている。
今後の林業振興の方向については、森林から生産される木材を製材品や合板、製紙用チップ、木質バイオマス燃料などに余すことなく活用する、いわゆるカスケード利用を促進するとともに、担い手等の人材の確保、育成や、伐採跡地への再造林対策を促進するなど、本県の豊富な森林資源の循環利用を進めながら林業の振興を図っていく。

② 農林水産業における若者等の担い手・育成支援について
復興の先にある「希望郷いわて」の実現に向けて、岩手の基幹産業である農林水産業における若者等の担い手育成、支援については特に積極的に取り組んでいくことが重要と考える。
6次産業化においては、生産から販売までさまざまなアイデアを活用したり、先日は農業女性の集いが花巻市で、また、沿岸部でのいわての浜料理選手権の開催、林業女子会や酪農女子の活動など、県内の各地に岩手らしいユニークな農林水産業の取り組み事例も見られるようになった。
そこで、本県の農林水産業における新規就業者の推移と、その中で特に女性の就業を続けている方はどれぐらいなのか伺う。
また、こうした若者、女性の担い手の就業の継続を図る上での課題と支援策についてお考えをお伺いする。

答弁
新規就業者数の推移を平成21年度以降で見ると、
① 農業は、毎年200人を上回る方々が就業し、そのうち女性は約40人
② 林業は、年度によるばらつきが大きく、平成22年度は140人であったが、平成25年度は61人となっており、うち女性は3人程度
③ 漁業は、50人前後で推移してきていたが、震災後は30人程度まで減り、うち女性は5人程度
また、このうち、女性の就業継続者は、農業、林業では約8割、漁業は大震災により約6割となっており、傾向としては、男性より若干低くなっている。

就業を継続していくためには、若者・女性に限らず、生産技術の習得や安定的な所得の確保が課題であることから、
① 生産技術や経営能力の向上に向けたベテラン生産者等による継続的な技術指導や技術習得に向けた研修の実施
② 経営規模の拡大に必要な機械、施設の整備のための補助事業等の活用を支援

加えて、女性が活躍するためには働きやすい環境づくりが重要であることから、
① 就労条件の改善に向けた、雇用主を対象とした雇用管理セミナーの開催
② 家族の役割分担を明確化する家族経営協定の締結を促進
③ 女性がアイデアや能力をより発揮できるよう、女子交流セミナーの開催やネットワーク化の支援
④ 平成27年度からは、肉用牛や酪農に携わる女性の取り組みを新たに支援

以上のように、意欲を持って就業した若者、女性が定着できるよう取り組んでいく。

6.スポーツを通じた地域振興について

いよいよ「希望郷いわて国体、希望郷いわて大会」を来年に控え、オール岩手で開催の準備がなされている。
スポーツは子供から年配の方まで誰もが親しむことができることから、大会後もこの盛り上がりが継続され、岩手の未来づくりがみんなの手でなされることが重要と考えている。
先日、「スポーツ振興等調査特別委員会」で長野県へ行った。
長野県らしいスポーツとして、スキー、スケート、カーリング、ボブスレーの四つに特に競技選手強化を図り、また、地域のプロスポーツと連携協定を結び小中学校等への指導を行うなど、長野県は1998年に冬季オリンピックが開催されたことも重なり、スポーツを通じた地域振興に特に力を入れているように感じた。
長野駅におり立ったときの第一印象は外国人観光客が多いということ。
駅ですれ違う人の半分近くはスキー、スノーボートを抱えた外国人であった。
選手強化を図り施設整備を行うと、合宿誘致や観光客の誘致へもつながることになるのだと実感した。
既に盛岡広域8市町では、スポーツと観光旅行を融合させた「スポーツ・ツーリズム」推進に向け、来年度に「盛岡広域圏スポーツ・ツーリズム推進協議会(仮称)」を設立すると伺っている。
本日、開催都市が決定予定の「2019年ラグビーワードカップ」や「2020年東京オリンピック」開催に向けて、人材育成、大会開催後の施設の有効活用、大学等のスポーツチーム合宿誘致をはじめ、国体開催に終わらないスポーツと岩手の地域資源を生かした地域振興の推進を図るべきと考える。

① 東京オリンピックに向けた取り組みについて
まずは国体開催後について、県民意識を高め、東京オリンピックにつなげていく取り組みも検討すべきでないか。
先催県では、国体記念日に「チャレンジスポーツデー」を設けて、さまざまな競技種目を含むマラソン大会等のイベントを毎年開催している例もある。
国体を契機とした次につなげる取り組み、東京オリンピックを盛り上げていくために、一般県民が広く参加できる取り組みについて知事の御所見を伺う。

答弁
来年開催する「希望郷いわて国体、希望郷いわて大会」の成功に向け、現在、ボランティア活動や花いっぱい運動の推進など県民運動が展開されている。
この運動の盛り上がりを「2020東京オリンピック・パラリンピック」成功の機運醸成につなげることによって、東日本大震災津波の際に多くの国々から寄せられた復興支援に対する感謝を伝え、さらに、我が国に訪れる多くの方々に被災地に足を運んでいただき、復興の姿を見ていただくことが重要と考えている。
現在、組織委員会や被災3県等で構成する「東京オリンピック・パラリンピック被災地支援連絡協議会」において、大会開催までのカウントダウンイベント、被災地と世界各国との交流事業、東北地方の祭コンテスト等の文化プログラムなど、県民の方々が広く参加できる取り組みの実施方法等の検討を進めているところである。
今後、協議会における検討を踏まえて、各市町村との密接な連携、調整のもと、県内における取り組みの具体化を図っていきたい。

② 東京オリンピックの合宿誘致の取り組みについて
次に、国体開催を契機にしたスポーツを通じた地域振興、「スポーツ・ツーリズムの推進」も重要と考える。
「2020年東京オリンピック」の開催に向けて、国体開催後の施設の有効活用や、大学や社会人のスポーツチームの合宿誘致を初め、東京オリンピック開催の波及効果が本県にも及ぶようさまざまな取り組みが必要と考えるが、今後の東京オリンピック合宿誘致の取り組みについて伺う。

答弁
本県においては、国体に向け整備した施設があること、東京との時間距離が短いなどの利点を生かし、積極的に誘致を図りたいと考えている。
昨年5月に知事を本部長とする「岩手県2020東京オリンピック・パラリンピック推進本部」を設置し、東京オリンピック等を通じた交流の推進を図るため、事前合宿の誘致を図ることとした。
昨年6月には県内圏域ごとに市町村との意見交換を実施し、8月には市町村ごとの合宿誘致希望種目などを取りまとめ、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」に報告するとともに、実施に向けての協力要請を行った。
県内市町村においても、盛岡広域8市町で合宿誘致に向けたスポーツ施設の紹介パンフレットを作成し、誘致に活用しているほか、北上市においては、陸上競技場を活用した合宿誘致に向け、国内競技団体への要請活動を進めている。
本県としても、こうした市町村の取り組みを支援するため、県、市町村、市町村観光団体等で構成する「スポーツ・ツーリズム推進連絡会議」を通じ、必要な情報やノウハウの提供に努めている。
今後、大会組織委員会が各国選手団に対し事前キャンプ候補地を紹介するリストを作成することとしており、同リストへの登録や、誘致に向けた国内競技団体への協力要請など、市町村の取り組みを支援していく。

③ 盛岡市の野球場整備について
県内野球大会の主要な開催場所として「県営野球場」があるが、老朽化が著しい状況であり、新たに整備するには相当な財政負担が生じることが懸念される。
盛岡市では「市営野球場」を新たに建設する計画がある。
そこで伺うが、盛岡市内に県と市と野球場を2カ所整備するよりも、将来を見据え、県と盛岡市が一体となり、新たなドーム型野球場など、岩手県のさまざまなスポーツの拠点となる施設整備に取り組むべきではないか。
盛岡市の野球場整備に係る御所見と支援について伺う。

答弁
「岩手県営野球場」は、観客席2万5、000人を有する県内唯一の野球場であり、高校野球を初めとする各野球大会や県大会、東北大会、そしてプロ野球一軍興行の会場としても活用されており、希望郷いわて国体においては、高校野球の競技会場としても使用することとなっている。
しかしながら、当該野球場は築44年が経過し、時期、時期において必要な補修、改修工事を行っているところであるが、全体的には老朽化が進んできている。
一方、盛岡市の新たな「市営野球場」は、「県営野球場」を含めた盛岡市内の球場施設全体の配置等を念頭に、高校野球の県大会やプロ野球の二軍戦などが開催できる収容人員1万人規模の球場として計画され、「盛岡南公園」に移転新築する意向というように伺っている。
本県のスポーツ振興に当たっては、新設、既設を問わず施設を有効活用し、県と市町村が互いに連携を図って推進していくことが肝要であると考えているが、今後の体育施設のあり方や自治体間の連携等については、大震災からの復旧、復興の進展や御提言の趣旨などをも踏まえながら、多面的に検討していきたいと考えている。

④ プロスポーツの支援について
岩手県のプロスポーツには、サッカーの「グルージャ盛岡」、バスケットの「いわてビッグブルズ」、ラグビーの「釜石シーウェイブス」がある。
他県においては、プロスポーツの支援を行うことにより、プロスポーツを通じた県民への生涯スポーツの意識啓発、娯楽の提供、ひいては若者や女性の定着、雇用の場の拡大などにつながるよう支援している場合もある。
本県におけるプロスポーツの支援の今後の取り組みについて伺う。

答弁
本県のプロスポーツチームの活躍は、県民に明るい話題を提供し、県民のスポーツライフの充実に大きく貢献するとともに、スポーツに取り組む岩手の子供たちにとっても、大きな憧れや目標を与えてくれていると考えている。
また、いずれのチームも県内各地でのスポーツ教室や小・中・高生への職業講話を実施するなどボランティア活動にも積極的に取り組まれており、スポーツの振興のみならず、青少年の健全育成にも貢献していただいている。
県教育委員会としては、関係部局とも連携しながら本県プロスポーツチームの情報発信や活動支援に引き続き取り組むとともに、各関係競技団体とも十分に連携しながら本県のスポーツ振興を図っていきたいと考えている。

7.中心市街地活性化に向けたLRTの整備について

盛岡市では「新型路面電車LRT」の導入を目指している市民団体があり、活動している。
盛岡市の中心市街地は、歴史が積み重ねられた城下町に個性的な商店、飲食店、文化施設がそろう独特の空間である。
しかし、昨今では郊外の大型商業施設への買い物客流出や空き家なども課題となっている。
ヨーロッパなどで「新型路面電車LRT」を使うことで地域の活性化が図られており、また、宇都宮市では平成31年度開業に向けて整備に動き出すなど、既に日本各地にも事例がある。
昨年10月に盛岡市の企業グループから盛岡市に対し、盛岡市中心市街地活性化提言書が出された。
その中で、魅力あるまちづくり、ランドマークがあるまちづくりなどに加え、LRT導入による交通網整備を柱とする環境に優しく便利なまちづくりが提言されたところである。
また、私も参加したが、先月に開催された討論会でも、若者の個性的な店づくりやLRT導入について熱く討論が交わされた。
このように、県都盛岡では、中心市街地活性化に向けたLRT導入について民間が中心となった活動が活性化してきている。
岩手県のILC誘致に向けても、県都盛岡の魅力アップや利便性を上げるにはどうしたらよいか、交通という手段を通じ、盛岡のまちづくりについてもっと議論すべきと考える。
中心市街地活性化に向けたLRTの整備について県の御所見を伺う。

答弁
モータリゼーションが進行している社会において、LRTなどの新交通システムが整備されることは、いわゆる交通弱者の外出機会の創出、また、まちの魅力が向上し、観光客等による交流人口の拡大などを通じ、中心市街地の活性化に寄与する面があると考えている。
LRTの整備に当たっては、市街地交通の現況のほか、整備に係る初期費用や運営開始後の経営見通しなどを踏まえながら各市町村の交通政策の中で検討されていくべきものと考えており、県としては、今後における市町村の動向を注視していきたい。

※再質問

○ 若者、女性の活躍支援について
若者、女性の機運の醸成は図られているとは思うが、雇用となると、安定した雇用に結びついていないのが私は現状だと感じている。
今年初めて「若者女性協働推進室」を設置され、さまざまなイベントを開催し、いろいろな若者や女性と接し、雇用に対するいろいろな話も伺っていると思うので、環境生活部長から雇用に対する所感を伺いたい。

答弁
まず、女性については、先ほども答弁申し上げた「いわて女性の活躍促進連携会議」自体が、県内では初めてのことではあるが、県だけでなく、民間、地域の経済団体にも入っていただいており、行政機関としては岩手労働局にもお入りいただいて、県としては商工労働観光部とも連携して、ひとつ雇用分野というものを大いに意識して議論をしていただいている。
その中での議論が先ほど答弁申し上げたような内容でもあり、各事業所にもアンケート等を行わせていただいたということである。
また、今国会にかかっている「女性活躍新法」も、まさに職業生活における活躍の分野での女性活躍の新法であるので、こういったところを踏まえながら、雇用というものは、当然議論の一つの柱になっていくものと考えている。
若者についても、決して雇用ということだけではなく、去る2月中旬に第2回目の「いわて若者会議」を開催。
昨年は若者文化というものが中心であり、今年は南部美人の久慈さんのお話や、西和賀町に関東から地域おこし協力隊で来ておられる方、さらには盛岡市内等においてNPOで活躍されている方、こういったさまざまな方々が行事に参加して御講演等をいただいた上に、盛岡市内には非常に多くある専門学校からも多数の学生が教官の方々と一緒に参加された。
こういったことも踏まえて、民間企業での雇用のみならず、NPO等様々な場面での若者の活躍というものを引き続き推進していきたい。

○ 若者・女性の雇用について各部の連携
せっかく若者、女性の機運、いろいろな活躍が見られる中で、雇用に結びつかないと、岩手に定住してはもらえないと考える。
例えば復興支援で来ている若者や女性も、結局は首都圏等に戻ってしまう原因は、やはり雇用ではないか。
その実態について、商工労働観光部では環境生活部との連携を今後どのようにしていかれるのか伺いたい。

答弁
まず、若者、女性の活躍をしっかりと県内で定着した形で推進を図っていくためには、やはり就労していただく、そういう場をつくっていくことが大事だと考えている。
このため県では、若者等が新たに事業を始める創業支援のための施策、支援をするということで平成27年度の当初予算にも計上して活躍の場や雇用を確保し、県内で活躍していただきたいと考えており、特に女性については、先ほどの環境生活部長からの答弁のように、「いわて女性の活躍促進連携会議」でのさまざまな議論、あるいはニーズ等を商工労働観光部としてもしっかりと踏まえてきちんと対応し、女性が活躍できるような雇用の場の創出に向けた取り組みについて、さまざま工夫、検討をしてまいりたい。

○女性のライフプランニングの支援について
知事から「来年度は結婚支援センターの設置や男性不妊治療に対する助成も始める」とのご答弁をいただき、大変期待している。
確かに、結婚支援センターについては、これまで出会いの少なかった男女の出会いが増え、婚姻数の増加を図る上では大変期待はしているが、若者が結婚して子供を育てやすい環境づくりのための根本的な課題解決ではないと私は思っている。
結婚支援センターに行かなければならなくなる前の若いうちからの啓発というのが、私は特に必要だと思っており、先ほども卵子凍結に関して国でも始まったという話もあった。
私は、未婚女性の卵子凍結についての助成を広めてほしいということでは決してないが、未婚女性の卵子凍結を行う病院というのは全国でもまだ数える程度だとも認識しており、その状況把握のために仙台の病院へ問い合わせてみたところ、初診を受けるのに3カ月待ちであると聞いて、既に卵子凍結に対する未婚女性の需要もすごく高まっていると感じた。
先ほど浦安市の現状の話もしたが、未婚女性が卵子凍結という手段を選ぶ前の若いうちに、結婚、出産ができる環境をつくっていくためには、若いうちに正しい情報を伝えていかなければならないと思っている。
学生のうちに、高校生までに、例えば県外に出る前に、学校を離れて社会人になってしまう前に。
これは個人の選択の自由であるとも思うが、「こういうものがあるけれども、早いうちに必要だよ」ということを、特に高校生、大学生のあたりで知ることが必要であり、結婚支援センターの職員が大学、専門学校等に出向くなど「具体的なライフプランの支援」が本当に重要になってくると私は思うので、その件に関する御所見もぜひ改めて伺いたい。

答弁
結婚、出産については、議員からもお話があったとおり、個人の価値観も含めてさまざまな議論があるということは、私どもも理解している。
その上で、今回の結婚支援センターの設置については、やはり出会いの場がなかなか無い方々がたくさんいるという声を踏まえ、そういった中でマッチング支援や普及啓発、その他諸々の事業を展開しようと考えたものであり、これを利用、活用する方々については、積極的に交流をしていただきたいと思っている。
それ以前のお話ということであるが、私もいろいろ感じるのは、結婚することの意義というか価値というか、「やはり結婚することはいいものだよ」ということを伝えることは大事なのかなと思っており、そういう中で、皆さん方、若い人たちが感じていくということも非常に大事だと思っている。
それがこのセンターの事業なのかどうかはわかりかねるが、そういうところにも力を入れないと、なかなか進まないような感じがしている。
それから、妊娠と年齢というのはいろいろ関係があるので、そこについて若い人たちに対する情報提供というのはやはり大事なことだと思う。
センターの普及啓発事業は結婚情報の提供ではあるが、そういった面も含めてできるのか、あるいはどういった形でケアできるかも含めて、いろいろ検討してみたいと思う。

○ 女性のライフプランニングに関して知事の御所見は
ライフプランニングに関する御答弁を保健福祉部長からいただいたが、ぜひ、知事にも最後に伺いたい。
私が改めてまた先ほどの話をするよりは、私自身も本来は結婚、出産し、そういうのを県民の皆さんにも示していく立場であると思っているが、知事からも、ぜひ先ほどの質問に対する御所見を伺いたい。

答弁
今回、新年度予算案の中で、県としても若者の結婚支援にかなり一歩踏み出したような格好になっているが、今の時代、大人たちが、あるいは行政が少しおせっかいと思われるぐらいまで踏み込んだ若者支援というものが必要になっていると思っている。
結婚に関しては、九州の大学の先生で、結婚学というものを若い世代に説いて回っている人の話を聞いたことがあり、20歳前後の若者では結婚ということを真剣に考えている者が少ないと。
学校の家庭科で男女協力して家庭をつくっていくことの大事さを伝える、それは高校時代にはまだぴんと来ていなくても、20歳ぐらいになってくれば、だんだん自分のこととして考えられるようになってくる。
そういったところを、そのぐらいの世代に「そもそも論」から始め、体の変化等の医学的、科学的な知識というものも若い人たちはまだまだ足りないとも聞いているので、そういった働きかけを大人や行政がもっともっとやっていかなければならないのだと思っている。

○ 県立高校で進路指導を行う際のミスマッチが生じていることについて
教育長からライフプラン支援についての御答弁の中で、県立高校で進路指導を行う際のミスマッチが生じているとのこと。
例えば、大学へ進学しが、結局この大学は自分が思っていたものと違ったという学生が大学を辞めているという事例も少なくはないと伺っている。
私はその部分に関しても、ある程度人生設計を含めての支援が必要だと思っているが、そのミスマッチを解消するための具体的な取り組みというものを改めて伺いたい。

答弁
大学進学に当たり、これは自分がどの大学に入れる力があるか、知名度がどうだというようなことを優先するのではなく、将来的な職業選択でどこを目指すか、大学で何を学ぶかというようなことを丁寧に学校教育の中で、これはキャリア教育という視点でももちろん大事であるが、担任と生徒、保護者がじっくりと考えていくことが極めて大事ではないかと思っている。
いずれ、これは女性だけに言うことではなく、男子生徒たちにも通じることであるが、将来的な見通しを十分に話し合いながら、生徒自身が納得して、そしてまた、大学に入って、そこで自分の思いを実現できるような努力をしていくという思いに行くような指導をしていくことが大事だと思っている。
また、そうなるように取り組んでまいりたい。

平成27年2月定例会
「予算特別委員会 総括質疑」

【質問項目】

  1. 1. 子供・妊産婦の医療費助成について
  2. 2. 男性の不妊治療について
  3. 3. 全国障害者スポーツ大会について
  4. 4. 広域振興局の取り組みについて
  5. 5. 県産材の利用拡大について

1. 子供・妊産婦の医療費助成について

人口減少問題への対応については一般質問でも取り上げているところであり、女性へのライフプランニング支援を重点的に取り組んでいく必要があると考える。
県の人口動態統計から見る岩手県の状況という資料には「死産数の推移」というデータがある。
大きく減少傾向にはあるものの、その半分は人工死産であること、死産率は全国より高い状況が続いているということが岩手県の現状。
婚姻数を上げ、出生数を上げていくと同時に、この女性へのライフプランニング支援については、改めて積極的に取り組んでいただきたいと考える。
そしてまた、子育て世代の負担軽減についても取り組んでいく必要があると考える。
子供の医療費は子育て世代の負担になっており、岩手県でこれまで実施してきた医療費助成は「償還払い方式」であったため、医療機関窓口で自己負担額を一旦支払う必要があり、一時的に負担する必要があった。
「現物給付方式」に移行した場合、一定の受給者負担額以上は医療機関での窓口負担がなくなることから、子育て世代の負担軽減につながると思うが、現物給付の対象はどこまでで、導入時期はいつごろを予定しているのか、また、移行するには、市町村や関係機関との調整が必要であると思われるが、その状況はどうなっているのかお伺いする。
また、医療費助成の対象を就学前の乳幼児に加え、小学校卒業、これは入院まで拡大するが、導入時期、市町村や関係機関との調整状況についてお伺いする。

答弁
現物給付の対象は、県が実施している子ども医療費助成のほか、重度心身障がい児、ひとり親家庭の各医療費助成事業を含めた未就学児及び妊産婦とし、実施時期は、県や市町村のシステム改修、受給者証の様式改正などの準備期間を考慮し、市町村等と協議のうえ、受給者証の更新時期にあわせて平成28年8月を目途に、県内統一して実施したいと考えている。
現物給付の対象や実施時期は、既に市町村や医師会等の関係機関の了解が得られているものであり、平成28年8月の現物給付の実施に向け、市町村とはシステム改修や条例改正等の事務処理の詳細について、また、医師会等とは医療機関窓口での対応や具体的な事務手続について引き続き調整を進めていきたい。
本県では、県立病院等事業会計負担金が多額になっていることなどから、現在の厳しい財政状況の中では助成対象の大幅な拡大を実施することは難しいところであるが、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として市町村と協議のうえ、今回、窓口負担の現物給付とあわせて、小学校卒業の入院まで拡大することとした。
対象拡大の時期は、県のシステム改修や市町村が発行する受給者証の更新時期等を考慮し、平成27年8月からの実施を想定している。

2. 男性の不妊治療について

不妊は女性だけの問題ではなく、男性にも原因がある場合が多いことから、治療は女性だけが受けるべきものではなく、男性にも受けてもらう必要がある。
一方で、女性の不妊治療に比べ、男性の不妊治療はまだ世間に広く認知されているとは言い難く、適切な治療を行うことで身体的にも精神的にも負担を軽くし、妊娠、出産に向けた問題の解決につなげられる可能性があると考える。
男性不妊治療の助成を平成27年度から新設し、男性の不妊治療を進めることで、こういった問題についても取り組まれると思うが、県内に男性不妊治療を受けられる医療機関はあるのか。
無い場合は、今後どういった対策を考えているのかお伺いする。

答弁
県では、不妊に悩む方への特定治療に要する経費の一部を助成し、経済的負担の軽減を図るとともに、保健所に相談窓口を設けるほか、岩手医科大学に不妊専門相談センターを委託設置し、現在相談対応を行っている。
しかし、この助成対象は「体外受精」及び「顕微授精」に限られていることから、来年度からは、治療費が高額である男性不妊治療についても経済的負担の軽減を図るため、その治療に要する費用の一部を助成することとした。
この治療については現在、県内において実施している医療機関が無いことから、他県の医療機関で治療した場合に、この助成制度の対象となるものである。
県内で男性不妊治療を行うためには、医師の養成や確保の課題等があることから、来年度は助成制度の創設とあわせ、県産婦人科医会や特定不妊治療指定医療機関の医師等を構成メンバーとする協議会を設置し、県内における不妊治療の現状や課題の把握をはじめ、医師の養成、確保の方策などについても検討することとしている。

3. 全国障害者スポーツ大会について

来年、岩手国体を迎える。
全国障害者スポーツ大会は、障がいのある方の社会参加の推進や、国民の障がいに対する理解を深めることを目的に開催されるものであるが、大会における本県選手の活躍は、障がいのある方の目標や励みとなるほか、県民に希望と勇気を与えるだけでなく、公共施設等のバリアフリー化、そして障がい者福祉への理解が深まり、これを契機に障がい者スポーツの普及を図ることができると私は考える。
このため、選手強化が重要であると思われるが、選手強化に向けた取り組みの課題と平成27年度にどういった取り組みを行うのか、お伺いする。
また、先日ふれあいランド岩手に伺い、障がい者スポーツの話をお聞きした。
障がい者スポーツとして、サッカー競技の強化を図り練習をされているそうである。
しかし、ふれあいランドには障害者スポーツとしての専用のサッカーゴールが無いため練習できず、盛岡峰南高等支援学校の体育館を利用しているとのこと。
今月も2回練習するそうであるが、結局そちらへ行かなければならない状況であるという。
障がいを持たれている方がなかなかスポーツの練習場所としてふれあいランドを活用できていない状況であると感じた。
先週の日曜日には、ふれあいランドで、東北ブロックの障がい者スポーツ指導者研修会があり、国から文部科学省の障害者スポーツ振興室長がお越しになっていたが、今年度から国では、厚生労働省から文部科学省へ移動したことで、障がい者スポーツがこれから大きく変わっていくと思われ、ぜひ施設整備の部分も含めて積極的に対応していただきたいと思う。

答弁
選手強化については、平成26年2月に設置した「希望郷いわて大会選手育成強化推進委員会」の中に、選手の確保や育成、強化を担当する「選手育成強化専門委員会」と選手の練習への参加支援等を行う「サポート専門委員会」を設置し、関係機関、団体等の連携を図りながら取り組んでいるところである。
平成28年の「希望郷いわて大会」に向け、まずは出場選手の確保が必要となるが、平成27年和歌山大会では、本県の個人競技の参加枠が27名から39名へ、さらに、本県開催時には139名まで増員となる見込みであり、この中で特にも陸上競技での身体障がい者の選手確保が課題となっているところである。
また、開催県として各競技ともできるだけ好成績をおさめていただくことが、県民に希望と勇気を与えることにつながるものと認識しており、そのためには実践を通じた選手強化が必要と考えている。
特に、団体競技については、試合への参加機会を確保するため、北海道、東北ブロック大会や県外での練習試合への参加支援を行うとともに、指導者による集中的な指導が課題と考えている。
このため平成27年度において、個人競技については、陸上競技等に出場する選手の掘り起こし、団体競技については、北海道、東北ブロック予選や県外での練習試合への参加支援、新たに編成した聴覚バレー女子などを含む団体競技チームへの指導体制の強化などに取り組んでいくこととしている。

4. 広域振興局の取り組みについて

市町村を超えた広域的な取り組みは必要であり、中でも商工分野、食産業分野、観光分野などは、広域的な連携や事業を展開する必要があると考える。
例えば、盛岡市から紫波町、花巻市大迫町の国道396号沿線では、地元の方々が中心となって「フルーツライン396プロジェクト」という取り組みを行っている。
このプロジェクトでは、この地域で盛んなブドウやリンゴをはじめとする果樹を活用した生産から加工、さらには産直での販売までを広域的に行っていこうとするものであり、広域連携のいい取り組みだと考える。
広域振興局では、広域振興事業や地域経営推進費を活用して、広域的な連携や事業を推進していると思うが、来年度の広域振興事業や地域経営推進費の活用方針はどのようになっているかお伺いする。

答弁
広域振興事業は戦略性が高く、圏域の課題を解決する先駆的事業を対象にしており、それぞれの局長が、直接県庁に予算要求をするという制度になっている。
平成27年度は、4広域振興局合わせて、1億5、500万円の予算で事業を展開する予定である。
具体的には、県南広域振興局における中京圏をターゲットとした、食、ものづくり、観光の連携による誘客促進の取り組みや、県北広域振興局におけるアパレルを初めとした地域の基幹産業への支援などを行うこととしている。
一方、地域経営推進費は、分権型社会の構築と産業の振興に資する事業を対象としており、局長の判断でできる枠予算、要するに、使途を決めず枠の予算として、平成27度は今年度と同額の5億円を予算計上している。
現在、各広域振興局において、事業内容の調整を行っているところ。
盛岡広域振興局における岩手国体冬季大会や北海道新幹線の函館延伸を見据えた誘客の取り組み、沿岸広域振興局における三陸地域全体のブランド化による交流人口の拡大や、1次産業の担い手の育成、支援などの取り組みがそれぞれ計画されているところである。

5. 県産材の利用拡大について

① 県産材の利用促進について
子供の遊び場づくりやカフェなど、様々な場所での県産木材の利用は、実際に使う子供や来客の心を癒やし、生活にゆとりが生まれる。
これまで県は、盛岡市土淵児童センターや八幡平ハイツデイサービス施設などの木材利用を支援してきた。
これからも、県内の公共施設・民間施設にも県産材の利用拡大を図るべきであり、さまざまな県産木材の利用促進を図るべきと考えるが、今後、公共施設・民間施設で、それぞれどのように県産材の利用促進を図っていくのかお伺いする。

答弁
本県では、戦後造成した人工林が成熟し本格的な利用期を迎えており、県ではこの豊かな森林資源の有効活用に向け、公共施設や民間施設における木材利用拡大の取り組みを進めているところである。
公共施設については今年度、住田町の役場庁舎や一戸町の武道館などに地域の木材が活用されている。
県営施設でも、災害公営住宅や花巻清風支援学校の特別教室棟などに県産材を活用しているところ。
公共施設等への木材利用は、県民に対するPR効果が高く、木材利用の意識醸成につながるため、県では本年度からの3年間を期間として「第4期岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画」を策定し、木材利用量2万1、000立方メートルの目標を定めたところであり、当該計画に基づき率先して木材利用を進めるとともに、市町村に対しても、国の制度を活用した公共施設等の整備支援などの取り組みを引き続き進めていく。
また、民間施設について、県では県産材利用を積極的に推進する工務店等いわゆる「いわて森の棟梁」や「岩手県森林組合連合会の木と暮らしの相談所」と連携し、住宅や商業施設への県産材利用のコーディネートを行っているところである。
こうした取り組みに加え、今年度は県産材を活用した公共施設、民間施設等の優良事例集を作成し木材利用のPRを行っているほか、「岩手県木材需要拡大協議会」と連携し、優良な建築物等に対する知事賞を創設したところであり、今後も県産材利用の機運が県内へ広がっていくよう取り組んでいく。

② 海外展開への取り組みについて
平成25年8月、農林水産省は農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略を策定した。2012年の農林水産物、食品の輸出額は約4、500億円となっており、これを2020年までに1兆円規模に拡大しようとするもので、林産物についても同様に輸出を促進していく方針である。
今年ミラノの国際博覧会に出展される際にも、県産材をふんだんに利用されるブースを作成されると聞いており、大変嬉しく思っている。
そしてまた、本県において北上プライウッド株式会社が、県産材合板を台湾等に輸出していきたいとのことである。
そこで県では、本県産の木材や木材製品の海外への販売展開について、どのように取り組んでいくのかお伺いする。
また、これは知事へお伺いしたいが、ラグビーワールドカップの開催が釜石市で決定され、今後スタジアム建設が進む際、ぜひ県産材を有効活用してほしいと思っているが、知事の御所見を伺う。

答弁
本県では木質バイオマス発電施設の立地や北上市に新設された合板工場の本格稼働などにより、原木需要の大幅な増加が見込まれている。
これに対し安定的な供給をすることが課題となっているところである。
また、中国や韓国などへの木材輸出をコーディネートしている「一般社団法人日本木材輸出振興協会」や県内の木材関係団体からは、地域経済や雇用の面で、原木輸出より付加価値の高い製品輸出を検討すべきとの意見もいただいている。
このことから県においては、合板などの県産材製品の輸出に向け、北上市の合板工場での取り組み事例なども参考にしながら、輸出先ニーズの把握や輸出のノウハウを蓄積するため、当該協会と連携しセミナーを開催するなど、木材関係団体や企業等との情報共有、合意形成を図るための取り組みを進めていく。
また、釜石でのスタジアム建設においての県産材利用については、県産材の活用はいろいろな分野でどんどん進んでいくことが望ましいので、広い視野を持って進めていきたいと思う。

平成27年9月定例会
「決算特別委員会 総括質疑」

【質問項目】

  1. 1. 妊産婦支援、産前産後ケアについて
  2. 2. ライフプランニング支援について
  3. 3. 若者と女性の雇用環境について

1. 妊産婦支援、産前産後ケアについて

①これまでの取り組み状況について
県では平成15年7月に制定された「次世代育成支援対策推進法」に基づき行動計画を策定し、子育てに優しい環境づくりをこれまで推進してきた。
また、平成27年4月には「いわての子どもを健やかに育む条例」が施行され、基本計画である「いわて子どもプラン」のもと、妊産婦支援に取り組んでいるものと認識している。
母子保健事業の実施主体は市町村であるが、妊産婦を取り巻く社会的、経済的な環境変化の大きさを踏まえれば、人材育成や市町村間の相互連携体制の整備など、全県的な取り組みが求められると私は考えている。
そこで、これまでの妊産婦に対するケアと、その担い手の人材育成について、県の取り組み状況並びに課題をどのように認識し、今後の施策を実施していくのか知事の考えをお伺いしたい。

答弁
これまで県においては、「岩手県周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶ」を構築し、産科医療機関と市町村の間での妊婦健診や産後うつスクリーニングなどの情報の共有化を図り、市町村においては、リスクの高い妊産婦に対して訪問指導を行うなど、関係機関が連携して支援を行う体制の整備を進めてきたところである。
また、県では市町村保健師や医療従事者を対象とし、妊産婦のメンタルヘルスケアを中心とした母子保健従事者研修会や、産後うつ事例検討会を開催するなどし、妊産婦の支援を行う人材の資質の向上に努めてきたところである。
一方、核家族化の進行等により、地域において妊産婦を支える力が弱くなってきていることから、妊娠、出産、子育ての各ライフステージに応じた、切れ目のない支援を行うことが課題となっている。
このため国では、市町村による妊娠期から子育て期にわたるまでの総合的な相談支援の充実を図ることとしており、県としても引き続き、相談事業に従事する保健師等の資質の向上に努めるなどして市町村の取り組みを支援していく。

② 周産期医療体制・妊婦のアクセス支援について
県内の産婦人科の医師数は、平成20年では97人、平成24年では98名と1名増加し、医師確保の取り組みが一定の成果を上げているが、広大な県土を抱える本県においては依然として地域による偏在が大きく、人口10万人当たりの医師数では、盛岡地区の51.7人に対し釜石地区では13.3人と大きな格差が生じている。
私の把握しているところでは現在、岩手県内において遠野市、二戸市、葛巻町、岩泉町の4市町村で、域内に出産できる医療機関がないことから、域外等へ通院する妊産婦の交通費や宿泊費について助成を行っている事例がある。
そこで、域外への通院を余儀なくされている妊産婦に対してのアクセス支援が重要であり、岩手県全体としてこれに取り組んでいく必要があると思うが、当局の所見を伺いたい。

答弁
本県では、分娩を取り扱う医療機関がない市町村が23あり、域外への通院を余儀なくされている妊産婦の便宜を図るため、お示しのとおり4つの市町において、妊産婦が健診や出産のため遠隔地の医療機関に移動する経費として支援している状況にある。
妊産婦のアクセス支援は、市町村における母子保健サービスを進めるうえでの、一つの課題と私どもも認識している。
妊娠、出産に伴う健康診査や保健指導は、市町村において「母子保健事業」として実施されており、妊産婦のアクセス支援についてもその一環として、各地域の医療機関の状況や交通事情、あるいは住民のニーズ等を踏まえて、当該市町村で今、実施されているものと承知している。
総合的な支援という中で、県としてどのような分野で何を支援していくかについては、今後、様々な視点で研究していきたいと考えている。

③ 助産師の能力向上について
産婦人科医不足の中、産婦人科医を助けるためにも、助産師のスキルアップと役割の拡大が必要だと考える。
全国的に助産師が健診や保健指導を行う「助産師外来」や、助産師だけでお産を扱う「院内助産」を実施する施設も増えており、核家族化や地域のつながりが薄くなり、産後鬱になる人や子供の虐待も増えている中で、助産師の役割は出産にとどまらなくなりつつある。
本県には助産師などで構成される「まんまるママいわて」という団体がある。
その団体は産後ケアを精力的に行っているが、産婦人科医が不足する現状を鑑みれば、妊産婦ケアの担い手として助産師一人一人の能力向上を目指し、また、このような団体の取り組みを支援し、連携することが必要だと考えるが、当局の考えを伺う。

答弁
本県では、妊産婦の健康診断と保健指導を行う「助産師外来」は12病院、病院内で助産師が主体となり、正常経過の分娩や育児相談などを行う「院内助産」は3病院で実施されており、利用者は増加傾向にある。
御指摘のとおり、助産師には出産支援に加え、メンタルヘルス対策、子育て支援などの役割も最近では高まってきている。
そういう役割も期待されていることから、助産師の資質向上のための育成支援が非常に重要な課題であると捉えている。
県においては、これまで助産師外来や院内助産の推進、あるいは産後鬱支援を含む広範な知識、技術を習得していただくための助産師研修会を、「岩手県看護協会」に委託して実施してきた。
今後は、子育て支援や虐待など、新しい課題にも対応できるように研修内容を見直すほか、助産師の方々が中心になって妊産婦ケアに取り組んでいる団体からの参加もいただきながら、助産師の育成あるいは民間団体との連携について取り組んでいきたい。

2. ライフプランニング支援について

教育現場では、平成27年度から高校生向けの保健体育資料が改訂され、安心して子供を産み育てられる社会の実現に向けて、男女がともにライフプランを考えること、今回は、妊娠には適齢期があること、及び不妊に悩む男女が増えていること等が新たに記述され、私は大変よい改訂だと考えている。
実効性のあるライフプランニングのためにも、この改訂を踏まえ、これまで以上に充実したキャリア教育との連携した取り組みが欠かせないと考えているが、知事の御所見をお伺いする。

答弁
文部科学省が作成して高等学校1年生に配付している指導資料の中で、ライフプランについての記載が本年度新たに加わり、幸せな生涯を送るためには男女の区別なく、自分たちの意思をしっかりと持ってライフプランを考えることの重要性が示されている。
この新たに加えられたライフプランの記載内容は、内閣府による少子化社会対策大綱の策定が背景にあるが、その中では安心して子供を産み育てられる社会の実現に向けて、保健学習により妊娠、出産に関する正しい知識を身につけることや、育児休業制度や不利益取り扱いの禁止などの社会システムの紹介もしている。
教育委員会においては、高等教育等で主体的に人生計画を立て、決定する人生設計力を育むキャリア教育も進めているところであり、今後も文部科学省資料などを十分に活用して、生徒一人一人のライフプランに対する関心を高める教育の充実に努めていく。

3. 若者と女性の雇用環境について

① 県外学生に対する県内就職促進への取り組みについて
知事は「希望マニフェスト」において、「岩手に就職しよう推進協議会」を設立し、官民挙げて県内就職を支援することを掲げておられるが、県外に進学した若者に本県企業の魅力を伝え、特にも新卒時の県内就職を支援することが重要だと考える。
県外の学生にダイレクトに県内の就職情報提供がなされるよう、高卒時または成人式等の機会の活用、父母を通じた情報提供システムの構築など、これまで以上に市町村と連携した具体的な取り組みが必要と考えるが、これまでの県外学生に対する県内就職促進の取り組み実績と今後の取り組みについて知事にお伺いする。

答弁
県では、「ふるさといわて定住財団」や市町村と連携して、就職面接会やU・Iターンフェアなどを開催している。
また、東京のUターンセンターでは専任の職員を設置し、県内就職を希望する学生への相談対応や企業とのマッチング支援を実施しているほか、首都圏の大学での就職相談会への対応や、U・Iターン情報の提供などを行っている。
また、今年度「ジョブカフェいわて」に新たに設置した「U・Iターンサポートデスク」では、学生はもとより保護者向けにも相談や情報提供を行っており、県内で開催される首都圏の大学の父母懇談会においても、県内就職について説明を行っている。
さらに今般、経済団体や教育機関等との連携により、若者等の県内就職を促進するための全県的な推進体制の整備に要する経費を補正予算に盛り込んだところであり、これらの取り組みを通じ、市町村等と連携して県外学生に対する県内就職の促進に努める。

②アパレル関連産業の振興について
特に若者や女性の関心が高く、かつ雇用の裾野が広いアパレル関連産業の振興については、現在は二戸地域の取り組みが盛んである。
平成22年度から開催されている「いわてアパレル企業ビジネスマッチングフォーラム」には私もずっと参加させていただいているが、今年は10月1日に初めて東京で開催され、首都圏、関西などから42社の参加があるなど、大変盛況であったと感じた。
若者、女性の関心の高さ、雇用の裾野の広さを考えれば、県全体でアパレル関連産業の振興に取り組むことで、県内での若者の就職促進、二戸、県北地域におけるアパレル関連産業における人手不足の解消に一層の効果があると考えるが、御所見をお伺いする。

答弁
本県のアパレル関連を含む繊維工業は、平成26年の国の調査によると、事業所数は177、従業員数は4、894人となっており、地域に根差した若者や女性の雇用を初め、地域経済に一定の貢献をしている産業であると認識している。
これまで県では、首都圏メーカーとのマッチング商談会を初めとし、県北で開催したファッションショー、縫製技術研修会の開催などの支援を行っているほか、本年7月には「学校法人文化学園」との連携協定を締結したところであり、業界では6月に「北いわてアパレル産業振興会」が設立されるなど、本県のアパレル産業のブランド化の推進を図ってきている。
今後においても、県北地域をはじめとするアパレル産業の集積を生かしながら、その高い縫製技術をもとに、トップブランド等との取引拡大に向け、事業者相互の連携、共同事業の展開など、若者、女性の活躍の場としての可能性も見据えながら、関係機関とも連携してアパレル産業の振興に取り組んでいく。
今までどちらかというと、県北広域振興局が中心になってやってきたが、今申し上げたような政策の方向性もあり、これから本庁での機能の強化についても検討していきたいと考えている。

平成27年12月定例会
「一般質問」 

【質問項目】

  1. 1. 人口減少問題への対応について
  2. 2. 若者と女性の雇用環境について
  3. 3. 農林業の振興について
  4. 4. 教育振興について
  5. 5. 県内の体育施設整備とスポーツを通じた地域振興について

1.人口減少問題への対応について

「2人目が欲しいって絶対に思えない」
先日、私と同世代の子育て中の盛岡市在住の女性たちと意見交換会をした時の参加者の一人で、現在2歳児を持つ30代前半の既婚女性の言葉である。
「これ以上の言葉は無いんです」と多くを語らず、彼女の心情を察すると、私もそれ以上聞くことができなかった。
「長くつき合っている彼女はいるんですが、結婚に踏み切れないんです」
これは、県内の30代前半の独身男性の言葉である。
「つき合っている彼女も働いているから、2人で生計を立てていけばよいのでしょうが、自分が非正規雇用のため、彼女が妊娠、出産、子育てをするようになったら、やっていけるのか不安で仕方がないんです」と。
「親が死んでしまったら暮らしていけない。」
これは、非正規雇用で働く県内在住の40代前半の独身女性の言葉である。
親の介護のため30代前半で東京から岩手に戻られたが、非正規の職場を転々とし、毎日の生活で精いっぱいで、結婚はせず、今は自分の収入と親の年金で何とか生活している状況だそうである。
「同じシングルマザーなのに、結婚歴があるかないかでどうしてこんなに違うんですか」
これは、4歳児を持つ県内の20代後半の独身女性の言葉である。
彼女は、妊娠がわかってすぐに子供の父親である男性と婚約したが、彼からのDVが妊娠以降さらに増え、危険を感じ、悩んだ末、非婚の母として一人で育てることを決意した女性である。
寡婦(夫)控除とは、法律上の結婚歴がある父、母のみが対象であり、非婚の父、母には適用されないものとなっているため、同じシングルマザーでも、結婚歴のあるなしで税金や保育料に格差が生じている。
今を生きる若者を取り巻く環境は想像以上に複雑で多様化し、切実である。
知事の言葉をお借りするならば、まさに生きにくいのかもしれない。
知事は日頃、生きにくさの解消をお話しされるが、私は、生きにくさの解消に向けた制度設計という考え方だけでなく、多様性を認めることがポイントではないかと思っている。
そこで知事にお伺いします。

① 若者が結婚し、産み育てやすい環境づくりと多様性について
「日本創成会議人口減少問題検討分科会」では、「ストップ少子化・地方元気戦略」において、日本が直面している深刻な人口減少をストップさせ、地方を元気にしていくための基本方針の一つとして、若者が結婚し、子供を産み育てやすい環境づくりのため、全ての政策の集中を掲げている。
こういった取り組みを進める中で、20歳代から30歳代前半に結婚、出産、子育てしやすい環境をつくることが大事であり、また、昨今は事実婚や結婚歴のないひとり親家庭も増えており、このように多様化した状況に対する支援に取り組んでいくべきと考えるが、知事のお考えをお伺いする。

答弁
本年3月に改定した「いわて子どもプラン」では、若者が家庭や子育てに希望を持てる環境の整備や子育て家庭の支援などを施策の基本方向として掲げているところであり、本年10月に策定した「岩手県ふるさと振興総合戦略」においても、基本目標の一つに、社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指すことを掲げている。
具体的な取り組みとしては、若者を対象に、出会い、結婚支援の強化や妊娠、出産に対する支援に取り組むほか、ひとり親家庭も含めた子育て家庭を対象に、子育てしながら働きやすい労働環境の整備や、子育てに優しい環境づくりに取り組むこととしている。
御提言の背景にある晩婚化や晩産化、また、御指摘のあった事実婚や結婚歴のないひとり親家庭の増加の要因としては、経済社会環境の変化があると考えられ、今後の総合戦略の展開に当たっては、こうした経済社会環境の変化や家族形態の多様化にもきめ細かく対応しながら、結婚から妊娠、出産、子育てまでライフステージに応じた切れ目ない支援の充実を図っていく。

② ライフプランニング支援について
若者の結婚や妊娠、出産、子育てに関する課題は複雑かつ多様化している中で、特に女性への支援の一つとして、ライフプランニング支援を重点的に取り組んでいく必要があると考える。
岩手県の人工妊娠中絶率は全国に比べ高く、また、近年では若年層の子宮頸がんが増加している。
女性の活躍がうたわれる昨今、女性が望むキャリアを積める環境等が整備されることは重要であるが、昔とライフスタイルが大きく変化した現代女性に増えている女性特有の病気が不妊の原因ともなると言われている。
そうしたことから、ライフプランニング支援は、さまざまな悩みの解決、身体的、精神的負担の軽減にもつながり、早期に実施されることが望まれる。
また、基礎知識として理解することは、将来の進路選択にも役に立つものと考える。
高校、大学、専門学校の各段階において十分な知識を持ち、進路選択に当たることが重要である。
そこで伺うが、平成27年度から高校生向け保健体育資料が改訂され、安心して子供を産み育てられる社会の実現に向けて、男女がともにライフプランを考えること、妊娠には適齢期があること及び不妊に悩む男女が増えていること等が記述され、大変よい改訂だと考えている。
実効性のあるライフプランニングのためには、この改訂を踏まえ、これまで以上に充実したキャリア教育が欠かせないと考えるが、知事の御所見をお伺いする。

答弁
文部科学省が作成し、高等学校1年生に配付している「健康な生活を送るために」と題する補助資料の中で、本年度版では新たにライフプランの記載が加わり、生徒一人一人が将来幸せな生涯を送るためには、男女の区別なく、自分たちの意思をしっかりと持ってライフプランを考えることが示されたところである。
このライフプランの記載内容は、内閣府による「少子化社会対策大綱」の策定が背景にあり、この中では、安心して子供を産み育てられる社会の実現に向けて、保健学習により妊娠、出産に関する正しい知識を身につけることや、育児休業制度、所定外労働の制限などの社会システムの紹介もしている。
県教育委員会においては、高校教育等で、主体的に人生計画を立て、決定する人生設計力を育むキャリア教育も進めているが、今後においても、御紹介の資料などを十分に活用し、生徒一人一人のライフプランに対する関心を高める教育の充実に努めていく。

③ 岩手県立大学の学生生活への支援について
岩手県立大学に過日設置された、長期欠席等配慮を必要とする学生への対応検討ワーキンググループの報告書では、課題として、個別対応が必要な学生に対し対応が行われていない事例が散見されること、居場所、学習サポートの整備が不十分であることなどが挙げられている。
また、休学、退学理由の第3位には経済的理由ともあり、聞くところによると、学生の中には経済的困窮者が少なくなく、アルバイトに明け暮れる学生も増えているとのことである。
さらに、学生に対する特別支援の相談件数や健康サポートセンターにおける相談件数も増加している。
人口減少の中で、学生、若者が即戦力として地域で活躍してもらうためには、一人一人へのきめ細やかな対応が必要であると考えるが、岩手県立大学の学生生活等への支援の取り組みと、その取り組みに対する県の認識についてお伺いする。

答弁
県立大学では、平成25年度から特別な支援を必要とする学生のために専門職員を配置するなど学生の生活支援体制を強化しており、その取り組みは、県の附属機関である「岩手県地方独立行政法人評価委員会」においても評価をいただいているところである。
また、学生の長期欠席、留年、休学は中途退学につながる大きな問題であり、昨年度設置したワーキンググループの報告を踏まえ、今後、配慮を要する学生の居場所や学習サポートの拠点となる支援スペースの整備などを図ることとしている。
さらに、授業料の免除の措置等、学生への経済的支援も実施している。
県としては、これからも学生一人一人の実情に応じた生活支援が行われ、学生が安心して修学を継続できるよう期待するものである。

2.若者と女性の雇用環境について

① 企業における女性の活躍支援について
「国は1億総活躍社会って言うけれど、私たちは、女性が男性と同じように働くことを望んでないよね。」
これは、さきに述べた先日の子育て女性との意見交換会での、私を含めた参加者全員の思いである。
県ではこれまで、「岩手県男女共同参画推進条例」に基づき「いわて男女共同参画プラン」を策定し、男女共同参画に関する県民への意識啓発や機運の醸成、人材育成等に取り組んできたものと認識している。
また、今般、県が策定した「岩手県ふるさと振興総合戦略」では、女性が安心して働くことができる社会づくりや、男女双方にとってのワーク・ライフ・バランスの確保が必要とされている。
人口減少が見込まれる中、女性が活躍することは、人口問題だけでなく経済活性化のために必要なことであり、東日本大震災津波からの復興の加速化にもつながる。
国においては、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が施行されたところであるが、本県企業における女性の活躍を推進するため、県ではどのような支援に取り組んでいくのか、知事のお考えをお伺いする。

答弁
女性の活躍のためには、企業トップや管理職が女性の活躍への理解を深め、性別による役割分担意識の解消や、長時間労働の抑制、ワーク・ライフ・バランスといった働き方の見直しなどを図ることが必要である。
本年9月に施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」は、女性の活躍に向けた取り組みに係る数値目標を盛り込んだ行動計画の策定と公表を従業員が300人を超える民間事業主には義務づけ、従業員300人以下の民間事業主は努めることとされており、県としても、行動計画が策定されるよう関係機関と連携して働きかけを行っていく。
また、官民連携組織である「いわて女性の活躍促進連携会議」を構成している産業団体や経済団体と連携し、社会全体に対する意識啓発のほか、男性を対象としたワーク・ライフ・バランスセミナー、企業トップや管理職を対象とした女性活躍のための経営者研修、女性を対象としたロールモデル提供事業等を実施しているところである。
今後とも、企業トップや管理職の理解が深まり、女性がより活躍できるための支援に取り組んでいく。

② 休日保育、夜間保育及び病児、病後児保育について
女性の就業率の上昇や共働き世帯の増加、就労形態の多様化やひとり親世帯の増加などにより保育ニーズが増大している。
待機児童を解消することはもちろん、県内労働者の多くがサービス業に従事している状況の中、日曜日、祝日等において、保護者の勤務等により、休日保育や夜間保育、また病児、病後児保育の充実強化が必要であると考えるが、県の取り組みについてお伺いする。

答弁
県ではこれまで、国の補助制度等を活用しながら、市町村が多様な保育ニーズに応じて実施する取り組みに対して支援してきたところであり、夜間保育については、利用者が限定されることなどから事業実績はないものの、休日保育及び病児、病後児保育を実施する施設は徐々に増加している状況にある。
今年度からこれらの事業は「子ども・子育て支援新制度」に組み込まれ交付額等の充実が図られており、県でもこれに呼応した財政支援等を行っているところである。
新制度においては、市町村が地域の実情やニーズを踏まえ策定した「市町村子ども・子育て支援事業計画」に基づき取り組みが進められることから、県としては市町村が多様な就労形態などにより増大する保育ニーズに適切に対応できるよう、今後とも、情報提供や助言等により、国と連携を図りながら必要な支援を行っていく。

③ 企業におけるワーク・ライフ・バランスの推進について
ことし10月、盛岡市主催のワーク・ライフ・バランスの講演会に参加した。
ワーク・ライフ・バランスは子育て中の女性のためにあるものだと誤解している人が多いが、そうではなく、独身であっても、子育てしていなくても、全ての男女に仕事と家庭や私生活があり、その両立が必要である。
子育て中の女性だけが仕事と家庭が両立できる企業を目指してしまうと、そのしわ寄せが必ずほかの社員に回って負のスパイラルに陥ると、国のさまざまな委員もされている講師の株式会社ワーク・ライフ・バランスの小室社長が指摘されている。
県は、「いわて女性の活躍促進会議」との連携によるセミナーや研修、出前講座の取り組みをしており、長時間労働是正のためにも、仕事と生活の調和の実現に向けた職場環境の整備がさらに求められているが、県の取り組みと成果についてお伺いする。

答弁
県では、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、企業の優良な取り組み事例の紹介を含めたセミナーの開催などの普及啓発や、労働時間の短縮等に取り組む事業主に対する国の助成制度の活用の促進などに取り組んでいる。
また、岩手労働局と連携し、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進、多様な働き方などの働き方改革に向けた取り組みについて関係団体への要請活動を行ってきたところであり、本県の平成26年の1人当たり年間総実労働時間は平成25年より16時間、また、近年で最も長かった平成18年より70時間短くなってきている。
しかしながら、依然として全国平均よりも長い状況にあることから、県としては引き続き、国や関係団体等と連携しながら、一層長時間労働の是正などに取り組んでいくことによりワーク・ライフ・バランスを推進していく。

④ 県外学生に対する県内就職促進について
本県の人口が首都圏等へ多く流出するのは、18歳の進学、就職期と、22歳前後の就職期とされている。
知事は、希望マニフェストにおいて、「岩手に就職しよう推進協議会」を設置し、官民を挙げた県内就職を支援することを掲げておられるが、県外に進学した若者に本県企業の魅力を伝え、特に新卒時の県内就職を支援することが重要であると考える。
県外の学生にダイレクトに県内の就職情報提供がなされるよう、高卒時または成人式等の機会の活用、父母を通じた情報提供システムの構築など、市町村と連携した具体的な取り組みが必要と考えるが、これまでの県外学生に対する県内就職促進の取り組み実績と今後の取り組みについて知事にお伺いする。

答弁
県では、「ふるさといわて定住財団」や市町村と連携して、就職面接会やU・Iターンフェアなどを開催している。
また、東京のUターンセンターでは、専任職員を配置し、県内就職を希望する学生への相談対応や企業とのマッチング支援を実施しているほか、首都圏の大学での就職相談会への対応やU・Iターン情報の提供などを行っている。
今年度、ジョブカフェいわてに新たに設置したU・Iターンサポートデスクでは、学生はもとより、保護者向けにも相談や情報提供を行っているところであり、県内で開催される首都圏の大学の保護者懇談会においても県内就職について説明を行っている。
さらに、市町村の協力のもと、来年1月の成人式の機会を捉えて、Uターン支援に関する情報提供を行うこととしている。
今年度設立する予定の若者等の県内就職を推進する協議会においては、経済団体を初め、教育機関やPTA関係機関も参画する予定であり、高校卒業時の機会の活用や、保護者を通じた情報提供の方法についても意見交換してまいりたいと思う。

⑤ 岩手らしいものづくり産業や伝統産業の振興について
首都圏等への人口流出を防ぎ、また、県外学生に対する県内就職促進のためには、本県産業の魅力を地道に発信し、私たち県民側も本県産業を知ろうとする意識を高めることが重要だと考える。
これまでの大量生産、大量消費の時代は終わり、これからは、安全・安心や環境への配慮も含めた付加価値の高いストーリー性のあるものづくりが必要とされている。
アパレル関連産業は県北で特に力を入れているが、県北のみならず県内各地に工場等が多数立地しており、このような好条件を生かした産業のさらなる振興や、「南部鉄器」、「秀衡塗」、「浄法寺漆」のほか「東山和紙」、「竹細工」などの伝統工芸品や岩手らしい産業の振興と、それに新規参入する若者等への支援など、人材育成にさらに積極的に取り組むべきと考えるが、県の御所見をお伺いする。

答弁
本県には、県北地域におけるアパレル関連を含む繊維工業を初めとし、地域の特性等を生かし集積してきた産業や、豊富な農林水産資源と伝統的な技術を生かした伝統工芸産業等、岩手らしいものづくり産業が育まれてきた。
これまで県では、アパレル関連産業における首都圏メーカーとのマッチング商談会やファッションショーの開催、また、伝統工芸産業における首都圏での展示販売会の開催や業界関係者の招聘による商品開発など、ブランド化の推進や販路開拓等に取り組んできたところである。
今後においても、これまでの産業集積や高い技術力をもとにした取引拡大や販売機会の創出に引き続き努めるとともに、いわて希望ファンド及び国の支援策の活用等により、若者、女性の活躍の場としての可能性も見据えながら、岩手らしい産業の振興と人材育成に積極的に取り組んでいく。

3.農林業の振興について

① 農業の6次産業化への取り組みへ対する支援について
力強く持続可能な本県の農業生産の実現に向けては、効率的で安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う生産構造を確立することが必要である。
そのため、大規模化や法人化を志向する認定農業者や集落営農組織などの経営発展に向けた重点的な支援が必要であると考える。
一方で、環境に配慮した農業生産や加工品開発、直接レストランやデパートへ販売するなど、付加価値の高い農業経営の確立を目指し取り組んでいる農業者もいる。
特に、これらのこだわりの農業経営を展開している農業者が6次産業化を通じて新たな分野にチャレンジしていくことは大きな意義があり、農業者が創意と工夫で立派に成果を上げる事例もある。
しかしながら、6次産業化への取り組みは総じて個人の農家が加工に取り組む事例が多く、地域と連携した取り組みや多角的な視点が不足しているように思いう。
近年、大手企業等が主導する川下からの6次産業化の取り組みが広がりを見せており、これらに対して、大手が手を出せないような商品づくりやサービスの提供に取り組もうとしている農業者に対する支援が必要であると考えるが、県はどのように取り組んでいくお考えかお伺いする。

答弁
県内では農業者の創意工夫により、地域ならではの魅力を生かした6次産業化が進められており、西和賀町における西わらびを活用した商品など、各地で多彩な取り組みが展開されている。
また、近年は、農業者が大手企業等の有する商品開発や販売等のノウハウを活用し、県産のシイタケを活用したおつまみやヤマブドウ飲料を開発、販売するなどの取り組みも増えている。
県では、地域の特性や品目を踏まえた農業者等の選択に応じ、企業等との連携による取り組みも含め支援しており、引き続き、事業展開に向けた専門家の助言や研修会の開催、多様な事業者とのマッチング機会の提供などにより6次産業化をきめ細かく支援していく。

② 圃場整備の推進について
TPP交渉の大筋合意に伴い国が取りまとめた「TPP関連政策大綱」において、攻めの農林水産業への転換に向けて、次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成を図るため、農地のさらなる大区画化、汎用化を図るとされている。
言うまでもなく、水田農業は生産コストのさらなる低減は不可欠である。
農林水産省の調査では、平成24年度末における本県の30アール区画程度以上の水田整備率は51.1%とされており、東北で最も低く、全国平均63.4%を大きく下回る状況である。
一方、米の生産費は10アール当たり14万5、000円と東北で最も高コストとなっている。
特に東北の中でも水田整備が遅れている本県においては、圃場整備の一層の推進が喫緊の課題であると考えるが、県として、今後どのように圃場整備を推進されるお考えかお伺いする。

答弁
本県の水田整備率は東北の中で最も低く、生産コストの低減等を図るため、水田の大区画化や排水対策などの整備を着実に進めていくことが必要である。
このため県では、担い手の明確化や農地集積など営農ビジョンづくりを支援しながら、地形勾配や区画形状などの立地条件を踏まえた圃場整備に取り組んでおり、中山間地域等の条件不利地においては、今年度創設した「活力ある中山間地域基盤整備事業」などによる簡易な整備を進めている。
今後においても国に対し、水田整備が遅れている本県の実情を強く訴えながら予算確保に努め、農地の有効活用や農業経営の効率化が図られるよう計画的に整備を進めていく。

③ 再造林効果対策の推進について
本県の森林、林業を取り巻く情勢は、大型木材加工施設や木質バイオマス発電施設の設置計画が進み、今後さらに県産材の需要拡大が見込まれるなど、疲弊した森林、林業、山村地域の活性化につながるものと期待される。
しかしながら、長引く国産材価格の低迷等で林業の採算性は悪化したまま推移し、森林所有者の経営意欲の減退により、造林、間伐等の森林整備が必ずしも適正に行われていない状況にある。
特に、主伐後の再造林は全国的に見てもその実施率が低く、本県においても伐採量の増加に対し再造林が大きく遅れており、伐採跡地の放置による森林の荒廃や将来の森林資源の枯渇が懸念されている。
そこで伺うが、県では、伐採と再造林について課題をどのように把握し、今後どのように取り組むおつもりなのかお伺いする。

答弁
本県の平成26年度の再造林面積は、前年度の針葉樹の伐採面積1、986ヘクタールに対し592ヘクタールとなっており、再造林率は約3割にとどまっている。
再造林の推進に当たり、森林所有者の負担軽減を図る必要があることから、県では低密度植栽の促進やコンテナ苗木の活用、伐採から植栽までの作業を連続して行う一貫作業システムの普及など、再造林コストの低減に取り組んでいる。
また、本年11月に、県と林業関係団体で構成する「岩手型再造林促進システム開発検討会」を立ち上げ、本県の実態に即した再造林を促進する仕組みの構築など具体的な方策について検討を進めており、今年度中には一定の方向を打ち出すこととしている。
今後、これらの取り組みにより、国の森林・林業基本計画の目標である再造林率6割を目指して再造林対策を強化していく。

④ 木骨ハウスについて
県内の森林で生産された木材を加工して利用することは、林業はもとより、木材加工などの地域の産業振興につながるとともに森林所有者の適切な森林整備を促し、森林の公益機能の発揮につながるものと考える。
また、本県の1次産業の振興を図るためには林業と農業の連携も重要であり、東日本大震災津波で被災された一部の市町村においては、地域の重要な資源である木材を活用した木骨ハウスの普及拡大に向けた取り組みが始まったところであると伺っている。
先日、木のぬくもりに惹かれ導入されたという、盛岡市の農業生産法人「キートスファーム株式会社」に話を伺った。
木骨ハウスはパイプハウスに比べて台風や積雪に対する強度にすぐれ、また、夏場の鉄骨は熱がこもり50度以上になるが、木材だと温度上昇が少なくて済むなどの多くのメリットがあるという。
ただ、坪単価が鉄骨ハウスより少々割高となり、また、鉄骨より木材が太いため、太陽の低い冬場は影が増え、作物への日照時間が減ってしまうなどのデメリットもある。
間伐材の利用拡大とあわせ本県の1次産業の振興を図るためにも、改良を重ねた木骨ハウスの普及拡大に向けた支援も必要であると考えるが、県の御所見をお伺いする。

答弁
間伐材等をハウスの骨材に利用したいわゆる木骨ハウスは、施設園芸用ハウスや堆肥舎などさまざまな施設への活用が考えられ、林業、木材産業の振興に資することが期待される。
県農業研究センターでは、国の試験研究機関や地元企業等と連携し、平成25年度からトマト、イチゴの栽培実証を通じた施設園芸用ハウスとしての性能の検証や改良を実施してきており、これまで課題であった採光性や耐久性の向上、設置コストの低減が図られつつある。
普及に向けて、さらなるコストの低減等が必要であることから、引き続き施設の構造や工法の改良等を進めるとともに、農業関係者や建設業者等に木骨ハウスの利点等を周知するなど、さまざまな分野に木骨ハウスが活用されるよう取り組んでいく。

⑤ 林業技術センターと工業技術センターの連携について
杉、アカマツ、カラマツなどの本県の多様な森林資源の特性を生かし木材の利用を促進するためには、利用技術の開発や付加価値の高い木製品の開発が重要である。
従来から「林業技術センター」では、木材のよさを一層引き出すため、あるいは木材の欠点を補うための試験研究がなされていると伺っており、大変心強く感じている。
また、本県にはものづくりを支えている「工業技術センター」があり、この「工業技術センター」と連携し、より現場で生かせる技術の開発や付加価値の高い商品の開発に取り組むことにより、木材需要の拡大につながるものと考える。
そこで、「林業技術センター」と「工業技術センター」の共同研究の取り組み状況と成果をお伺いいたします。

答弁
「林業技術センター」ではこれまで、県産材の需要拡大に向け、防火性や耐久性の向上に向けた技術開発や、県産針葉樹を用いた床材の開発などについて「工業技術センター」と共同研究を実施してきた。
これらの研究成果として、開発された不燃木材については、製造方法の特許を取得し、県内企業により商品化され、「県立美術館」や「いわて県民情報交流センター」の内装材に用いられているほか、表面硬化処理したアカマツ材については、外務省の会議室のテーブルや県外の学校の床材に利用されるなど、着実に成果を上げている。
今後とも、工業技術センターとの連携を図り、県産材等の需要拡大につながる技術開発や商品開発に取り組んでいく。

4.教育振興について

① 県内の特別支援学校の課題等について
特別支援を必要とする児童生徒が増加傾向にある中、現在の県内の支援学校の課題に対する取り組み状況はどうなっているのか、伺う。

答弁
特別支援学校では現在、知的障がいのある児童生徒の増加に伴い、校舎の狭隘化や教室不足などが大きな課題であると認識している。
県教育委員会ではこれまで、各学校におけるこうした課題に対応するため、分教室の設置や一般教室に転用している特別教室の解消に向けた増改築等に取り組んできた。
しかしながら、こうした課題がなお解消できず、保護者等からの要望の強い盛岡地域や釜石地域などにおいては現在、各地域での協議の場を設け、課題の解消に向けた具体的な話し合いを進めているところである。
引き続き、特別支援学校の教育環境の充実に計画的に取り組んでいきたい。

② 盛岡となん支援学校移転後の校舎の活用法について
盛岡地域における知的障がい児の教育環境が飽和状態になっており、特に「盛岡みたけ支援学校」における教室不足が大きな課題となっているが、「盛岡となん支援学校」移転後の空き校舎の活用法についてどうなっているか、お伺いする。

答弁
矢巾町の岩手医科大学用地に、「県立療育センター」とともに移転改築する現在の「盛岡となん支援学校」の校舎は、大規模改修を行い、良好な状態が保たれていることから、県教育委員会としては盛岡地域や花巻地区の知的障がい児を対象とする特別支援学校の狭隘化や教室不足の解消のため、有効に活用したいと考えている。
昨年度において、「特別支援学校PTA連合会」などの特別支援教育関係者を交えた校舎活用検討委員会を開いたところであるが、この場においても「盛岡みたけ支援学校」の児童生徒の増加に伴う教室不足等の解消のため、特別支援学校として活用すべきとの御意見をいただいており、今後「盛岡となん支援学校」の移転にあわせ、この方向性に沿った形での活用方法を具体的に検討し、盛岡地域や花巻地域の知的障がいを対象とする特別支援学校での教育環境の改善を図ってまいりたいと考えている。

③ 学校のバリアフリー化について
加えて、私の知人に未就学の障がいのある子供を持つ女性がいる。
小学校入学前に学校生活に慣れさせたいと、住まいがある地元の小学校のことばの教室に行かれたそうであるが、入り口など小学校自体にスロープがなく、移動等に相当の苦労をされたそうである。
特別支援を必要とする児童生徒であっても、地元の学校等で学習や交流の機会が確保されることは、その学校に通う一般の児童生徒の、ともに学びともに生きるという障がいへの理解促進にもつながるものと考える。
身体障がい児が特別支援学校だけでなく一般の学校等へ通学等を希望する場合、身体障がい児を受け入れるために学校のバリアフリー化等が必要であると考えるが、県のこれまでの取り組みについてお伺いする。

答弁
学校施設のバリアフリー化については、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律や人にやさしいまちづくり条例に基づき、出入り口等の段差解消、階段への手すりの設置、車椅子使用者対応のトイレの設置、出入り口は自動ドアとすることなどが定められ、さらに、床面積2、000平米以上の学校にはエレベーターを設置するよう努めることとされている。
県内市町村においても、このような法令の考え方に沿って、計画的に学校施設の増改築や大規模改造などの機会を捉え、身体障がい児への対応が可能な設備を整備するなど、学校施設のバリアフリー化を推進してきていると承知している。
県教育委員会としては、小中学校への障がい児の通学がより円滑に進むよう、今後におおいてもバリアフリー化の普及啓発や財政支援措置の導入などを通じて支援していく。

④ 私立学校における特色ある教育の振興について
私学助成の拡充については今議会においても請願が行われており、私もその趣旨に賛同する者であるが、県内では高校生の約19%、およそ7、000人が私立高校で学んでいる。
私立高校は、公教育機関として建学の精神に基づいて教育を進め、県内高校教育に重要な役割を果たしている。
生徒、保護者の深刻な学費負担を軽くし、私学教育本来のよさを一層発揮していくためには、授業料助成を拡充するとともに、教育条件の維持、向上を図るための経常費助成の増額が必要である。
本県の学校教育を支えていくためには、公立学校だけではなく私立学校に対する支援が必要であり、私立学校の運営費や生徒等への修学支援の拡充強化を図るべきと考える。
それぞれの私立学校においては、生徒、保護者のニーズの多様化への対応や、グローバル化に対応した国際教育など、特色ある教育が行われている。
私も、グローバル教育や国際理解教育に力を入れている私立高校へ通ったが、個人や多様性を尊重することの大切さを学び、岩手に生まれてよかったと思えるきっかけとなった理由の一つであったと、今となっては思う。
ほかには、スポーツに力を入れ、現在はプロとして活躍する選手を輩出する私立学校もある。
こうした特色ある学校づくりの取り組みなどに対して私学助成の充実を図るべきと考えるが、見解をお伺いする。

答弁
本県の私立学校はこれまでも、公立学校とともに公教育の担い手として、それぞれの建学の精神に基づき、多様で特色ある教育活動を展開しているところであり、本県学校教育の充実発展に大きな役割を果たしていると考えている。
また、私立学校においては、スポーツの強化やキャリア教育、国際交流などの特色ある教育活動を行うことが安定的な学校運営を維持する観点からも重要であると認識している。
このため県では、私立学校の特色ある教育活動の推進を主要な施策として位置づけ、私立学校の自主性、独自性を尊重しつつ、教育条件の維持向上や修学上の経済的負担の軽減等の観点から各種取り組みに対する助成を行ってきている。
具体的には、私立高等学校が行う外部コーチの委嘱によるクラブ活動の強化やインターンシップの実施によるキャリア教育の推進、国際フォーラムの開催や外国人講師の招聘による教育の国際化などの教育活動への支援の充実を図ってきているところであり、特にも、高い実効性が見込まれる国際交流プログラム等に対して重点的に支援をしていくこととしている。
県財政は引き続き厳しい状況にあるが、新しい時代に対応した特色ある教育などを中心に、可能な限り効果的な助成や支援に努めていきたいと考えている。

5.県内の体育施設整備とスポーツを通じた地域振興について

① 岩手県スポーツ推進計画について
いよいよ「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」を控え、オール岩手で開催の準備がなされているが、大会後もこの盛り上がりが継続され、岩手の未来づくりがみんなの手でなされることが重要と考えている。
また、希望郷いわて大会は障がい者のスポーツ大会であることから、社会全体で、ハード面だけでなくソフト面から障がい者に対するバリアフリー化を図る機会になると考える。
さらに、本県の釜石などで開催される「2019年ラグビーワールドカップ」や「2020年東京オリンピック」開催に向けて、国体開催に終わらない、スポーツと岩手の地域資源を生かした地域振興の推進を図るべきと考える。
そこで、岩手国体後もラグビーワールドカップや東京オリンピックの開催が予定されている中、大会開催後の施設の有効活用について、大学や社会人のスポーツチームの合宿誘致をはじめ、国体開催に終わらないスポーツと岩手の地域資源を生かした地域振興の推進を図るためには岩手県スポーツ推進計画を策定すべきと考えるが、知事の御所見をお伺いする。

答弁
本県においては、「いわて県民計画」に定めているスポーツ分野に関する政策項目をスポーツ基本法に基づく「スポーツ推進計画」に位置づけてスポーツ振興を進めてきているところである。
現在取り組んでいる「第3期アクションプラン」の策定においては、これまでの成果や課題等を踏まえ、障がい者スポーツの振興やスポーツチームの合宿誘致、国際大会と連動した関連イベントの実施、スポーツツーリズムの取り組みの促進による交流人口の拡大など、地域振興につながる分野などについても一体的に推進する方向で検討を行っている。
「いわて県民計画」の計画期間である平成30年度までは、その位置づけは維持する考えであるが、本県のスポーツ行政を推進する上で、「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」は一層の弾みをつける絶好の機会であるので、この好機を生かしてスポーツを通じた地域振興に取り組んでいく。

② 盛岡市の野球場整備について
県内野球大会の主要な開催場所として「県営野球場」があるが、築45年と老朽化が著しい状況。
また、野球関係者から話を伺うと、現在の「県営野球場」は駐車場が少ないということ、また、天候に左右されない屋内練習場は必要不可欠で、ほとんどの県内の野球場では稼働率が高いとのことである。
新たに整備するには相当な財政負担が生じることが懸念されるが、盛岡市では「市営野球場」を新たに建設する計画がある。
関係者から要望も寄せられているが、盛岡市内に県と市と野球場を2カ所整備するよりも、将来を見据え、県と盛岡市とが一体となり、新たなドーム型の野球場等の整備に取り組むべきと考えるが、県の御所見をお伺いしたい。

答弁
県、市町村を通じて経営資源の制約が強まってきている中で、スポーツ施設の整備に当たって、一層の連携や協働を強めていくことは極めて重要な視点と捉えている。
盛岡市からは県との連携により、市単独では実現困難な、スポーツ関係者から要望の強い望ましい施設整備の方向性を探っていきたい旨の申し入れを受けているところであり、現在、県教育委員会と市での連携に向けた具体的な話し合いを進めていくこととしているところである。
議員御提言のドーム型野球場については、イニシャルコストのみならずランニングコストも含め莫大な費用を要し、その実現は困難と考えるが、まずは目前に迫った「希望郷いわて国体」の成功に全力で取り組みつつ、国体終了後、できるだけ早期に東日本大震災津波からの復興状況や県と市町村との連携、協働、役割分担等をも考慮しながら、県営野球場を含む県営体育施設の総合的なあり方を検討していく。

③ スポーツ医・科学サポート体制支援に向けた取り組みについて
次に、スポーツは、運動能力や競技者の競技力向上だけでなく、運動弱者である高齢者や障がい者の自立、介護予防、肥満の防止、改善につながるものと考える。
岩手県は、脳卒中による死亡率が全国ワースト1位、自殺率全国ワースト1位、また、労働時間が全国で2番目に多い県という不名誉ばかりである。
高齢者の4人に1人は認知症または予備軍と言われている現在、政府は10年後の2025年には認知症患者が約700万人、約5人に1人まで増加すると推計を発表した。
今後、超高齢社会を迎える中、介護施設整備だけではなく一人一人が介護の要らない自立した生活を送れるようになることが大事だと考える。
私は、最近ではトレイルランニングを楽しんでいるが、健康管理に寄与するだけでなく、ふだんの社会生活では出会わない新しい仲間との出会いがあり、ライフスタイルを考え直すきっかけにもなっている。
認知症予防のための趣味について、専門家は、一人で行うものよりも仲間をつくれるものや社会参加ができるものがよいと指摘している。
現在は、岩手国体等に向け、特に選手のためのスポーツ医・科学サポート体制の強化を図っていると思われるが、これからは子供から高齢者までが、県民一人一人のためのスポーツ医・科学サポート体制も強化し、スポーツを通じた健康維持や体力増進、生涯スポーツの推進を通じて、働き方を含めたライフスタイルの見直しなどスポーツ医・科学を積極的に取り入れるべきと考える。
そこで、本県におけるスポーツ医・科学のサポート体制の支援に向けた取り組みについてお伺いする。

答弁
平成25年度から、「希望郷いわて国体」に向けた競技力向上と被災地住民の健康づくりを目的に、「スポーツ健康科学サポート推進事業」に取り組んできているところである。
岩手国体に向けた具体的な取り組みとしては、強化選手の体力測定と測定結果に基づいたトレーニング指導、スポーツ栄養士による栄養指導のほか、中央講師を招いたメンタルサポート、指導者育成などを展開してきた。
また、スポーツ医・科学専門員を沿岸被災地に派遣し、高齢者の健康運動や児童生徒の運動指導、トレーニング指導なども行ってきている。
今後においては、県内各地にその活動範囲を広げて、県民のスポーツを通じた健康づくりをさらに進めていきたいと考えている。

※再質問

① 若者と女性の雇用環境について
県では企業に対する女性の活躍やワーク・ライフ・バランスの推進の啓発活動はされているものの、実際の現場で、特に仕事をしている女性の方から聞くと、なかなか休みをとりづらいと聞く。
県や盛岡市職員には早番遅番の制度があるとも伺っているが、そういったフレックスタイム制を一般の企業でも導入できるようにしてほしいという声が聞こえる。
ただ、やはり企業側としては金銭的な面もあるのでなかなかフレックスタイム制を導入するのは難しいという声も聞かれる。
例えば、ワーク・ライフ・バランスや女性の活躍推進への取り組みとして、企業への啓発活動や子育てしやすい環境の表彰だけでなく、実際のフレックスタイム制をモデルとしてやりたい、又はやってくれるような企業に財政的な支援をしてみるなど、もう少し踏み込んでみてはいかがかと思うが、知事の御所見をいただきたい。

答弁
企業における女性の活躍支援について男女共同参画という政策の枠組みはあるが、さらにそれを超えた「ダイバーシティー」という、外国人や障がいのある人等、多様な人たちと一緒に仕事をしていくという考えの企業は強く、経営としてもその方が成功すると言われており、そのとおりだと思っている。
復興でもふるさと振興でも、地元の底力プラス様々なつながりの力が強い岩手のようなところほど、今まで一緒に働いたことがないような人ともどんどん一緒に働き、まして男女共同参画の観点からは、差別はもとより男女を区別する理由はないわけであるから、一緒に仕事をしていく。
企業トップ・管理職の方々には、この機会に岩手においてそういった流れに逆行する非人道的な発言や行動について、私は許さないということを述べておきたいと思う。

② 企業の労働条件等の改善に向けた財政的な支援について
管理職の方々の理解が無いとも感じており、現代は働く女性のほうが多いが、私たちの親世代の働く女性の場合は、今よりも働く女性がまだ少ない時代に頑張ってこられたと思っている。
そういった方々は「やってきた」という認識を持っておられ、私たち世代に強要するつもりはないのだろうが、「やってきた人たちがいるのだからあなたたちも頑張りなさい」というような考えを持っている方が多いように感じていると同世代の働く女性の方から声を聞いている。
管理職に対するワーク・ライフ・バランス、働き方というものをもっと踏み込んでやっていかないことには、実際の女性の活躍にもならず、また、女性だけではく、もちろん男性も働き方を変えてもらわない限り、女性の家事を手伝うことや子育てにも参画できない。
私の前にいらっしゃる皆さんと同世代の、企業で働いている方々は今、管理職をされている方が多いと思うが、ぜひそういった啓発活動を積極的にもっと踏み込んでやっていただきたいと思っているので、御所見を伺いたい。

答弁
実は国のほうで助成制度があり、県としてもその活用の促進に努めているところであるが、労働時間短縮に係る国の助成制度として「職場意識改善助成金」というものがある。
これは年次有給休暇の取得促進や、あるいは所定外労働時間の短縮に取り組む企業に対する助成金制度であるので、こちらの活用も呼びかけていきたいと思う。
また、管理職の方々への啓発として県では、平成23年度、平成24年度は震災の影響でお休みしていたが、セミナーを開催しており、例えば平成26年度は、経営戦略としてのワーク・ライフ・バランスと題し、企業の人事、総務担当の方をお招きしての講演会やセミナーを開催している。
また、盛岡市においても、今年の10月に市主催のトップセミナーを開催している。
以上のように、管理職の方々への普及啓発にも今後一層努めていきたい。

③ 野球場について
スポーツ推進計画については、第3期アクションプランの中に掲げているものを平成30年度までに~ということであり、国体以後に検討していきたいということであった。
盛岡市から県に対する来年度の予算要望の中で「スポーツ推進計画は体育施設整備を含めたものを策定してほしい」という要望が出ているが、まず、知事はそれを把握されているかお伺いしつつ、盛岡市の野球場の整備という問題はある程度期限が決まっている段階であり、早目に進めなければいけないが、どのように考えていらっしゃるかお伺いしたい。

答弁
野球場については、ドーム球場は困難だというのは過去にも繰り返し執行部側から答弁しているとおりである。
県と市町村との運動施設、体育施設についての連携のあり方については、基本的な考え方を整理する必要があると思っており、野球場の件についてもその中で対応について整理されていくと考えている。

④ 休日保育、夜間保育、病児、病後児保育の充実強化について
特に休日保育の部分で、これは平成26年度の調査であるが、県内で休日保育を実施しているところが全体で10.2%しかない。
先ほど、ハクセル美穂子議員からは病児、病後児保育の充実の質疑があったが、サービス業に従事している女性の方々が土日に預けられなくて大変だという話をよく聞く。
休日保育の部分に関し、少し具体性に欠けるものだったと思いうので、改めてお伺いしたい。

答弁
平成26年度の実績を申し上げると、14市町村37カ所において延べ6、813人の方が利用していただいている。
この休日保育については、日曜・祝日等を含め年間を通じて開所する保育所が対象となっており、職員の配置としては、事業担当保育士を最低2名以上配置することが要件となっている。
現在、県全体でも保育士不足の中、こうした休日、祝日等に勤務いただける保育士の確保が困難であるなどの側面もあろうかと思う。
今年度からは、これが新制度に移行し、施設型給付の加算という形で財政支援を行うことになっており、県においては、その費用の4分の1を負担している。
今年度以降、市町村が地域の実情やニーズを踏まえて策定した「子ども・子育て支援事業計画」に基づいて事業を進めていくこととなり、県としては情報提供や助言等も行いながら、必要な支援を行っていく。

⑤ フレックスタイム制の導入等について
企業に対する助成金が国からあるという答弁に関して、フレックスタイム制の導入等は、具体的に今まで岩手県ではどのぐらいの企業がそれを利活用されているのかについて、把握されているかお伺いする。

答弁
国の中小企業事業主を対象とした「職場意識改善助成金」の活用実績は、岩手労働局に確認したところ平成26年度が3件、今年度は、10月8日時点では2件と承知している。

⑥ 岩手県立大学の学生生活等への支援について
経済的理由のところで触れたいが、これまでの議会でも何度か岩手県立大学の大学寮について取り上げたことがあった。
盛岡市の住吉町に岩手県立大学盛岡短期大学部があった頃には、現在の寮は大学に近くて便利であったが、滝沢市に移転したことで、短期大学部の学生だけが現在使用している「ひめかみ寮」は、冬場の通学にバスを利用すると1時間もかかってしまい、1時間目の授業に間に合わないという事例が出ているそうである。
そういったことで春に入寮したが夏には退寮という学生もおり、また、バス通学では2万円も交通費がかかるため、やはり滝沢市内に住んだ方がいいということになっているようである。
保護者としては、寮に住んだ方が安心ということで、寮にお子さんを入れている御両親もいるかと思われる。
今現在は短期大学部の学生だけが使っている寮であり、それを近くに新設することは難しいかと思われるが、例えば通学バスを運行してみる等の対応も今後は必要になってくるのではないかと思う。
そうでもしないと、学生寮で生活する学生はどんどん減り、その寮での例えば掃除や食事の当番など、一人一人の生活の負担がどんどん増えていくなど負のスパイラルになっているらしく、せっかくある今の施設を有効活用するためにも、学生の生活や経済的支援のためにも、そういったところに対する取り組みをしていただきたいと思うが、改めてお伺いする。

答弁
岩手県立大学の運営、交付金の中で新たな投資というものは非常に厳しいと考えているが、いただいた御意見について大学の側でどのような工夫ができるか、大学側には伝えていきたい。

お問い合わせ

Contact

私たちが暮らすこの岩手の一人ひとりに寄り添った政策を実現し、
誰もが住みよい社会の実現に向けて走り続けていきます。